茜さすあの丘で【大正浪漫】~幼き日の憧れは、時を経て真の慈しみへと変わる~
【埼玉県西部。二人は、森と水に囲まれた自然豊かな町にある夕日の美しい棚田の丘で、偶然出逢った】
村上国雄(34歳)は、巨大なセメント工場を有する村上セメント(株)の御曹司。アメリカに留学経験を持つ国雄は、持って生まれたセンスと大胆な戦略で、若くして実業家としての頭角を現し、地元だけでは飽き足らず東京へも進出してさまざまな事業を手掛けていた。
一方、大瀬崎紫野(20歳)は、町で一番大きい製糸工場を営む大瀬崎蚕糸(株)の一人娘だった。しかし、彼女は17歳の時に両親を事故で失ってしまう。その後、父親の会社は伯父夫婦が経営を引き継ぎ、紫野は伯父の元で肩身の狭い思いをして暮らしていた。
国雄が20歳、紫野が8歳の時、二人は偶然夕日の綺麗な棚田で出逢った。
そして、12年後二人は再会し、紫野は国雄の家で暮らすことになった。