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短編、解説集

16 - 少年は過去を振り返る

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2021年08月12日

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イル

………。

はじめまして僕はイル・ストラーフ

イル

はは…。

何故かマフィアに入らされようとしている小学6年生です。

イル

嘘だろ…神様…。

管理人

残念ながら嘘ではないな。

管理人

あの2人もなかなかおかしな真似をするもんだ。
自身の子供を売るなんて酔狂なこと。

目の前に座っているのはマフィアのボスである 通称「管理人」

本名を知っている人がいないから通称でしか呼ばれることはないそうだ。

イル

あの……。
僕は…。

管理人

まあそうだな。
君の裏人格君を呼んで欲しいかな。

管理人

仕事をするのであればそちらの方がやりやすいだろうし…。

イル

裏…?
レトロのこと…?

管理人

レトロ?
それが裏人格の呼び名か?

イル

あ…はい…。そうです。

管理人

ふむ…。
イタリア語で裏か。
いい名だ。

イル

それで…レトロを呼ぶのはなんで…?

管理人

あぁそれは…。

ガチャ…

バレット

失礼いたします。管理人様。

バレット

…おや?
そちらの少年は?

管理人

あぁ。例の件の子だ。

バレット

なるほど。
それで?どうされるのです?

管理人

私はこいつの裏人格に用がある。

バレット

二重人格の方なんですか。
なるほど。

管理人

まあそんなとこだ。

イル

(なんで僕の話なのに僕が置いてかれてるんだろう…。)

イル

(…レトロが使えなかったら僕はどうなるんだろう?死ぬのかな。)

管理人

少年?

イル

はい。なんです?

バレット

少し口の聞き方がなってませんね。

管理人

まあ小学生だし仕方ないだろう。

イル

(舐められるってこんな感じか。神様はなんでこんな奴らに天罰を与えないんだろう。)

管理人

それで?レトロがいるなら出てきて欲しいんだが。
それともなにか条件があるか?

イル

答える義理はありません。

管理人

ほう?じゃあ死んでもいいってことか?

イル

別に死にはしません。
神様は正しいものを守ってくれる。

イル

汚れた貴方達から守ってくれるって僕は信じていますから。

管理人

ふぅん。
だが…。

それを言ったらお前自身も汚れているぞ?

イル

何を言ってるんです?
僕が汚れている?

管理人

まあ…お前じゃない。
レトロに聞くのが一番早いな。

イル

…そうですか。

イル

やだなぁ…。

イル

…はぁ。

レトロ

なんでため息なんてついてるんだよぉ〜。

イル

さっさと表に出て終わらせてよ…。
もう…面倒。

レトロ

はいよ〜。

イル

なんでなの…神様。

イル

どうして僕に罰を与えるの。
ひどいよ。

レトロ

まあ…前世で何かしたのかもね。

イル

そう…かもね。

レトロ

で?
なんのようかな。

管理人

単刀直入に言おう。
殺しをしてもらいたい。

レトロ

…へぇ。
どうして僕に言うの?

管理人

もちろんお前に殺しの才能があるからだ。

レトロ

小学生に殺しを頼むマフィアなんて初めて聞いたね。
それで?それを仕事としてやってくれと?

管理人

あぁ。

レトロ

…まあいいよ。
拒否権なさそうだしね。

バレット

管理人様。恐れ入りますが、こんな小柄な少年に殺しは…。

管理人

いや…。こいつは逸材だ。

レトロ

一つ聞く。
ここの禁止事項だけ。

管理人

………。

管理人

まあ基本自由だ。
私には従うこと、私の庭を荒らさないこと。
ファミリー内での戦闘、喧嘩は避けろ。

管理人

警告としては…。

管理人

そうだな。
私や姐さん達に深入りするのはやめたほうがいいな。

レトロ

姐さん?

バレット

カーティル内であの方と呼ばれる方です。
まあ管理人様以外お姿を見た方はいませんけど。

管理人

まあそのくらいだ。
せいぜい頑張ってくれ。

管理人

そういえば一つ言ってなかったな。

仕事のできない犬は 庭で買うに値しない。

管理人

わかったな?

レトロ

管理人様の仰せのままに。

数年後

イル

…禁止されてることはやらない。
それがルール…。

イル

でも…知りたいものは知りたいよね。

イル

………。

イル

僕には神様がついてる。
きっと…大丈夫。

さぁ 禁忌に触れよう。 知りたい欲がおさまるまで。

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