どれだけの時間が経ったかは分からないが ノックを躊躇して暫く立ち止まっていた
するとドアは開いた
綾斗(アヤト)
つもりなら追い出すよ
五条
綾斗(アヤト)
そう言い,あの人は 奥へ消えていってしまった
綾斗(アヤト)
綾斗(アヤト)
狂わした所から話そうか
五条
綾斗(アヤト)
綾斗(アヤト)
何年前だったかは覚えてない, でも確か亮が小学生の頃
亮は女教師に居残りするよう言われたんだ
女教師は不気味な笑みを浮かべて 一言も喋らなかったらしい
性的な目的で強引に亮を襲った
その時の亮は泣きもせず騒ぐ訳でもなく ただジッとしてたんだ
理解できなかったんだと思う, 担任がそんな目で自分を見ていたことを
ただ亮は全てに恵まれており 亮を狙う者は沢山いた
だから当然 護衛だってついてる, 亮は幼い頃から当主だったから
直ぐに護衛は異変に気づき 亮が完全に汚される前に救出できた
でも手遅れだった,亮は幼い子供ながら 醜い大人に慰めモノにされたから
そこから亮の歯車は狂っていった
貴方だって騒がなかったじゃないッ!!
内心喜んでいたんでしょ!? 子供のうちから経験することが出来て!!
護衛に捕らえられた女教師は 愚かにも亮に,そんな言葉を浴びせた
亮は子供が耐えられるストレスの 限界を超えて倒れ込んだよ
本当に静かに倒れ込んだ,襲われてから 一言も声を発することなく
それからだった,亮が貼り付けたような 笑みを浮かべるようになったのは
子供ではない何かを見てるようだった
とても穏やかな笑みなのに その裏には穏やかに穏やかにと 取り繕っていることを知っていたから
子供が,そんな笑みを浮かべなければ ならない世界を俺は恨んだ
そして何より父親を亡くした 母親の執着が強かった
ついには体の関係を持とうと,せがんだ
その時でさえ亮は顔色一つ変えずに その母親に対して笑顔だった
受け入れたんだ,母親の願いを
父親の代わりであることを
亮は優しいから誰かの為になれるなら 何だってする
断ることはしない
それがどれだけ反吐が出そうでも 亮は受け入れてきた
だから亮は勘違いされやすい
好意を向けられやすい
綾斗(アヤト)
受け入れる代わりに
綾斗(アヤト)
出来なくなっていた
その話を聞いていて言葉を失った
綾斗(アヤト)
人間が亮を狂わせたから
綾斗(アヤト)
酷い仕打ちをしてきた人を
綾斗(アヤト)
愛を求めるから彼奴は今も
尚,苦しんでる
綾斗(アヤト)
ずっと苦しめられている
綾斗(アヤト)
あんな事があっても人を
諦めきれないんだ
綾斗(アヤト)
傷つけてしまう人に罪悪感
を抱いている
綾斗(アヤト)
関わらない道を選ぼうとも
してた
綾斗(アヤト)
くれやしない
綾斗(アヤト)
...神は酷なもんだ
体の震えが止まらない
俺が誤解してたこと,知ろうとしなかったこと
その裏には想像もできない酷なことが存在していた
先輩が黙り込む理由,それは全て 人を傷つけないようにと
先輩なりの"愛"だったのに
五条
五条
綾斗(アヤト)
権利は無いよ
綾斗(アヤト)
なんて存在しない
綾斗(アヤト)
都合よく亮を悪者にする
綾斗(アヤト)
綾斗(アヤト)
知らずに...
俺は先輩を知れなかったんじゃない
知ろうとしなかったんだ
あんなにも近くに先輩が居たのに 見ようとしなかった
綾斗(アヤト)
全ては知らない
綾斗(アヤト)
受け入れる理由も ,
彼奴の目が俺達をちゃんと 写していない理由も
綾斗(アヤト)
1部だけでも耐えられ
そうにないのなら
綾斗(アヤト)
もう近づくな
綾斗(アヤト)
耐えきれず自害する
後輩くんの手は震えていて息をするのも 苦しそうだった
綾斗(アヤト)
綾斗(アヤト)
それに痛い目を見るのは
君も同じだ
五条
下を向いていた後輩くんは口を開いた
五条
綾斗(アヤト)
離れないよ
後輩くんは意味が分からなそうな顔をした
それもそうだろう 忠告した本人は離れないのだから
綾斗(アヤト)
綾斗(アヤト)
自信はない
綾斗(アヤト)
苦しみを俺は死ぬまで
背負うつもりだよ
それが俺の亮に対する愛「依存」だ






