銀色の帽子と白枯れの田 ~異世界微生物学で米を救う~
1)登場人物一覧
アキム(男性)
異世界へ転移した農学系研究室出身の青年。微生物学の知識を持つ。感情を押し殺さず、不安や迷いと向き合いながら観察と比較を重ねる。
アン(女性)
教会に仕える女性。人を励ますことに長け、当初は浄化こそ正義と強く信じている。アキムたちの調査結果を受け、新しい清浄の考え方を受け入れていく。
ミルヴァ(女性)
錬金術工房の技術者。故障や不足に即応し、簡易拡大器、培養器、改造誘蛾灯などを作り上げる。
ディーヴオン(男性)
辺境守備隊長。決断力と行動力があり、自ら危険な場所へ入る。成果を独占せず、兵士や農民の働きを称える。
ムエイル(女性)
穀物管理官。長期間の記録と数値化を重視し、病害率、水路、収量を比較して対策の根拠を作る。
2)あらすじ
異世界の水田で目覚めたアキムは、稲が白く枯れる謎の病害に遭遇する。感染田は七日後に焼却され、二十日後には王都へ年貢米を送らなければならない。手掛かりは、目に見えない痕跡を銀色に映す不思議な帽子と、前世で学んだ微生物学だった。
教会の浄化を信じるアン、技術者ミルヴァ、守備隊長ディーヴオン、記録を積み重ねるムエイルと協力し、アキムは白枯れの原因を追う。やがて、病原だけでなく稲を守る微生物まで強い浄化で失われていたこと、さらに誘蛾灯の浄化波が水田の微生物相を崩していたことが判明する。
米糠の発酵液と改造誘蛾灯を武器に、豪雨と病害から米を守る五人。帰還の手掛かりだった銀色の帽子さえ使い切った先で、アキムは自分が本当に行きたかった場所を見つける。