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꒰ঌ佐藤 零華໒꒱
658
#虐めパロ
みー @STPR箱推し
4,203
倉庫の外で,雨が更に強くなる。 照明は,もう安定しない。 薄暗い中で, 二人の距離だけがはっきり分かる。
康平は, まだ蓮音の手首に触れている。
離すと言った。 止めるとも言った。 それなのに。
康平
名前を呼んだ瞬間, 自分で分かるほど,声が近かった。
蓮音は,目を閉じたまま,答える。
蓮音
康平
言葉を探す。
康平
蓮音の眉が,わずかに動く。
康平
一歩,近づく。 もう,額が触れそうだ。
康平
喉が鳴る。
康平
蓮音の呼吸が,浅くなる。
蓮音
康平
否定しない。
康平
それでも。
康平
蓮音は,目を開けた。
青い瞳が,まっすぐ康平を見る。 逃げ場のない視線。
康平
一瞬,迷ってから。
康平
蓮音の表情が,凍る。
康平
康平
康平
蓮音
沈黙。 雨音が,やけに大きい。
蓮音
声が低い。
康平
一歩,踏み込む。
康平
距離が,ゼロになる。 息が,ぶつかる。
康平
その言葉が落ちた瞬間。
蓮音の手が, 康平のシャツを掴んだ。 強くない。 でも,離す気もない。
蓮音
震える声。
蓮音
康平
蓮音
視線が揺れる。
蓮音
康平は,否定しない。
その代わり。
額が,触れた。 ほんの一瞬。
次に,唇が,触れる。
深くない。 確かめるだけの,短いキス。
それでも,離れた瞬間, 二人とも息を乱していた。
康平
反射で出た言葉。 でも,もう遅い。
蓮音
そう言いながら,蓮音は, まだシャツを掴んだままだ。
蓮音
一度,息を吸う。
蓮音
言葉が,途切れる。
蓮音
康平の胸が,締めつけられる。
康平
ゆっくり,答える。
康平
それは,宣言だった。
蓮音の指が,少しだけ緩む。
蓮音
視線を逸らして,続ける。
蓮音
康平は,迷わなかった。
康平
短く,はっきり。
蓮音の肩が,震える。
蓮音
小さく笑う。
蓮音
二人は,もう一度,近づく。 今度は,躊躇しない。
雨音に紛れて, 逃げ場のない倉庫で, 二人は同じ場所を見ていた。
──戻れない場所を。
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