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えと
その一言で、クラスメイトの頭上に赤い光がふわりと浮かぶ。
菜穂(なほ)
えと
菜穂(なほ)
少し距離を取られる。
でも、もう慣れていた。
嘘をつくと“色”が見える世界。
そして、それが誰よりもはっきり見えるのが——えとだった。
えと
小さくため息をつく。
嘘なんて、誰でもつく。
ちょっとしたごまかしも、優しさの嘘も。
全部、色になる。
だから――
えと
るな
明るい声。
るなが笑いかけてくる。
その周りには、何もない。
色が、一切。
えと
この子だけは、嘘をつかない。
そう思っていた。
少なくとも、今日までは。
昼休み。
なな
みなみ
教室がざわつく。
修学旅行の積立金が、消えたらしい。
由奈(ゆな)
なな
その瞬間、色が溢れた。
赤、紫、濁った青。
嘘、不安、ごまかし。
教室がぐちゃぐちゃに見える。
?
誰かが言った。
視線が集まる。
えと
本当は、少し分かる。
でも言いたくない。
こういうときの“正解”は、誰かを傷つけるから。
みなみ
逃げられない。
えとは小さく息を吐いた。
えと
教室を見渡す。
色、色、色。
みんな、何かしら嘘をついている。
えと
1人だけ。
色がない。
えと
やっぱり、何もない。
嘘がない。
えと
るな
その瞬間。
ほんの一瞬だけ、淡い色が揺れた。
えと
えとは息を呑む。
初めて見た。
るなの、“嘘”。
放課後。
えと
呼び止めると、るながゆっくり振り返った。
るな
えと
しばらくの沈黙。
やがて、るなは小さく笑った。
るな
えと
えとの声は、少しだけ強くなる。
るな
一瞬、音が消えた気がした。
えと
るな
るなは続ける。
るな
その周りに広がるのは、にじむような色。
強い嘘の色じゃない。
えと
るな
るなは目を伏せた。
るな
えとは何も言えなかった。
色は、嘘を教えてくれる。
でも、その“理由”までは教えてくれない。
るな
えと
るな
るなは少しだけ笑う。
るな
その言葉に、えとの胸がぎゅっとなる。
るな
えと
るな
少しだけ考えて――えとは言った。
えと
るな
えと
るなはきょとんとして、ふっと笑った。
るな
その瞬間、るなの周りから色が消える。
もう、嘘はなかった。
教室に戻ると、えとは静かに言った。
えと
当然、嘘だ。
でもその瞬間、自分の周りにふわりと色が浮かぶ。
やわらかくて、あたたかい色。
えと
えとは、少しだけ笑った。
嘘って、全部が悪いわけじゃない。
カラフルに輝くそれは、 時々、誰かを守る色になる。
そして今日もまた、 そんな“優しい嘘”が、ひとつ増えていく。
~完~
コメント
9件
やばい、めっちゃ泣きそうッ、、、
コンテスト参加ありがとうございます! めっちゃ感動もので涙ぐんでます、、笑 etさんが嘘は色に出てくるという設定が、最高でした✨ 嘘はよくないけれど、優しい嘘もあるという意味をしっかりと込めて作っており、素敵ですっ! rnさんが様々な事を耐えてきたんだ、嘘を初めて行った時に、etさんが助けてrnさんの心情が変わったというところで涙腺崩壊しました、笑 本当にコンテストに参加して頂きありがとうございます!長コメ失礼しましたっ!
るなさん ずっと耐えてたんだな…、 涙が出るお話だ(泣😭