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氷崎 🫧
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これは去年のこと
季節は夏真っ只中
その日はやけに暑くて
病室の中も嫌な空気で
モヤモヤしていたのを覚えている。
玲王
クーラーと扇風機をフル起動させながら
ダラダラして、スマホをいじっていた
そのときだった、俺の携帯に1つの電話
玲王
どうしたんだろうと思いながら電話に出る
玲王
凪の母
やけに元気のない声に、違和感を感じた
玲王
凪の母
凪の母
玲王
その瞬間、頭を鈍器で殴られたような
鈍い痛みが頭の中に広がった。
玲王
凪の母
電話の向こうで、鼻をすする声がした
凪の母
玲王
電話が終わったあと
すぐに自転車に乗って、全速力で病院に向かった
急いでいるのに、自転車はぐねぐねと道を行く
言うことを聞いてくれないのは自転車か
それとも
俺の震えた手か
病院に着いた
中に入ると、目元を赤く腫らした凪のお母さんがいた
凪の母
玲王
玲王
凪の母
後ろを着いていく足が震えていた
急いで疲れたのか、足には重りが着いているようだった
病室の前、足を止めた
凪の母
凪の母
言葉に詰まった
玲王
こくと頷いた。
凪の母
ドアを開けた
その先にいたのは、
包帯で頭を巻かれて、外を見つめる凪だった
凪の母
玲王をじーっと見つめる凪の視線は
ただひたすらにぼーっとしていた。
凪
凪のお母さんが心配でこっちを見ている視線に気づいた
玲王
本当は覚えてくれているんじゃないかと
自分の心に少しだけ残した希望は
その一言ですっと消えてしまった。
玲王
凪
凪
玲王
それでも少しだけ安心した
凪の何も変わっていなかった。
少し間が空いて、凪は俺にこう訪ねた
凪
玲王
凪
凪
玲王
なんて言おうか迷った
本当は"恋人"だから。
凪のお母さんもそれを知っていた
だけど、記憶を無くした凪にこんな事を言っていいのか
少し迷って、こう答えた。
玲王
凪のお母さんが泣き崩れた
声を押し殺しながら、病室の隅で。
心配させないように笑顔をつくった
その笑顔はきっと引きつっていただろう。
凪
凪
何気ない凪の言葉がやけに刺さる
玲王
凪
凪
俺の方に手を伸ばしてくる凪の手を
優しくそっと握り返した
玲王
するとドアが開いた
医者
そこには医者が立っていた
凪
のそのそとベッドから起き上がる凪
凪
凪
振り返って俺に言った"またね玲王"が
何故かたまらなく嬉しくて
ドアが閉まったのを確認して
我慢した涙を全て出すように俺はその場に崩れ落ちた
凪の母
背中をさすってくれるおばさんの手が
優しくて余計に涙が溢れた
凪の母
凪の母
玲王
玲王
玲王
荒い呼吸が邪魔して上手く喋れない
玲王
玲王
呼吸と共に吐き出すようにそう言った
凪の母
病室に2人の泣き声だけが響いた
𝐍𝐞𝐱𝐭······▸500♡ 🙏🏻 💭