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Family

第1話 - Family

2018年09月24日

#ホラー

#第1章

#father

羊谷。

リサ

ねぇ、キャシー。これ見て。

キャシー

魔法陣？どこでそんなもの…。

リサ

"緋想の館"。キャシーも知ってるでしょ？

キャシー

あそこに行ったの！？それじゃ、その魔法陣は…。

リサ

そう、拾った者の家族に夢を見させる魔法陣。
最近、パパもママも忙しそうだったから。

キャシー

なんて馬鹿な真似を…。
でもまぁ、良い案ね。

キャシー

確か…その魔法陣を発動させるには、合言葉を言うんだったわよね？

リサ

そうそう。なんだったかしら。

キャシー

"Go back to consciousness"
だったと思うわ。

その瞬間。

キャシーとリサは、無数の魔方陣に取り囲まれた。

そう、それはまるで－。

赤子を抱く母親のようだった―。

第1章 father

リサ

キャシー？

キャシー

ん…。さっきのはなんだったの？そしてここは何処？

リサ

分からない。ここが何処なのかも。

部屋を見渡すと、白くて汚れ1つ無い無機質な部屋が広がっていた。

キャシー

気味が悪いわね…

キャシー

あ…！パパだわ！

リサ

パパ！

ブラウン

…おいで我が子達…。

ブラウン

なーんて

ブラウン

柄にもなく演技してみたよ。

ブラウン

やぁ、迷える子羊たち。

ブラウン

お父さんの体、勝手にお借りしたよ。

リサ

あんた…誰よ！

キャシー

パパはどこなの！？

ブラウン

どこ…だって？

ブラウン

馬鹿馬鹿しい。
君たちがこうしたんじゃないか。

リサ

は…？

ブラウン

あの、魔法陣。

ブラウン

君達が召喚してくれたおかげで。

ブラウン

4人分の美味しい"意識"
ありがとうね。
美味しかったよ

キャシー

んな…！！

リサ

か、返してよ！

ブラウン

まぁ、僕は優しいからね。
食べてハイお終い。
って訳にはいかないよ。

リサ

え？

ブラウン

ゲームをしようか。

キャシー

ゲーム？

ブラウン

君達がご家族の意識を
僕から奪い取ったら勝ち。
奪い取れなかったら…GAME OVER
もう一生会えなくなるよ。

ブラウン

まぁ僕はそっちのがありがたいけど。

リサ

いいわよ、やってやろうじゃないの！

キャシー

ちょっと！本当に返してくれる
確証がないじゃない！

リサ

あるわ。
わざわざ不利なゲームなんて
しないでしょう？

キャシー

…。

リサ

やるわ！

ブラウン

おっ、乗り気だね？
じゃあまずは…お父さんから
行こうか。

Let's Start!

リサ

ん…？

キャシー

ここは？どこなの？

リサ

商店街…かしら。

リサ

何故商店街？

キャシー

あ、パパだわ！

リサ

パパ！

ブラウン

えっ？君達…誰だい？

よくよく見ると、若すぎる。

これは、若い時のパパ？

キャシー

えっ？忘れちゃったの、パパ！？

リサ

酷いわ…

ブラウン

からかうのは辞めてくれないか！
僕には子供なんていない！
妻さえもね！

キャシー

パパ…。

ブラウン

チッ、今日は会議で失敗するし
上司に怒鳴られるし…。
こんな知らないガキ共におちょくられるし…。
最悪だ。

リサ

せめて話でも聞いて！

ブラウン

うるせぇ、とっとと失せろ！！

キャシー

行こうよ…リサ…。

リサ

そう、だね。

リサとキャシーはなるべく遠い所に行った。

キャシー

パパ、今と全然違うね…。

リサ

そうね…。今はとっても優しいのに。

キャシー

さて、ここからパパを奪い取らないと。

リサ

どうしよう…。

ウィリー

ふふ、お困りのようね？

リサ

……？どちら様？

ウィリー

さっき、あなたの家族の意識を食べたって言ってたヤツの仲間よ。ウィリーっていうの。

リサ

…。

ウィリー

あら。

ウィリー

そんなに身構えなくていいのよ。

ウィリー

私は夢の主に会った後に現れるわ。

ウィリー

ヒントを与えにね。

リサ

ヒント？

キャシー

怪しいわ…。

ウィリー

酷いわねー。

ウィリー

じゃ、ヒントをあげましょう。

ウィリー

今のブラウンは、昔のブラウンよ。

ウィリー

ブラウンとの思い出の物を
あげるといいかもね。

リサ

でも、それじゃあ

キャシー

未来を変えてしまうことになるわ。

リサ

そうよ。ここら辺じゃ禁忌とされているわ。

ウィリー

未来を変えても結構。

ウィリー

ここは夢だからね。

ウィリー

なにしてもいいのよ。

リサ

そうなの。

リサ

ありがとう。

ウィリー

ふふ、私はここら辺で
消えるとするわね。

ウィリー

SEE YOU!

リサ

行ったわね。

キャシー

さぁ、どうしましょう。

リサ

思い出のものって言ってたかしら？
そんなもの…。

キャシー

あっ！！
思い出したわ！

リサ

なに？

リサ

いきなり

キャシー

ここ、ママに内緒ねって
3人で行った場所だわ！

キャシー

パパと

キャシー

私と

キャシー

キャサリンで！

リサ

あぁ。
私が発表会に行ってた日ね。

リサ

こんな素敵な所に来てたの！

リサ

羨ましいわ。

キャシー

その日、パパとキャサリンと私でお揃いの物を買ったのよ。

リサ

あのペン立て？

キャシー

そう。

キャシー

それよ。

キャシー

それを見せれば―。

リサ

でも、どうやって？

リサ

あなた今、ペン立てなんて持ってるの？

キャシー

…確かに

キャシー

持ってないわ。

リサ

どうしましょう。

キャシー

無いなら

キャシー

買えばいいのよ。

リサ

その手があったわね！

リサ

貯金は幾ら？

キャシー

１万円ほど…足りるかしら？

リサ

十分よ。

リサ

あなた、金銭感覚
大丈夫？

キャシー

？

キャシー

大丈夫よ？

リサ

…。

リサ

さ、早く買いに行きましょ。

文房具屋さんに向かった。

キャシー

これよ、これ！

キャシー

懐かしいわ。

リサ

高いわね…

リサ

8500円…。

リサ

ペン立てで？信じられない！

キャシー

さ、早くパパを探しましょ！

リサ

おーい、パパ！

ブラウン

また君たちか…。

ブラウン

いい加減にしてくれ。

キャシー

パパ、これ見て。

ペン立てを見せる。

ブラウン

ペン立て？なんでこんなもの…。

キャシー

パパと昔、ここへ来たの。

キャシー

キャサリンと一緒に。

キャシー

そこで、3人でお揃いの物を
買ったのよ。
それが、このペン立て。

キャシー

パパが、選んでくれた…。

キャシー

ガーベラのペン立て。

ブラウン

ガーベラの…ペン立て？

ブラウン

そうだ。

ブラウン

ここへ、キャシー。君と
キャサリンと来たんだった。

ブラウン

リサはピアノの発表会に
行っていたんだったな。

ブラウン

すまない

ブラウン

大切な、大切な思い出だったのにな。

ブラウン

僕は、父親失格だ―。

その瞬間、ブラウンの周りにガーベラの花びらが舞った。

そして、あの無機質な部屋に戻された。

オリバー

見事だね。

リサ

誰よ！

キャシー

もしかして…最初にパパの中に入ってた人？

オリバー

そうだよ。

オリバー

覚えてくれてて嬉しいな。

リサ

パパはどこなの！？

オリバー

おっと。心配しなくても
ほら、あそこにいるよ。

キャシー

パパ…！

オリバー

まだ、目覚めないけどね。

オリバー

君達が全員、取り戻したら

オリバー

意識を返してあげるよ。

リサ

……。

オリバー

それはそうと

オリバー

君たち、実のお父さんを泣かせるようなことしたの？

オリバー

お父さん、泣いてるじゃないか。

リサ

どうせ見てたんでしょう？

リサ

わざわざ聞かないで。

オリバー

はは！

オリバー

辛辣だねぇ！

オリバー

その調子なら家族取り戻せそうだ！

キャシー

もう…。いいわ！

キャシー

はやく次の家族を取り戻させて！

オリバー

ふふ…。わざわざ大声出さなくても。
余裕ないの？

オリバー

くすくす。

オリバー

じゃあ、次に移ろうか。

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羊谷。

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