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平澤 由佳里

姫川さん…

平澤 由佳里

一体、何を言ってるの…?

姫川 麗蘭

ごめんね、由佳里ちゃん

姫川 麗蘭

私のこと、助けてくれたのに…

姫川 麗蘭

でもね

姫川 麗蘭

真世ちゃんは、渡さないから

平澤 由佳里

…え?

姫川 麗蘭

これから先、真世ちゃんとずっと一緒にいるのは私だから

平澤 由佳里

ひ、姫川さん…

平澤 由佳里

あなた、まさか…!

青山

そっちの話は知らないけど、こっちは楽しませてもらうから

青山がカチャカチャとズボンのベルトを外し始めたが、由佳里には抵抗する力がすでに失われていた

宮坂 樹里

…あんたって、本当に可哀想な子だよね…平澤ぁ(笑)

宮坂 樹里

ブス川はね、レズでずっと山中を狙ってたんだよ(笑)

宮坂 樹里

ほんと、キモイわ(笑)

平澤 由佳里

な、なんで…?!

姫川 麗蘭

そう…だからね

姫川 麗蘭

菱木先生と由佳里ちゃんが付き合ってるって、真世ちゃんにうまく思い込ませたのは

姫川 麗蘭

私なんだよ

平澤 由佳里

そんな…

平澤 由佳里

嘘でしょ…っ?!

宮坂 樹里

そんなことも知らずに、あんたはずっとこんなブス川のことを庇ってきたんだよ?

平澤 由佳里

!!

平澤 由佳里

そ、そんなっ…だって!

平澤 由佳里

だって姫川さんっ、私のお財布拾ってくれて…

平澤 由佳里

魔がさすこともなく、無事に私に返してくれたよね?!

平澤 由佳里

『そんな大事な財布を無事に手元に届けられてよかった』って…

平澤 由佳里

優しく笑って、そう言ってくれたじゃない!!

平澤 由佳里

あれも、嘘だったっていうの?!

姫川 麗蘭

あぁ…

姫川 麗蘭

…そんなこともあったかな

平澤 由佳里

姫川さんっ…?!

姫川 麗蘭

あぁ、思い出した

姫川 麗蘭

3万円も入ってたから盗ってやろうかと思ってたんだけど…

姫川 麗蘭

それよりもっといいことを思いついたの

姫川 麗蘭

これは、真世ちゃんに近付くためのチャンスかもしれないって…!

平澤 由佳里

……!!

姫川 麗蘭

真世ちゃんに、「優しくて良い子」だって思ってもらいたくて…

姫川 麗蘭

でもね、いつも真世ちゃんと一緒にいる目障りなあんたにそのまま返すだけなのも癪だから

姫川 麗蘭

…あんたの大事な財布に、唾吹きかけてから返してやったっけ(笑)

平澤 由佳里

………っ

平澤 由佳里

ひどい…っ!

平澤 由佳里

ひどいよ!姫川さん!!

平澤 由佳里

どうして?!

平澤 由佳里

どうしてなの?!

平澤 由佳里

私…私…っ!

平澤 由佳里

あなたを助けたくて、その想いだけでここまでやってこれたのに!!

平澤 由佳里

どうしてよぉぉ!!!

男子

うるせぇ!暴れんじゃねぇよ!!

バシッと頬を叩かれた

宮坂 樹里

へぇ、なかなかやるじゃない、ブス川にしては(笑)

姫川 麗蘭

じゃ、じゃあ…!

宮坂 樹里

……いいよ

宮坂 樹里

これからは、あんたも私の駒として使ってあげる

姫川 麗蘭

ほ、本当?!宮坂さん!

姫川 麗蘭

こ、これで…私ももういじめられずに普通の学校生活が送れる…!!

姫川 麗蘭

夢みたい…!

歓喜する姫川とは真逆に、由佳里は目を見開いたまま一点を見つめていた

姫川 麗蘭

あぁ、そうだ…由佳里ちゃん

姫川 麗蘭

いいこと教えてあげる

姫川 麗蘭

私は毎日いじめられて、本当に辛かったの

姫川 麗蘭

でもね、結局は「やられる側」より「やる側」の方が圧倒的に勝ち組なんだよ…

姫川 麗蘭

世の中、そんなふうにうまくできてるんだから

姫川 麗蘭

こんな目に遭えば、由佳里ちゃんにだってわかったでしょ?

姫川の言葉は、由佳里の耳に虚しく響いた

そして、下半身に鋭い痛みが走る

平澤 由佳里

い、痛いっ…!

平澤 由佳里

いやあぁぁ…っ!!

青山

入ったけど…キッツイなぁ…

青山

宮坂さん、本当に平澤さんってヤリマンなの?(笑)

宮坂 樹里

そうだよ

宮坂 樹里

薄汚れた汚いブタなんだから…

宮坂 樹里

みんなでちゃんと可愛がってあげなさいよ

姫川 麗蘭

じゃ、私はそろそろ…

姫川 麗蘭

保健室にいる真世ちゃんのこと、慰めてあげなくっちゃ!

姫川 麗蘭

『私がついてるから、大丈夫だよ』…ってね

痛みで、意識が朦朧としていく

平澤 由佳里

(もう…何人目なのかもわからない…)

平澤 由佳里

(抵抗する力も、気力もない…)

平澤 由佳里

(あるのは……)

平澤 由佳里

(……痛みと、虚しさだけ)

由佳里が、変わるがわる男の慰み者になっていくサマを樹里は静かに口元に笑みを浮かべながら眺めている

宮坂 樹里

ふふ…

茂山

うっわ…マジでやっちゃってんの…!?

田中

や、やだ…ナマでこんなシーン見たの初めて…////

宮坂 樹里

いい気味…

宮坂 樹里

どんなに正義ぶって強がってても、所詮あんたは私には勝てないんだよ、平澤…

嘲笑う樹里の顔がボヤけて、意識は薄れていった

宮坂 樹里

…ん?

由佳里のスカートのポケットの中から、スマホのバイブ音が聞こえた

宮坂 樹里

何…コイツ、スマホ持ってたんだ

ポケットを探り、由佳里のスマホを手に取る

宮坂 樹里

……LIMEがいっぱい来てる

上原 勇也

平澤、ごめん連絡できなくて!

上原 勇也

ずっと親にスマホを管理されてて、やっと今取り返せたんだ

上原 勇也

…って言っても、親にまだ見張られてるんだけど

上原 勇也

本当に、役に立てなくてごめん

上原 勇也

樹里たちから酷い目に遭わされたんだよな?

上原 勇也

今は、大丈夫なのか?!

上原 勇也

菱木先生が家まで送ってくれたんなら、ひとまずは安心だけど…

上原 勇也

ケガとかしてないのか?

上原 勇也

平澤!

上原 勇也

返事してくれよ!

上原 勇也

何かあったのか?!

上原 勇也

頼む、返事してくれ!!

上原 勇也

俺…平澤のことを助けたいんだ

上原 勇也

初めて…

上原 勇也

初めて、好きだって思えた子だから…!

宮坂 樹里

ゆ、勇也…っ!!

スマホを持つ手がブルブルと震え出す

田中

樹里?どしたの?

宮坂 樹里

……っ!!

宮坂 樹里

許せない…!!

宮坂 樹里

こんな女に……どうしてなの?!

茂山

樹里、何があったの?!

宮坂 樹里

うるさい!!

茂山

ひっ?!

宮坂 樹里

絶対に許さない…!

宮坂 樹里

この私を差し置いて…

宮坂 樹里

私の大切な勇也を奪うなんて…!!

男たちに犯され続ける由佳里の姿を、樹里はキッと睨みつけた

宮坂 樹里

…こんなもんじゃすまされない

宮坂 樹里

もっと悲惨な絶望を味わわせてやる…!!

そう吐き捨てると、樹里は由佳里のスマホを落として上から踏みつけるのだった

薄れゆく意識の中に、昔見た記憶が蘇る

由佳里

お婆ちゃん!

由佳里

遊園地すっごく楽しかったね!

お婆ちゃん

そうね、お婆ちゃんもすごく楽しくてついついはしゃいじゃったわ!

由佳里

お婆ちゃん、もう「トシ」なのに大丈夫?

お婆ちゃん

やだわ、この子ったら(笑)

お婆ちゃん

大丈夫よ、お婆ちゃんはまだまだ若くて元気モリモリなんだから!

お婆ちゃん

…パパとママの分まで、お婆ちゃんはもっともっと頑張るからね

由佳里

お婆ちゃん…

由佳里

いつもありがとう、お婆ちゃん!

由佳里

工場のお仕事だって大変なのに…

お婆ちゃん

由佳里、あなたはそんなこと心配しなくてもいいの

お婆ちゃん

お婆ちゃんはね、あなたと梨沙のためなら…なんだってできるんだから!

お婆ちゃん

天国のパパとママに心配かけちゃいけないでしょう?

由佳里

…うん

由佳里

そうだね!

お婆ちゃん

さぁ、うちに着くまでこのバスの中で少し休みましょう?

由佳里

うん!

由佳里

由佳里も、もう足がクタクタだよー

ブーッ、プシュウ〜ッ…

女性

あっ…乗ります乗りますっ!

バスの扉が閉まる直前に、一人の女性客が乗り込んできた

女性

…ふぅ

由佳里

………

由佳里

ねぇ、お婆ちゃん…

お婆ちゃん

なぁに?

由佳里

あの女の人…お腹に赤ちゃんがいるんだね

お婆ちゃん

あら、本当ねぇ

その女性客は大きなお腹で荷物も抱えていたが、座席が空いていなくて仕方なく吊り革に手をかけた

お婆ちゃん

どれどれ、私がここをどいてあの人に…

由佳里

お婆ちゃんだって、「トシ」なんだから座ってないとダメだよ!

お婆ちゃん

で、でもねぇ…

その時、由佳里は立ち上がって座席から降りると手を挙げた

由佳里

どうぞ、ここに座って下さい!

女性

えっ…?

由佳里

お姉さん、もしバスが揺れて転んじゃったりしたらお腹の赤ちゃんがビックリしちゃうよ!

由佳里

ほら早く、私の席に座って?

女性

あっ…!

女性客の手を引くと、由佳里は自分の席に座らせた

女性

まぁ…っ

女性

ありがとう…!

由佳里

これで安心だね!

その様子を眺めながら、お婆ちゃんは優しく微笑んだ

お婆ちゃん

由佳里…あなたは、本当に優しい子ね

由佳里

だって…

由佳里

こんなにたくさんイスに座ってる大人の人たちがいっぱいいるのに…

由佳里

みんな、見て見ぬふりしてるんだもん!

由佳里

こんなの、おかしいよ!

お婆ちゃん

由佳里…

由佳里

ねぇ、お婆ちゃん…どうしてなの?

由佳里

どうしてみんな、困ってる人を助けようとしないの?

お婆ちゃん

お婆ちゃん

それはね、由佳里…

お婆ちゃん

みんな、我が身が一番大事で可愛いからなのよ

由佳里

………

お婆ちゃん

だからね、由佳里のしたことは、誰にでもできることじゃないの

由佳里

そうなの…?

お婆ちゃん

そうよ

お婆ちゃん

ねぇ、由佳里

お婆ちゃん

どんなことがあっても、人に優しく生きなさい

お婆ちゃん

人に優しくしてあげるとね、必ず自分にも返ってくるのよ

由佳里

…本当?!

お婆ちゃん

ええ、もちろん

由佳里

わかった!

由佳里

由佳里、これからもずっと…

由佳里

人に優しく生きていくよ!

時は残酷に、優しく美しい思い出を打ち砕いて現実に戻った

平澤 由佳里

(あれ…お婆ちゃん…?)

平澤 由佳里

(あぁ、そっか…)

平澤 由佳里

(これが、現実なんだ…)

倉庫の中には誰の姿もなく、静寂に包まれた闇が広がっていた

平澤 由佳里

………

無表情な瞳から、涙が溢れて頬を伝った

平澤 由佳里

お婆ちゃん…

平澤 由佳里

お婆ちゃんは、間違ってたよ

平澤 由佳里

人に優しく生きてたら、自分にも返ってくるなんて…嘘…

平澤 由佳里

人に優しくしたら、自分が壊れたよ…!!

平澤 由佳里

私がしてきたことって…

平澤 由佳里

なんの意味もないことだったんだよ…!

平澤 由佳里

ねぇ、お婆ちゃん…っ!!

その時、床でスマホがバイブ音を鳴らした

平澤 由佳里

私の…スマホ

起き上がろうとすると、下半身に鈍痛が走った

平澤 由佳里

い、痛っ…!

平澤 由佳里

血が…出てる…

床を這うようにして、スマホに手を伸ばす

平澤 由佳里

梨沙から電話……?!

震える指先で、通話ボタンを押した

平澤 由佳里

…もしもし

平澤 梨沙

あ、お姉ちゃん?!

平澤 梨沙

やっと出てくれた…!

平澤 梨沙

お姉ちゃん、もう夕方の4時だよ?!

平澤 梨沙

さっきから何度も掛けてるのに、何かあったの?

平澤 由佳里

……っ

平澤 由佳里

な、なんでも…ない…

平澤 由佳里

…大丈夫だから

平澤 梨沙

…本当なの?

平澤 梨沙

ねぇ、お姉ちゃん…

平澤 梨沙

昨日からなんか様子がおかしくて私、心配だよ…

平澤 梨沙

もしかして、学校で何かあった…?

平澤 由佳里

……!!

平澤 梨沙

ねぇ、そうなんでしょ?

平澤 由佳里

…ごめん、梨沙

平澤 梨沙

…やっぱりね

平澤 梨沙

ちゃんと私にも話してくれなきゃわからないよ…

平澤 梨沙

私、お姉ちゃんの家族でしょ?

平澤 梨沙

私のためを想ってくれるのは嬉しいけど、心配でそれどころじゃないんだから!

平澤 由佳里

…そっか

平澤 梨沙

それとね、今家にお姉ちゃんの友達が来てくれてるよ!

平澤 由佳里

友達…?

平澤 梨沙

うん

平澤 梨沙

今、お姉ちゃんが帰ってくるまで2階のお姉ちゃんの部屋で待っててもらってるんだけど…

平澤 梨沙

…お姉ちゃんが学校でイジメに遭ってるから心配で来たって言ってるよ

平澤 由佳里

……!!

平澤 由佳里

まさか、山中…真世って子?!

平澤 梨沙

…え?

平澤 梨沙

ううん、違うよ

平澤 梨沙

宮坂って言ってたと思うけど…

平澤 由佳里

!!

ゾワッと鳥肌が立った

平澤 由佳里

……梨沙!

平澤 由佳里

今すぐ、その人に帰ってもらって!!

平澤 梨沙

え?

平澤 梨沙

どうしたの、お姉ちゃん…

平澤 由佳里

いいから、早く!!

平澤 梨沙

で、でも…友達なんじゃないの?

平澤 由佳里

友達なんかじゃない!!

平澤 由佳里

その人が、私を…ボロボロにした張本人なんだから!!

平澤 由佳里

梨沙にまで何をするかわからない…!

平澤 由佳里

とにかく、早く追い出して!!

平澤 梨沙

う、うん…わかった!

平澤 梨沙

……あれ?

平澤 由佳里

…どうしたの?

平澤 梨沙

なんか…

平澤 梨沙

変な匂いがする…

平澤 由佳里

変な匂い…?

平澤 梨沙

…うん、なんかリビングのドアの向こうの方から

平澤 由佳里

………

平澤 由佳里

梨沙!そこから逃げて!!

平澤 由佳里

嫌な予感が…

平澤 梨沙

…ああっ?!

平澤 由佳里

梨沙?!

平澤 梨沙

お姉ちゃん!

平澤 梨沙

煙がっ…!

平澤 梨沙

黒い煙が部屋に入ってきてる…!!

平澤 由佳里

け、煙…?!

平澤 梨沙

…ゲホッゲホッ!

平澤 梨沙

お、お姉ちゃ…息がっ…!!

平澤 由佳里

…梨沙?!

平澤 由佳里

ねぇ梨沙!!

平澤 梨沙

く、苦しい…

平澤 梨沙

助けて!お姉ちゃ……

ツーッ、ツーッ、ツーッ

平澤 由佳里

り、り…梨沙っ…!!

平澤 由佳里

梨沙ぁ!!!
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