その絆はまだ途中
普通になりたかった。
誰かと笑って、
くだらない話をして、
明日もまた会えると信じていたかった。
そんな当たり前を。
長瀬ゆきは、異能を持つ者たちが集まる組織「結び屋」に所属している。
氷を操る力。
仲間たちとの日々。
そして、過去に置いてきた傷。
平穏とは程遠い世界で生きながらも、ゆきには変わらない居場所があった。
幼い頃から共に育った斎藤臨時と綾橋一樹。
そして結び屋の仲間たち。
彼らと過ごす時間だけは、異能も戦いも忘れられる。
食堂での夕食。
仕事帰りの他愛ない雑談。
休日の買い物。
くだらないことで笑い合う日々。
そんな時間が、何より大切だった。
しかし、異能を巡る争いは少しずつ激しさを増していく。
過去に隠された真実。
それぞれが抱える後悔。
そして、避けられない別れ。
守りたいものが増えるほど、世界は残酷な顔を見せていく。
これは、
普通になれなかった人たちが、
それでも誰かと共に生きようとした物語。
失われても消えないものを信じ続けた、
絆の物語。