エクス
ゆっくりと青年が海へと歩く
胸辺りまで海水に浸かると、青年は人の足が消え、代わりに魚のような鰭が現れた。
青年は水に愛された人魚。
水という概念がある限り、死ぬ事の無い不老不死者。
青年の名はエクス。
名も無き英雄。渡り鳥、その人である。
エクス
水に入るのは何年ぶりだろう?
仲間たちといる時は水に入りたいなんて感じない程に充実していた。
でも彼らはどれだけ足掻こうと所詮は生き物。
いつかは必ず死ぬ。
僕だって水という概念そのものが無くなれば死ぬ。
けれど、仲間たちは転生しても必ず迎えに来るって約束したから、彼らが現れるまでの間は彼らに色々な話ができるように思い出を作っておこう。
エクス
エクス
僕がいる砂浜には僕の他には小さな生き物たちしかいない。
優しい波の音に耳を済ませながら僕はうたた寝をしていた。
ザッザッザッ...
静かだった砂浜に人の足音が現れた。
エクス
その足音は迷いなく僕の所へと近付いてくる。
足音は僕の前で止まった。
未だに微睡んでいると、
シェイン
懐かしい声が降ってきた。
エクス
これが僕が軍に入って、戦争や外交をする事になった最初の出来事だ
これは幾度もの死を迎えたって必ず、不老不死の人魚を迎えに来る仲間たちとの話だ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!