夢を追って。

ずっと、ずっとアイドルになりたかった。

きっかけなんて小さい頃の好奇心程度。

だけど、俺にとっては何年も何年も追ってきた 大切な夢。

小学生の頃

俺の家は母子家庭だ。

だから"お父さんに似て"と言われてもよく分からない

顔なんて当然覚えてない。

お母さんは優しかった。

いつも1人で稼いで、俺を育ててくれて。

お母さんの事が大好きだった。

いや、今も心のどこかで好きなのかもしれない。

それだけ、お母さんの事が忘れられない。

中学三年生の春

中学三年生の春。

俺はアイドルのオーディションに初めて受けた。

緊張なんて当たり前にしていて、きちんと話せるかも不安だった。

だけど、お母さんの一言で体の強張りが無くなる。

やっぱお母さんは偉大だ。

数日後

"御社のアイドルオーディションにおいて 合格決定致しましたので連絡させて頂きます"

受かった時は夢だと思った。

何度もメールを読み直した。

何度も声に出して読んだ。

ずっと目指してたアイドル。

明日から自分はアイドルになれる。

その事実が俺の気持ちを向上させた。

中学三年生の秋

それからずっと、ダンスの練習をして 歌の練習をして。

どんな時でも笑顔を忘れないようにして。

そうやって、デビューに向けてずっと 準備してきたのに。

やっぱ神様は残酷だよ。

無理なんてしてなんぼだ。

多少無理しないと、掴めないものだってある。

少し、少し深いところに宝物が落ちていたら 皆んな多少は無理してとるだろ？

それと一緒だ。

俺もあと少し無理したら、きっと手が届くんだ。

あと少しで掴めそうなんだ。

最近踊るたびに心臓が痛いな。

姿勢が悪いのか？

それとも_

知らない方が幸せな事もあるし。

あれからずっと心臓が痛い。

正直我慢にも限界があるかもしれない。

お母さんに痛み止め貰うか？

お母さんなら持ってるだろうし、

こんなお母さん、見た事ない。

なんかいつもと違って怖い。

声をあげて怒るなんて、今まで無かったのに。

俺、何かしちゃった？

病院に行って診断が下った時、

ほんと絶句した。

でも、もっと絶望的だったのは_

やっと掴めそうな宝物。

少し無理をしてようやく目と鼻の先まで 近づけていたのに。

足を踏み外したかのように俺は奈落の底へと落ちた。

宝物をつかめもせず。

俺は、この瞬間アイドルという夢を絶たれた。

残酷な神からの導きで。

もう少しでデビュー出来るってところで、

人を笑顔にするという夢はむしろ、 真逆の道へと進んでいた。

だって、身近な人にすら

見捨てられるんだから。

この人は本当に俺の知ってるお母さんなのだろうか。

いつも優しく笑いかけてくれてた 俺の大好きなお母さんなのだろうか。

お母さんはそう言い残して家を出て行った。

唯一の家族だったのに。

俺、信じてたのに。

こんなあっさり、関係って終わっちゃうものなんだ。

「看病なんて普通に迷惑だから。」

俺が病気にかかったら 迷惑なのかな。

だったら、言わない方がきっと 幸せだ。

怖かった。

見捨てられて独りになるのが、。

独りになる辛さなんて、とっくの昔に知ってるから。

自分が傷ついてでも嫌われたく無かった。

言葉にした"見捨てない"は何よりも 安心感があった。

ゆあんくんは、

俺の目指したアイドル像にぴったりだな。

言葉で、人を救える。

人を笑顔に出来る。

俺の夢を君は具現化してる。

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝1000♡

お待たせしました！

今日から投稿再開します！

最終話まで一応書き上げたので あとは投稿するのみです👍🏻

この前同様2日に一回更新って感じです！

ぜひぜひ最終話までお付き合いください