全部、片思いだった。
高校を舞台に、六人の「好き」の形が交差していく物語。
明るく人懐っこい 湊斗 を中心に、仲間たちはそれぞれ胸に秘めた想いを抱えていた。
湊斗は自覚していないまま 莉亜 に惹かれつつ、
周囲の男子たちからも向けられる好意に気づかない。
素直になれない 斗亜 は、湊斗を前にするとつい口調が荒くなる不器用な片想い。
明るく優しい 新 は、湊斗を「友達以上」に見てしまう自分に戸惑っている。
その新を支えながらも密かに想う 尚永 は、茶化しながら本心を隠し、
さらに尚永へ本気の想いを抱く 燈稀 も、軽口を武器に距離を保っていた。
そしてクラスの人気者・莉亜。
恋愛が少し苦手で、誰を好きなのか自分でもわからなかった彼女は、
唯一“秘密のノート”を見せた湊斗にだけ、心を開き始める。
やがてそれぞれの「好き」は隠しきれなくなり、
ある日の放課後、六人はついに想いを告白し合う。
湊斗は莉亜が好き。
新も斗亜も、湊斗が好き。
尚永は新が、燈稀は尚永が、
そして莉亜は、やっと自分の気持ちと向き合い――湊斗が好きだと伝える。
誰もが誰かを想い、すれ違いながら繋がっていた。
ひとつの答えに収まらない恋の形を、それでも受け止めながら前に進もうと決めた六人。
その日から、彼らの関係はゆっくりと、でも確かに変わり始めていく。