唯
……って事なんだけど
分かる?
分かる?
森羅
分かる訳ないだろ
そう森羅に ため息交じりに言われた
じゃ、僕は
人じゃないの?
人じゃないの?
歩けるのに……?
確かに オドは魂の宿る一部だ
魂は心臓部分に宿るから 胸辺りにオドが集結している
でも、言われてみると 足の感覚とかあるんだよね
下駄を履いているから 気をつけないと 音も鳴らすしからな……
唯
……鏡を見てみて
そしたら分かると思う
そしたら分かると思う
手鏡を渡した
物は掴めるんだよね 人とかオドがある生き物には 当たらないけど
森羅
鬼って確かに不思議だな
嘘っ……見えない……
男の子は手鏡を机の上に置いた
唯
名前を聞いてもいい?
僕は
南川優斗っていいます……
南川優斗っていいます……
優斗
親はいない
来年は小学校に行くの
来年は小学校に行くの
唯
そっか……
唯
(まだまだこの子は幼い)
唯
(私は中学生の時だったけ)
唯
(急に苦しくなったら
森羅と一緒にいたな……)
森羅と一緒にいたな……)
そんな事を考えていると 森羅が急に口を開いた
森羅
よし
これからは月影が親か
これからは月影が親か
意地悪しく 笑いながら言った
唯
(この子は……ん?)
唯
(私と似ているような……)
優斗
え?
僕にお母さんができるの?
僕にお母さんができるの?
森羅
そうだ
この人がお母さんだ
この人がお母さんだ
そう言って私の事を指さした
唯
え?
そのもしかしてって事?
そのもしかしてって事?
森羅
何、とボケているんだ?
森羅
優斗
これからの名前は
これからの名前は
森羅
影月優斗だ
優斗
え?影月?
唯
(同じ、家系か……)
唯
(人間としては
無縁だったのに……)
無縁だったのに……)
唯
シングルマザーかよ……
森羅
ふっ
頑張れよ
頑張れよ
そう言って背中をポンと叩かれた
その日の朝
それで優斗と家族になる事になった
これからは 自給自走の生活になる
今までの会社には 退職届出をだして縁切り
もう完全な鬼でも 生きていけるように
畑やサイトに売れる物を 作ったりする事にした
でも買い出しは さっすがに人の姿に戻る
優斗
ねぇ、学校って行ける?
唯
う〜ん……
唯
(難しいんだよな……)
唯
鬼はね、学校に行っても
行かなくてもいいの
行かなくてもいいの
優斗
ええっと……
お母さんはどっちの方がいい?
お母さんはどっちの方がいい?
唯
私は
優斗の好きな方に
して欲しい
優斗の好きな方に
して欲しい
唯
ちゃんと考えてからでいいよ
唯
私も質問は受け付けるから
そう言って私は優斗の頭を撫でた
優斗
……うん
分かった
分かった
そう言って縁側にかけてった
唯
転ばないでね
うん
唯
(小さな子で良かった……)
唯
(でもこれから大きくなるに連れて
私を怒鳴りつけるだろうな……)
私を怒鳴りつけるだろうな……)
唯
(僕は他の人と一緒にいたかった
……って私も言いたかったな……)
……って私も言いたかったな……)
唯
(近所の子供とかいたら
良いんだけど)
良いんだけど)
唯
(こんな山奥じゃな……)
そう聞こえない声で言ってから 私は優斗が座る縁側を見た
冬だけど 青々と生い茂っている草や 小さな川のせせらぎが気持ちい
優斗
ねぇ、お母さん
人と鬼って何が違うの?
人と鬼って何が違うの?
唯
人はね
生まれてから死ぬの
生まれてから死ぬの
唯
だけど、鬼は
死にたくても死ねない
死にたくても死ねない
唯
人って儚いけど気楽なんだよね
そんな人を
鬼は守らないといけないんだよ
そんな人を
鬼は守らないといけないんだよ
唯
闇から、黒い光からも
優斗
黒い光?
分からない
分からない
唯
そうだね
唯
今は分からない方が良いよ
そう言って私は 木々に癒しを与えた






