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ちょうど、その頃

勇也の父

おい、勇也

勇也の父

…まったく、とんでもないことをしてくれたな

勇也の父

そもそも、お前が成績トップなのも初めから疑わしいとは思っていたが

勇也の父

まさかそんな裏の顔があったとはなぁ

勇也の父

…もし噂が立ったりなんかして、俺の仕事に差し支えがあったらどうしてくれるんだ?おい

上原 勇也

…だからこうして、おとなしく自宅謹慎してるんじゃん

勇也の父

あのなぁ、俺の仕事は一流の銀行員なんだぞ?!

勇也の父

信用問題に関わるんだ!!

勇也の父

それがわからないのか?!

上原 勇也

………

勇也の母

まぁまぁ、怒鳴っても仕方ないでしょ?

勇也の母

この子だって…いろいろストレスを抱えてたのかもしれないじゃない

上原 勇也

………

勇也の母

でもね、勇也

勇也の母

お母さん、ガッカリしたわ…

上原 勇也

母さん…

勇也の母

あなただけは、嘘をつかない素直な子だと思ってたのに

上原 勇也

……っ

勇也の母

ずっとそうやって、私のことを裏切ってきたのね?

上原 勇也

ち、違うっ!

上原 勇也

そりゃ、カンニングは悪いことだけど…

勇也の母

じゃあ、どうしてカンニングなんてしたの?

勇也の母

あなた、入試問題にまで疑惑があるみたいね

勇也の母

最悪の場合、退学を余儀なくさせられるわよ!

上原 勇也

………

上原 勇也

ごめん…なさい

上原 勇也

で、でも俺っ…

上原 勇也

母さんに、出て行ってほしくなくて、だから…!

勇也の母

!!

勇也の母

ま、まさか…それが理由なの?

上原 勇也

………

勇也の母

…あきれた

上原 勇也

勇也の父

…なんだ、お前出て行くつもりなのか?

勇也の母

この子が変に勘違いしてるだけよ

上原 勇也

勘違い…?

上原 勇也

こんなにも母親が家にいない時間が多いのに、俺の勘違いなのか?

勇也の母

そ、それは…

勇也の母

仕方ないでしょ、私にだって付き合いってものがあるんだからっ…

そう言いながら、女性の顔を一瞬見せた母を見て勇也はハッとした

上原 勇也

…そういうことか

勇也の母

え?

上原 勇也

やっとわかったよ

上原 勇也

俺って本当にバカでどうしようもないガキだからさ

勇也の母

勇也?

上原 勇也

俺がいくら真面目で成績優秀だろうが、遊んでばかりのバカだろうが…

上原 勇也

母さんは、どっちでもよかったんだ

上原 勇也

そう、俺のことをずっと裏切ってきたのは母さんだから

勇也の母

……!!

勇也の母

ゆ、勇也…

勇也の母

一体、何を言ってるの?!

上原 勇也

俺は母さんの子供だから、俺にはわかるんだよ

上原 勇也

前から薄々は感じてたことだけど…

上原 勇也

こんなこと信じたくなくて、認めたくもなかったんだ

上原 勇也

だから必死に抗って、母さんに見捨てられないために不正行為までしてきた

上原 勇也

でももう、そんなことしても何の意味もなかったって…やっとわかったよ

勇也の母

な、な、何が言いたいのっ…?!

勇也の父

まさか…

勇也の父

お前、男がいるのか?

勇也の母

そ、そんなはずないでしょ!!

勇也の母

何を証拠にそんなことが言えるのよ!!

勇也の父

興信所に頼んでもかまわないんだぞ?

勇也の母

くっ…

勇也の父

まぁ、別に驚きはしないさ

勇也の父

夫婦関係は、もうとっくに破綻していたんだからな

勇也の母

…あなたが悪いのよ

勇也の父

なんだと?

勇也の母

あなたが、仕事にばかりかまけて私に無関心すぎるからっ…!

勇也の父

では、不倫を認めるんだな?

勇也の母

それは…!!

言い争う両親の間で、勇也はフッと笑った

上原 勇也

本当、バカみたいだよなぁ

上原 勇也

2人とも、俺に一番無関心だってことにまったく気付いてもないし(笑)

上原 勇也

自分の体裁や立場を守ることしか頭にない

上原 勇也

あの教頭先生と、何が違うっていうんだろうな…

姫川 麗蘭

どこまで行くの、由佳里ちゃん!

平澤 由佳里

正門は青山くんたちがいて通れそうにないから…

平澤 由佳里

裏門から外に出よう!

平澤 由佳里

外に出て…

平澤 由佳里

誰か大人の人に、このことを知らせよう!

姫川 麗蘭

大人の人って誰に…?

平澤 由佳里

わからないけど…

平澤 由佳里

先生たちに話したって、みんな宮坂さんを怖がって誰も助けてくれないだろうから…

平澤 由佳里

通行人の人でもいいし、とにかく助けを求めなくちゃ!

平澤 由佳里

このままじゃ…私も姫川さんも何をされるかわからない…!

姫川 麗蘭

………

茂山

あっ!

茂山

樹里!あっちにいる!!

平澤 由佳里

!!

平澤 由佳里

見つかった!

平澤 由佳里

早く!姫川さん!!

姫川 麗蘭

う、うん…

平澤 由佳里

ゼェ、ゼェ、ハァ、ハァ…

平澤 由佳里

と、とりあえず…ここなら安全かな…?

平澤 由佳里

扉、内側から鍵かけられないのか…っ

姫川 麗蘭

だ、大丈夫かな?

姫川 麗蘭

すぐ近くまで、宮坂さんたちが来てるのに…!

姫川 麗蘭

怖い…!

平澤 由佳里

……大丈夫だよ、姫川さん

平澤 由佳里

私に考えがあるの

姫川 麗蘭

か、考えって…?

平澤 由佳里

このままここにいても、じきに見つかってしまうんだけど…

平澤 由佳里

その時は私が前に出て、宮坂さんをちょっと焚き付けてみるから

平澤 由佳里

そこで多分、確実に私に暴力…ふるってくると思うんだけど

平澤 由佳里

姫川さん、その瞬間をスマホで動画に撮ってくれない?

姫川 麗蘭

私が…動画を?

平澤 由佳里

そう

姫川 麗蘭

で、でも…スマホを奪われちゃったらどうするの?!

平澤 由佳里

奪われる前に、すぐに私のLIMEに動画を送信して

平澤 由佳里

動画が無理なら、写真でもいい

平澤 由佳里

とにかく、決定的な証拠を手に入れよう!

平澤 由佳里

そして、それを教育委員会に提出するの

平澤 由佳里

…市議会委員だって、さすがに娘がクラスメイトをリンチしてる証拠までは揉み消せないでしょ…!

姫川 麗蘭

ほ、本当に…?

平澤 由佳里

ね、姫川さん

平澤 由佳里

私と一緒に、イジメをなくしてやろう!

平澤 由佳里

せめて、私たちの身に起きてる1つぐらいのイジメだけでも…!

姫川 麗蘭

由佳里ちゃん…

姫川は動揺した

平澤 由佳里

………

平澤 由佳里

どうして…

平澤 由佳里

どうして、真世は突然あんなふうになっちゃったのかな…

姫川 麗蘭

姫川 麗蘭

さぁ…なんでだろうね

姫川 麗蘭

やっぱり、自分までイジメに遭いたくなかったからじゃ…

平澤 由佳里

違うよ、真世はそんな子じゃない!

姫川 麗蘭

由佳里ちゃん…

平澤 由佳里

真世は、いつだって私のこと心配してくれてた

平澤 由佳里

私までイジメのターゲットにされるのが辛いからって…

平澤 由佳里

でも、結局は私のこと『正しい選択』だって言ってくれたのに…!

由佳里は今朝の真世の言葉を思い出した

平澤 由佳里

そういえば…

平澤 由佳里

真世、『ずっと親友だと思ってたのに』って言ってた

平澤 由佳里

まるで、私に裏切られたみたいな言い方だった…

平澤 由佳里

……もしかして

平澤 由佳里

真世、宮坂さんたちにハメられたんじゃ…?!

姫川 麗蘭

平澤 由佳里

…そうに決まってる!

平澤 由佳里

何か、私のことを誤解するようなことをうまく吹き込まれたんじゃないかな?

平澤 由佳里

じゃないと、真世が私のこと裏切るなんて考えられないもん!

平澤 由佳里

後で、どうにか真世と話し合って、誤解を解かなくちゃ…!

平澤 由佳里

真世なら、絶対に私のこと信じてくれるはずだから…!

姫川 麗蘭

姫川 麗蘭

由佳里ちゃん

姫川 麗蘭

山中さんのこと…好きなんだね

平澤 由佳里

え?うん…

平澤 由佳里

真世とは、中学の頃から何するのもずっと一緒だったから…

平澤 由佳里

私にとっては、なくちゃならない存在なんだ、真世は

平澤 由佳里

それは今も、これから先もずっと変わらないよ…

姫川 麗蘭

……そう

ガタンッ

平澤 由佳里

はっ…!

扉の外から大きな物音がして、由佳里は体をビクッとさせた

平澤 由佳里

み、見つかった…?!

ゆっくりと扉が開いて、由佳里の姿を確認するやいなやニタリと笑う樹里が顔をのぞかせた

平澤 由佳里

宮坂さん…!

宮坂 樹里

こんなとこにいたんだ、あんたたち

平澤 由佳里

姫川さん、さっき言ったこと、お願いね!

姫川 麗蘭

あっ…う、うん

宮坂 樹里

こんな所で隠れたつもりなのか知らないけど…

宮坂 樹里

「袋のネズミ」って言葉、知らないの?(笑)

平澤 由佳里

…だったら何?

平澤 由佳里

私、どんな目に遭わされたって絶対にあんたなんかに負けないから!

宮坂 樹里

ふーん…

宮坂 樹里

そう言うだろうと思ったから、あんたにはとっておきのサプライズを用意しておいたんだよ

平澤 由佳里

とっておきの…サプライズ?

宮坂 樹里

ほら、早く!コッチ!

外に向かって樹里が呼ぶと、ズラズラと男子生徒が10人ほど入ってきた

平澤 由佳里

な、何…?

宮坂 樹里

同じ学年の男子だけじゃなくて、上級生の男子まで誘っといてあげたよ

宮坂 樹里

『欲求不満を解消させてあげる』ってね…(笑)

平澤 由佳里

どういうこと…?!

平澤 由佳里

何する気なの?!

男子

へぇ、この子がヤリマンで有名な由佳里ちゃん?

男子

けっこう可愛いじゃーん

男子

その隣のは…わりぃ、遠慮しとくわ(笑)

姫川 麗蘭

………

男子

ほんとにヤッちゃってもいいのー?(笑)

宮坂 樹里

お金まで払ってあげたんだから、一石二鳥なんじゃないの?(笑)

平澤 由佳里

宮坂さん…!

平澤 由佳里

あなた、こんなことして…

平澤 由佳里

ただじゃすまされないわよ…?!

宮坂 樹里

…私にバチが当たるとでも言いたいの?(笑)

平澤 由佳里

…そうだよ

平澤 由佳里

人を傷つけて、人の人生メチャクチャにして…

平澤 由佳里

自分だけのうのうと生きていけるわけなんてない!!

宮坂 樹里

じゃあ、あんたが私に罰を下せるの?

平澤 由佳里

…え?

宮坂 樹里

妹しか家族もいない、ミナシゴのあんたに…一体何ができるっていうの?(笑)

平澤 由佳里

……っ

宮坂 樹里

言ったでしょ?

宮坂 樹里

大人はみんな私の言いなりだって

男子

もう我慢できないから、始めていい?

男子が束になって、由佳里に襲いかかった

平澤 由佳里

こ、来ないで…

平澤 由佳里

やめてぇ!!

乱暴に制服が乱されていく

姫川 麗蘭

………

宮坂 樹里

私ね、大人っていう存在が大嫌いなの

宮坂 樹里

みんなバカで、権力ばかり振りかざして自分を満足させることしか頭にないんだもん

平澤 由佳里

だ、だからって…!

平澤 由佳里

そんな大人を馬鹿にして、利用してる時点であなたは弱い人間だよ…

宮坂 樹里

…は?

平澤 由佳里

自分の力で打開して、自立して生きていく力もないんだから…!!

宮坂 樹里

あんた、この状況でまだそんなことが言えるんだ…

宮坂 樹里

…とっととヤッちゃってよ!!

宮坂 樹里

この女を黙らせてっ!!

男子

おうおう、任せろー!

青山

俺さぁ、実は平澤のこと前から狙ってたんだよねー

青山

こんな形でも、ヤレちゃうなんて超ラッキーだわ!

青山が、由佳里の体を嬉しそうに触り始めた

平澤 由佳里

いやぁぁっ!!

そこで、姫川がスマホで動画を撮影し始めた

宮坂 樹里

ブス川、何してんの?

平澤 由佳里

姫川さんっ…

平澤 由佳里

いやだ…こんなとこ撮っちゃ…!!

姫川は、ニヤリと笑って言った

姫川 麗蘭

…撮れって言ったのはあなたでしょう?由佳里ちゃん…

平澤 由佳里

姫川…さん?

姫川 麗蘭

すごくいいシーンが撮れてるよ…

姫川 麗蘭

あなたみたいな綺麗な女の子が、メチャクチャにヤラレちゃう絵が…

平澤 由佳里

何…言ってるの?

頭の中が、真っ白になった瞬間だった

人に優しくしたら、自分が壊れた。

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