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5x5のマス目で中心にはFREEの文字。
これはビンゴカードのデザインに似ている。
ただし、各マスには数字のかわりに風景や建物などの絵が描いてある。
ユウゴ
自然教室で森林公園に行った時にやったことがある。
マスに描かれた場所に行ったり、花や木の実を集めて、ビンゴのように点数を競うゲームだ。
問題文の『そろえて真っ直ぐ』と言うのも、真っ直ぐのラインを作れということじゃないだろうか。
ビンゴなら、真ん中のFREEを通るラインをそろえれば、当てるマスは4つですむ。
それが正解かはわからないけど、動かないことにははじまらない。
ユウゴ
最初の目的地を、左上のマスの噴水にして出発した。
ここの公園は、噴水広場、アスレチックフィールド、運動場と、3つの大きなエリアが間を通る三叉路で分かれている。 この時間は、遊ぶ子供、犬の散歩をする人、近くの中学や高校の運動部の練習などで、意外と人がいた。
ユウゴ
ぼくが置かれた状況は、人に説明が難しすぎる。
と思っていたら
アルク
と、背後から声をかけられた。
振り返ると、実に意外な人物が立っていた。
ユウゴ
アルク
この自己紹介ギャグは、間違いなく本物のアルクだ。
ユウゴ
アルク
アルクが手に持っていたのは、入学案内の裏のビンゴ表。
ぼくと同じように、今朝起きたら枕元に手紙があって、さっきガイド妖精が来たと言う。
どん。
ユウゴ
話していたら、誰かに背中にぶつかられた。
ユトリ
ユトリ
ユトリ
この、ものすごくへりくだった話し方にも聞き覚えがある。
振り返ると、何度も頭を下げているユトリがいた。
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
アルク
ひとりより3人のほうが心強い。
ひとまず、自己紹介と持っている情報の交換のために、噴水前のベンチに3人で並んで座った。
アルク
ユウゴ
ぼくより背が低いから、同い年くらいだと思っていた。
アルク
ユウゴ
アルク
ユウゴ
アルク
ユトリ
アルク
ユトリ
となりの市の私立中って、かなりレベルが高くて入試も難しいって有名なところだ。 ぼくのクラスでも、受験のために今から塾で毎日勉強漬けで大変だって言っている子がいた。
アルク
アルク
ユトリ
3人でもう一度、入学案内の裏を見比べる。
内容は全員同じで、5x5のマスの中にお店や施設や風景等の絵が並んでいる。
アルクとユトリも、左上にある噴水の絵から、この公園の噴水を連想してやってきたと言った。
アルク
レクリエーションのフィールドビンゴであれば、係の人が待っていてスタンプを押してくれたりするけど、それらしい人はいない。
正解ならガイド妖精が出てきても良いんだけど。
ユトリ
ユウゴ
アルク
ビンゴ表の上の制限時間は、すでに22時間48分まで減っている。
いつの間にか1時間以上がすぎていた。
この紙は魔法で書き換わるようになってるから、自分でペンで○とかの印をつけても意味は無い。 何かの条件を満たさないと、マス目の場所をクリアしたことにはならないんだ。
問題文の『そろえて真っ直ぐ』からフィールドビンゴだと思ったけど、何か違う意味があるのかもしれない。
アルク
突然アルクに両手で押されて、ぼくの体がベンチから転がり落ちた。
ユウゴ
と叫ぶぼくの目の前で、噴水から飛んで来た水が、さっきまで座っていた場所にふりかかった。
アルクとユトリは立って離れたあとだったので、少し服が濡れた程度ですんだ。
ユウゴ
アルク
状況はわからないけど、緊迫した雰囲気は肌で感じた。
すぐに起き上がって、アルクがにらんでいる噴水の方に視線を向けた。
ナミスケ
噴水を挟んだ向こう側に、男の子がひとり立っていた。
右手に、刃渡り20センチくらいのダガーナイフを逆手で持っている。
左手には、ぼく達が持っているのと同じビンゴ表。
ただ、左上の噴水のマスに色がついているところだけが違っていた。
ユウゴ
ナミスケ
ぼくの名前を知っている。
いままでに現実で会った覚えは無いから、昨日の夢の中の入学試験で会っていたのか?
チームになったアルク、ユトリ、シシロウの3人以外とは、話すらしていなかったと思うけど。
アルク
ナミスケ
ナミスケ
男の子がダガーナイフを振るうと、噴水の水がうねってアルクに襲いかかった。
水を操る魔法を使えるみたいだ。
アルク
アルク
アルクが右手をかざすと強風が起こり、水の塊は壁にぶつかるように飛び散った。
さらに風を強めて、相手をころばせる。
ナミスケ
男の子は起き上がろうとしているが、上から下への風で地面に押し付けられている。
アルク
ナミスケ
アルクが風向きを上に変えて、男の子の体が10メートルくらい高く吹き飛んだ。
って、そのままコンクリートの地面に落ちたら死んじゃう。
ユトリ
ユトリがハンマーで地面を叩く。
地面がやわらかくなったことで、男の子はケガなく落ちることが出来た。
ユトリ
ナミスケ
男の子は起き上がると、ユトリに対して礼儀正しく頭を下げた。
ユトリはどんなパンツをはいて……
じゃなくて、助けてもらったからだよね。
アルク
アルクの微笑みがちょっと怖かった。
ナミスケ
男の子はナミスケと名乗り、ぼく達を襲ってきた理由を話し始めた。
ナミスケ
アルク
ナミスケ
アルクに対して反抗的な態度で、ナミスケが答える。
ユウゴ
ユトリ
あの時はぼくも無我夢中だったし、なぜあれだけの魔法が使えたのかわからない。 起きてからも全然魔法を使えていないから、今はユトリやナミスケのほうが、ぼくなんかよりもずっと上だ。
ユウゴ
ユトリは魔法を使う時に身長よりも大きいハンマーを使う。
あんな大きい物を隠して持ち歩けないと思うけど、さっきはどこから持ってきたんだろう。
ユトリ
ユトリが手の中にポンッとハンマーを出して、またポンッと消してみせた。
さらに水を開けられた気がする。
アルク
アルク
ナミスケ
アルク
同じ学校の後輩と知って、アルクが平成の運動部みたいなからみ方を始めた。
ビンゴ表の左上の噴水に行ってみたら、偶然ぼく達を見かけたから攻撃してきたということらしい。
ナミスケ
ナミスケ
ナミスケは立ち上がると、ここから去ろうと歩き出した。
ナミスケ
何か言い忘れたことがあったらしく、足を止めて振り返る。
ナミスケ
それだけ言うと、行ってしまった。
アルク
ユトリ
ユウゴ
ビンゴ表を広げて確認すると、いつの間にか左上の噴水のマスに色がついていた。
ユウゴ
ユウゴ
アルクとユトリもビンゴ表を広げると、噴水のマスに色がついていた。
ナミスケのビンゴ表には、ぼく達より先に色がついていた。
色がつくまでに時間がかかるのか、それとも他に条件があるのだろうか。
アルク
アルクが能天気に言う。
ライバルに襲われるというハプニングこそあったけど、アルクとユトリという頼もしい仲間と再会できた。
入学式に向けて、一歩前進だ。
残り制限時間、22時間13分。