吸血鬼に愛される

学校につき、席に座り前の席のきんときをぼーっと見つめている時、きんときに名前を呼ばれた

きんときは、申し訳なさそうな顔をして謝ってきた

当たり前だ

今年できんときは1000歳

それに比べて俺らはどうだ

まだ20年も生きていないのに、好き勝手言われるの腹が立つと思う

俺がきんときの立場だったら、俺はキレていただろう

吸血鬼なんて、今じゃ空想生物だって言われているけど

空想生物にしてしまったのは、自分達、人間なのではないか

きんときが言っていたこと

吸血鬼は人間に見つけ次第殺されていた

そんな忠告がされるほど、昔は吸血鬼が身近にいたと言うことだ

そして、殺しすぎてしまったのではないだろうか

吸血鬼を殺しすぎて、1000年の時が経った今、いないと、空想生物だと言われているのではないか

そんな仮説が頭に思い浮かぶ

本当かどうかはわからない

だけど、吸血鬼が空想生物になってしまったのは、人間のせいということは確かだ

なぜなら、1000年前から生きていた吸血鬼が、

「吸血鬼は人間に殺されていた」

と発言しているのだから

きんときの言うことが本当だとは限らない

だが、自然を破壊してきている人間だから、証言なんて無くたって、納得してしまうかもしれない

現に、俺は納得している

きんときは、悩んでいた

両親はなぜ殺されたのか

なんて、聞けないｯ！

わかりやすく言うと きんときの親はどちらかが吸血鬼でどちらかが人間。 そして、人間は吸血鬼を殺していた なのになんで、きんときの親、2人とも殺されたのかな？

と、いうこと

なにそれ…

同じ人種でも、吸血鬼と少しでも関わってしまえば、同じ人間だとしても、殺されるってこと…？

きんときは乾いた笑いをしながら哀しい笑みをこぼした

…

人間と吸血鬼が一緒に、幸せに暮らしていけたのなら

吸血鬼独自の思考と、人間独自の思考で、文明も今よりもっと開花していただろうに

人間って、

面白い

同時に

最低

クズ

薄情

そんな言葉が連なる

人間って、不思議だ