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楠木秋巴

ん…

養護教諭

あ、起きた?

養護教諭

そろそろ帰りの時間やからもう家帰りぃ

楠木秋巴

すみません、寝過ぎました

次に目を開いた時には、

外はすっかり夕日色に 染まっていた。

たぶん先生には仮病だって 気付かれているけど、

見逃してもらえたようだ。

私は先生にお礼を言い、 リュックを背負って校舎を出た。

宮治

!、秋巴ちゃん!

楠木秋巴

え、宮くん…?

と、校門を出たところで 後ろから足音と声が聞こえた。

振り向くとそこには すっかり見慣れた銀髪。

驚きと戸惑いで 思わず足を止めた。

楠木秋巴

部活は?

宮治

今日休みやねん

楠木秋巴

そう…

私の顔を窺う宮くんに 目を逸らして俯く。

赤くなってるだろう目元に 気付かれたくなかったから。

宮治

さっきはすまんかった

宮治

アイツら俺の跡つけてきたみたいで、あの場所バレてもうた

楠木秋巴

いいよ別に

楠木秋巴

宮くんのせいじゃないし、最初から私達だけの場所じゃないしね

そう返せば宮くんは 悲しそうに顔を歪める。

擁護したつもりだったけど、 何か言ってしまったかな。

楠木秋巴

…じゃあね

宮治

待って!これ

楠木秋巴

!、何でそれ…

少しの沈黙の末、半ば 逃げるように帰ろうとすると、

手首を掴まれた。

そして宮くんの手には 見覚えのある缶があった。

底が歪んでいてリボンも ぐちゃぐちゃになっている。

宮治

これ、俺に持ってきてくれたんやろ?

楠木秋巴

そう…だけど、もう中ぐちゃぐちゃだろうし

楠木秋巴

持って帰るから返して

宮治

嫌や

楠木秋巴

なんでよ、

宮治

だって今返したらもう作ってきてくれんやん

楠木秋巴

そんなこと…

そんなことないとは 言えなかった。

だって作り直して 渡そうなんて。

もう宮くんとは 関わりたくないと思ってたから。

楠木秋巴

そんなボロボロなの見て欲しくないもん

宮治

俺は秋巴ちゃんが俺に作ってきてくれたから食べたいんよ

楠木秋巴

…もう好きにすれば

一向に引こうとしない 宮くんにそう返せば、

手首を掴む手がほどかれる。

かと思えば缶を 開け始めた。

楠木秋巴

ちょっ、せめて帰ってから…!

そんな私の言葉も無視され、 パカッと缶が開かれる。

中にはほとんど砕けた 無惨なクッキー達が、

ぐちゃぐちゃになって 入っていた。

隣 の 席 の 片 割 れ く ん

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1,051

コメント

7

ユーザー

無理泣いちゃう、、、秋巴ちゃん大好きだよ、、、。

ユーザー

初コメ失礼します!もう一気見しちゃいました!めちゃおもしろいです!次回も楽しみにしてます!

ユーザー

宮くん優しい!!👏👏 最高じゃないですか!!😭😭 クッキーがその身を犠牲にして2人を繋いでくれたんですね!!クッキーはボロボロになっちゃったけど… 次回も楽しみに待ってます!!💕💕

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