桃くんが亡くなったのは次の日の明け方のこと
陽が昇ると同時に亡くなった
僕はその時寝ていて病院から電話がかかってきてそこから行った
僕がついた時はまだかろうじて心肺は停止していないという状態だった
僕は桃くんと手を握り呼び続けた
その時少し目が開いた気がした
そして頑張って口を動かしていた...
それを言い終え優しく微笑み
そのまま心肺が停止し亡くなった
僕は桃くんが何を言っているか分かった
動かしているか動かしていないかわからないくらいだった
でも僕に向けて
『蒼ありがとう』
と言っていた
この言葉は一生忘れない
今までかけてくれた言葉の中で1番嬉しいようで悲しいようで寂しかった
昨日約束したのに...
ずっと一緒に生きるって...
桃くんのバカッ...
でもありがとう
こんな僕を愛してくれて
こんな僕を受け入れてくれて
こんな僕を見ていてくれて
こんな僕と過ごしてくれて
僕は冷たくなった桃くんに精一杯の笑顔を向けた
桃くんと約束したんだ
どちらかが先にいっちゃったときは精一杯の笑顔を向けるって
だから僕は笑顔を桃くんに見せた
でもその笑顔は5秒も立たずに崩れてしまった
涙が溢れ出てくる
今日は亡くなった桃くんはここにいるらしい
桃くんはいつもみたいに眠っているようにしか見えない
とりあえず今日は出来る限りここにいよう
明日は通夜があるみたいだ
でも正直言って通夜出られる自信がない
メンタル的に本当に厳しい
そんな僕を察してくれたのか桃くんの親御さんが明後日のお葬式に来てと言われた
なので明日は僕は家で桃くんの荷物の整理担当だ
冷たくなった桃くんにいろんな話をした
昔やったデートの話
前話した内容などいろんな話をした
でも夜になってしまったから帰るしかない
帰ったら桃くんの荷物整理をしよう
帰ってきた
とりあえず桃くんの荷物...
色々なものが出て来た
前に買ったキーホルダーとか思い出の品があった
桃くんの入る棺に入れてあげたいが どうしても手放したくない
だから僕が持っていることにしよう
桃くんのクローゼットを漁ると奥から写真が入ってるアルバムが出て来た
とっても分厚い
片付けもひと段落したし少し見てみよう
開いた瞬間涙が溢れた
僕と桃くんと一緒に写ってる写真
僕しか撮られてない写真
僕のたちの写真でこのアルバムが埋め尽くされていた
桃くんの暖かさを写真越しに感じ更に涙が出てくる
荷物の整理が終わった
捨てられないものがほとんどだ...
これでいいだろうと思い寝室へ行く
あっ...
桃くんが入院してる時は何も思ってなかったけど一緒にいつも寝てたからこのベット広いんだ...
入った時に少しした桃くんの匂い
布団についてる桃くんの匂い
それが全てこれから過去のものになってしまうと思うと胸が苦しくなる
今日は寝れそうにない...
ベットの上で転がりながらずっと桃くんのことを考えていた
気分転換にでもスマホで動画でもみよう
スマホを開きほんとはYouTubeを開くつもりだったのに真っ先に写真を開いてしまった
ビデオを見てしまった
そこには歌ってる桃くんと歌ってる僕
カラオケに行った時の動画だ...
桃くんの声が聞こえ僕の視界に...いや この部屋に桃くんがいる
正直言って桃くんが亡くなって数年経つのが怖い
桃くんが過去のことになってしまうんじゃないかと...
気がついたら朝だった...
一応髪の毛だけは整えとこう
そんな時インターホンが鳴る
出てみると桃くんのお母さんだった
花束とビデオレターといって渡されたもの
花束は9本の綺麗バラだった 赤3本オレンジ3本青3本だ
ビデオレターが気になった僕は家にいるのが少し辛くなったのであまり人がいない桜の咲いている公園に行った
やっぱりこの公園はいつ来ても人が少ない
なんなら今日は僕以外誰もいない
僕はビデオレターを再生した
『ん?これちゃんと撮れてんのか、?』
『えー...こんにちは』
『少し恥ずかしいんだけどビデオレターを撮ることにしました』
『ほら俺がもう治らない病気なのは承知のこと』
『きっとこのビデオを見ている頃にはもう俺はこの世界には居ないんだろうな』
『どんな時でも俺のことを支えてくれて本当にありがとう』
『俺が今1番伝えたいのは感謝の気持ち』
『本当にありがとう』
『これだけ尽くしてもらって何も返せないっていうのは』
『すごい申し訳ないんだけど許してくれよ』
『ほら、この病室でさ話した色んなこと今でも全部思い出せるよ』
『薬の副作用で苦しむ俺に』
『なんども、なんども僕が変わってあげられたらってってさ』
『その気持ちがただ嬉しかった』
『でももしこの立場が逆だとしたら俺きっと耐えられない』
『だってさ蒼が苦しむ姿なんて見てらんねぇもん』
『だからさ俺でよかったって思うんだ』
『俺がからかってあの看護師さんすげぇいいよ、胸もでけぇし』
『って言った時の蒼の顔w あれは傑作だった』
『2人きりになった時こっそりキスした後の照れた顔も』
『りんご剥きながら嬉しそうに話してくれたその日の出来事も』
『この部屋に入る前に気合い入れてわざわざ笑顔作ってくれた優しさも』
『些細なことで喧嘩したあの日も』
『最後に言った去年の旅行も』
『お前の言葉や仕草1つ1つが全部全部宝物だよ』
『ぁっぁって... なんかくさいぞ俺』
『俺の1番最後に愛した人が蒼で本当によかった』
『ずっとずっとずっと愛してる』
『あっでも俺が居なくなったら俺のことなんてすぐに忘れてくれよ、?』
『俺のこと思ってても、もう 会えないだろ、?』
『それに幸せになんてしてやれねぇもん...』
『だから幸せになれ、!』
『他の奴とちゃんと恋愛して家庭を作れ』
『きっとそばで見てるよ』
『ストーカーとか言うなよ?』
『たまにほんのたまにさ俺みたいな男が居たなって』
『思い出してくれるだけでいいからさ』
『幸せになんねぇと承知しねぇぞ?』
『さよならなんて言わねぇからな?』
『じゃあこれくらいにすっかな』
『ていうかまじでこれ撮れてんのか?』
という感じでビデオレターが終わった
俺は誰もいない公園で
泣いていた
僕は空に向かって言った
『桃くんと一緒に幸せになりたかったな』
あとがき
この物語はさとみさんの動画『天国からあなたへ』を元に作られた物語です
何回か病室の中でビデオレターに出てくることを入れました
蒼くんがビデオレターをとともにもらうバラですが
本数は9本となっています
意味はいつもあなたを想っています
天国に行ってしまった桃はいつも蒼のことを想っている
蒼も桃からは忘れろと言われているがどうしても忘れられずにいつも桃のことを想っている
そんな2人の心情を表しているのがバラ
色にも意味があり
赤 あなたを愛しています
それは2人が同じ世界で生きることが出来なくてもおたがいに愛しているということ
オレンジ 絆
2人は離れているがいつも絆で繋がっているから遠いようで近い存在ということ
青 夢が叶う、奇跡、不可能
青には3つの意味を込めました 奇跡で桃が亡くなることがなく2人の密かな夢『結婚』という夢を果たしたかったがそれは不可能ということ
蒼がお見舞いのために持ってきた 桃色のスイートピー
その花言葉は 『優しい思い出』
今までの蒼と桃の思い出はけっして消えることがなく永遠にどちらの心の中にも優しい思い出として残るということ
そして最後に
ここまで読んでくださった方々ありがとうございます
また次回のシリーズもよろしくお願いします
それでは〜、!
コメント
8件
青ちゃんと共に泣きました( ; ›ω‹ )🌀
こんなん泣くわ(´;ω;`)