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1 - 自殺サポートアプリ 第1話

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2019年09月26日

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タクジ

ただいま、今帰ったよ

タクジ

おーい、誰もいないの?

タクジ

(おかしいな、リビングの電気はついてるのに)

タクジ

(返事がない)

タクジ

お父さんお母さん、いるんだろ?

リビングのドアを開けた瞬間

目の前で首を吊っている両親の姿があった

タクジ

え…?

タクジ

2人とも、なにしてんの?

タクジ

俺を脅かそうとしてんの?

タクジ

なぁ、おい!

タクジ

返事しろよ!

2人の足元には糞尿が溜まっていてハエがたかっている

タクジ

嘘だろ…

タクジ

本当に死んでる!?

その瞬間、ロープが千切れて母親の体がタクジの上に落下した

死体の口や耳からコポコポと体液があふれ出し

タクジの体に降りかかる

タクジ

うわあああああ!!

数日後の仕事場

職場の先輩A

おいお前

職場の先輩A

両親が自殺したんだってな

タクジ

…はい

職場の先輩B

借金にまみれての自殺だったんだろ?

職場の先輩B

悲惨だなぁ

職場の先輩A

高校を中退してまで働いて親の借金返してたのに

職場の先輩A

お前結局見捨てられたんだな

タクジ

見捨てられたなんて、思ってないです…

職場の先輩B

両親はお前と借金を残して死んだんだ

職場の先輩B

見捨てられたに決まってんだろ

職場の先輩A

だよなぁ!

職場の先輩A

高校中退したって仕事もロクにできないし

職場の先輩A

家庭内でもお荷物だったんだろ

タクジ

そんな言い方…

職場の先輩A

なんだよ、口答えすんのか?

職場の先輩A

こっちはお前のミスを散々被ってやってんのによぉ!

職場の先輩B

そうだぞ

職場の先輩B

お前がトロいせいでこっちの仕事は倍になってんだ

職場の先輩B

ちょっとくらい頭下げたらどうだよ

タクジ

…すみませんでした

職場の先輩A

あぁ?

職場の先輩A

聞こえねぇよ!

そう言うと、タクジの腹部を蹴り上げた

タクジはよろめき、そのまましゃがみ込んでしまう

職場の先輩B

あはは!

職場の先輩B

本当に弱いなお前!

職場の先輩B

お前には土木なんて勤まらないよ

職場の先輩B

悪いことは言わないから、今からでも転職するんだな

職場の先輩A

それがいい

職場の先輩A

お前の夢って医者になることなんだろ?

職場の先輩A

それ、もう1回目指してみろよ

職場の先輩A

って言っても高校中退して借金まみれじゃ無理だろうけどなぁ!

職場の先輩B

それ言えてるなぁ!

職場の先輩B

あはははははは!!

帰宅後

タクジ

(どいつもこいつも俺のことをバカにしやがって)

タクジ

(俺だって好きで高校を辞めたわけじゃない)

タクジ

(土木関係の仕事に就いたのだって、すぐに仕事を始めたくて必死に探したんだ)

タクジ

(両親の借金を返済できれば俺の人生は変わる)

タクジ

(そう信じて、夢を諦めてまで頑張ってきたのに…!)

タクジ

どうして先に死んじまうんだよ…!

タクジ

あいつらが言ってた通り、俺を見捨てたのか?

タクジ

せめて一緒に連れていってくれれば

タクジ

こんな苦しい思いなんてしなかったのに!

誰もいない部屋で怒鳴り声をあげ、テーブルに拳を叩きつける

タクジ

(こんな状態でも明日も仕事に行かなきゃいけない)

タクジ

(無断で休んだりしたら、またあいつらに何を言われるか…)

タクジ

(でも、もう行きたくない)

タクジ

(両親が死んだ今、必死に働く理由もないし…)

タクジ

そっか…

タクジ

俺も死ねばいいんだ

タクジ

1人で借金を背負って、あんな奴らと一緒に仕事をして生き続けるなんてバカらしい

そう言った瞬間、世界が開けた気分になりタクジは笑みを浮かべていた

タクジ

どうせだから両親と同じ死に方をしよう

タクジ

ロープならまだあったはずだし

タクジ

ほんの少し苦しいだけですぐに終わるはずだ!

自殺の準備はすぐに整った

両親が自殺したリビングで、タクジがロープに首を通す

タクジ

ぐっ…!

椅子を蹴るとロープが一気に首に食い込み

タクジの顔は真っ赤に染まった

タクジ

うぅ…!

タクジの手は必死にロープを握りしめ

足はジタバタと空中を蹴り、空気を求めて口が開く

タクジ

あっ…

意識が飛ぶ瞬間、ギシギシときしんでいたロープがブチッと音を立てて千切れていた

タクジの体は勢いよく落下し、同時に空気を吸い込んだ

タクジ

ゲホッゲホッ!

タクジ

(なんだよこれ、思ってた何倍も苦しいじゃねぇか!)

ボロボロと涙をこぼしながら、劣化して千切れたロープを睨み付ける

タクジ

(俺は、自殺することもできないのか…)

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