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木崎姫歌(きさき ひめうた)
店を出て数分後。
わたし達はアーケードに戻って来ていた。
フェリーの出航時間まであと二時間といったところだろうか。
移動時間も考えると、一時間半もここにはいられない。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
少し考える素振りをする吾蓮。
しかし、答えはすぐに出たようで、
相羽吾蓮(あいば あれん)
と、提案してきた。
言われてみればそうだったな。
意識すると急に腹が空いたように感じる。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
ブツクサ言いながらも歩き出す吾蓮。行き付けの店でもあるのかもしれない。
メイド喫茶とかだったらぶん殴ろう。
などと変な心配をしていたが、辿り着いた先はまともな飲食店だった。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
わたしの苦言を無視し、吾蓮は店内に入って行った。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
わたしも吾蓮の後に続いて店に入る。
すると、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
しかし店内は空いていた。
昼食にしては遅いし、夕食にしては早い時間だ。当然といえば当然か。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
相羽吾蓮(あいば あれん)
トイレは店内の中ほどに設置されていた。
ドアを開け、個室に誰も入っていないことを確認し、入る。
ここからは当然プライベートタイム。
生々しい描写をご所望の方もいらっしゃるとは思うが、そこは花も恥じらう女子高生である。「しばらくお待ちください」の映像で我慢して頂きたい。
ザーッ……。
水を流して個室を出る。手を洗い、ハンカチで手を拭き、前を向く。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
設置してある鏡で、The・ゴールドな髪の色を観察する。
地元と違い、こちらなら目立たないかとも思っていたが、全然そんなことはなかった。
悲しきかな、所詮は地方都市である。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
しかし染め直すのも面倒だし。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
そう適当に結論付け、トイレを後にする。
吾蓮に言われたとおりに奥の席を目指すと、当然だが吾蓮がいた。
テーブルには二人分のお冷やが置いてある。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
昼食を摂っていなかったように、水も飲んでいない。
目に入った途端に気付くというのも、不思議な話だ。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
手に取ると、お冷やはキンキンに冷やされていた。これはありがたい。
ゴクッ。ゴクゴクゴクッ。
天井に顔を向け、一気に呷る。
すると、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
変な、味がした。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
呻き声と同時、わたしは胃の方から何かがせり上がってくるのを感じた。
優秀な味覚は本人の意思などお構いなしに、口内の酸性を知覚する。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
これは、絵面的に非常にマズイ。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
……ゴクン。
わたしは常識と読者への配慮をフル稼働し、無理矢理に嚥下した。
瞬間、
???
という間の抜けた声がした。
どこの世界に、水とポン酒を間違える人間がいるというのだ!?
口を開くことができないので、心中で突っ込む。
あ、ヤバ……怒ると頭が……。
???
――ひぃちゃん?
懐かしい呼び名が聞こえた。
気がした。
声もどことなく、懐かしい。
気がした。
だが、
しかし、
そんなこと、もはや、どうでもよかった。