誰にも気づかれずに、消えた僕
『ただいまを言えた日』
――「壊れても、名前を呼んでくれた人がいた。」
人気歌い手グループ「いれいす」。
その一員、“ほとけ”としてステージに立っていた彼は、ある日突然、姿を消した。
笑顔の裏で抱えていた孤独、誰にも言えなかった苦しみ、
「“ほとけ”でいること」によって壊れていく自分。
信じたかった。
けれど怖かった。
「本当の自分」は、もう誰にも受け入れてもらえないと思っていた。
心を閉ざし、音楽からも仲間からも離れた“いむ”。
それでも──「6人でなきゃ意味がない」と叫ぶ仲間たちの声、
「ずっと待ってるよ」というファンの言葉に、少しずつ心が動き出す。
最終的に選ばれるのは、破滅か、希望か──。
これは、ひとりの“いれいす”メンバーが、自分を取り戻すまでの、涙と光の物語。
そして、どんな形になっても「仲間」がそばにいるという奇跡の証明。