上岡菊次郎
ども、上岡菊次郎(うえおかきくじろう)です
上岡菊次郎
久しぶりということもあり、まず慣らしで書きます
上岡菊次郎
ボクはいわゆるイラストレーターっていうやつで、自宅に籠っていた
上岡菊次郎
そんな事をよく思っていない人がいた
上岡さくら
ちょ、くさーい
上岡菊次郎
風呂には入っていますが
上岡さくら
臭いし五月蝿い
兄嫁の上岡さくら(うえおかさくら)だ
会うたびに小言を愚痴愚痴と言われる
上岡菊次郎
そして事件は起きた
上岡菊次郎
受注先から帰ってきたときだった
上岡喜一郎
おい
上岡菊次郎
何だよ兄貴
上岡喜一郎
これが、お前の部屋の棚から見付かったらしい
上岡さくら
変態、糞、死ね
上岡菊次郎
は?
上岡華
…
上岡喜一郎(うえおかきいちろう)、兄貴 上岡華(うえおかはな)、兄貴の娘
上岡菊次郎
何のことだよ
上岡喜一郎
さくらが部屋に行ったら見つけたらしい、華の下着だよな?
上岡喜一郎
家族として、軽蔑するよ
上岡菊次郎
…そうかい
上岡菊次郎
なら、出てくわ
上岡さくら
うふふ、やったわ
上岡さくら
邪魔だったし、ばいば~い
上岡菊次郎
まあ、っていうことでよろしく
指田幸助
なんだそりゃひでぇな
高校生のころから友人、指田幸助(さしだこうすけ)
上岡菊次郎
まあ、あと電話だらけになるかも
指田幸助
ほん?
上岡菊次郎
案の定、予想通りだった
上岡菊次郎
はいもしもし
上岡喜一郎
な、なぁ
上岡菊次郎
なんだよ兄貴か
上岡菊次郎
今忙しいから後で
上岡喜一郎
待て待て待て、話だけでもさせてくれ
上岡菊次郎
暇じゃないんだが
上岡喜一郎
…すまん、その、父親から聞いた
上岡喜一郎
お前がうちの家賃支払ってたんだよな?
上岡菊次郎
あぁ
上岡喜一郎
いま、支払ってるんだよな?
上岡菊次郎
追い出された身、払う気はない
上岡菊次郎
あと、学費もな
上岡喜一郎
なっ?!
上岡喜一郎
ちょ、ちょっと、待ってくれ!!
上岡喜一郎
が、学費も、か?
上岡菊次郎
まあ
上岡菊次郎
追い出されたし、払う必要もないよな?
上岡菊次郎
変態なんだろ?
上岡菊次郎
変態から貰う金は嬉しいか?
上岡喜一郎
い、いや、ちょっと待て、頼む、学費は、頼む!!
上岡喜一郎
や、家賃は支払うから
上岡喜一郎
うん、家賃は支払う!!だから…
上岡菊次郎
娘に聞いたら?
上岡菊次郎
俺みたいな下着泥棒に学費支払って貰いたいか?って
上岡喜一郎
いや、その
上岡菊次郎
じゃ
上岡喜一郎
ま、待て!!
上岡菊次郎
プツッ
上岡喜一郎
ああああ!!!!
指田幸助
ゲッ
上岡菊次郎
どうした?
指田幸助
お前の兄貴いる
上岡菊次郎
マジか
上岡喜一郎
こ、ここに上岡菊次郎は、い、いるか?
上岡菊次郎
なんだよ
上岡菊次郎
人様の家にまで押し掛けてきて
上岡喜一郎
すまん!!
上岡喜一郎
申し訳ない!!
上岡喜一郎
妻が、さくらが、下着をお前の部屋に入れた、って白状したんだ
上岡菊次郎
ふうん
上岡菊次郎
だから?
上岡喜一郎
だ、だから、その、した、下着泥棒じゃないんだし、その、家に戻ってきて、くれて…
上岡菊次郎
家族として、軽蔑する、兄貴が言ったんだよな?
上岡喜一郎
ぐっ
上岡喜一郎
すまん!!
上岡喜一郎
謝るから!!
上岡喜一郎
ごめんなさい!!
上岡菊次郎
まあ、家には戻る気も、金を入れる気もないから
上岡喜一郎
なっ
上岡喜一郎
た、たのむ、安月給の俺じゃ、100万以上の学費、なんて、払えないんだ!!
上岡喜一郎
お願いいたします、ど、どうか、この通り、学費のお金を入れてください!!
上岡菊次郎
変態の俺から金はいらないだろ?
上岡喜一郎
そんな事、言わないしさくらにも、言わせない、だから
上岡菊次郎
嫌です、今の生活が本当に気が楽でさ
上岡菊次郎
収入も増えるし、変態から貰う金は嬉しいか?
上岡喜一郎
っ、ど、どうしたら
上岡菊次郎
どうしようもないよ、兄貴
上岡菊次郎
兄貴が頑張ればいいんじゃない?
上岡喜一郎
…すまん、すまん、すまん、すまん、すまん
しばらくたってから、兄貴は離婚した
ただ学費も払えず、華は中退したらしい