一覧ページ

私が呪われた館の魔女です。

第7話 - 第7話「修行」

2025年04月24日

#恋愛

#ファンタジー

#タイムスリップ

#逆行

#悪女

#やり直し

Nemuri

朝の日差しが窓に差しかかる

ロメオ

おはようございます。

ロメオ

ベアトリーチェ様

ロメオの声で私は目を覚ます。

ベアトリーチェ

ん…おはよう

最近続いてる穏やかな朝。

ベアトリーチェ

（私だけこんな平和でいいのかな）

ロメオ

本日は、午前中にレイン公子様が魔術の授業を開始するとの事。

ベアトリーチェ

あ、今日からだったわね

ロメオ

動きやすいお洋服で構わないと。

ベアトリーチェ

それはありがたい…

ベアトリーチェ

（そろそろ1着ぐらい服を買いに行かないと）

ロメオ

朝食をお召し上がりになった後、お屋敷の裏にある湖で授業をなさるそうです。

ベアトリーチェ

わかったわ。

その後私は、充分に朝食を取ってから、湖に向かった。

ベアトリーチェ

（あれ…この辺りのはずなんだけど）

ベアトリーチェ

まだ来てないのかな？

ガサｯ

ベアトリーチェ

っ…！？

私は驚いて咄嗟に茂みに視線を向けた。

シュガ

あ、悪い。俺だ

ベアトリーチェ

あ…シュガ

ベアトリーチェ

先に来てたのね

シュガ

魔法教えるのに、
必要そうな物を探してた

なんとか合流して、私はシュガと湖の水辺の方まで移動した。

シュガ

まずは、魔法の概念から教える

ベアトリーチェ

（魔法の概念…）

最初の人生で私がシュガと会った時は、

魔力の抑え方しか学べなかった。

今回はそのベースのお陰で、次の内容を教えて貰えるのね。

シュガ

まず、魔法の安定性は精神力からくる

シュガ

感情が揺らげば魔法も揺らぐし、安定してればどんなに精密な魔法も操れる

シュガ

俺の場合は、

シュガ

感情表現が下手だとよく人に言われるが、
そのお陰なのか

シュガ

少ない魔力で、幅広い魔法を使う事が出来る

ベアトリーチェ

（確かに、シュガは若くして王都の天才魔術師と呼ばれていたわね）

シュガ

お前の場合は、魔力量が多い分

シュガ

抑えるのに全ての力を使ってしまって、力の分散が上手くできていない

シュガ

蝋燭を灯すのに業火の炎を使っているようなものだ

ベアトリーチェ

（え…私そんな力の無駄遣いしてたの？？）

シュガ

魔法を操るにはまず感情から

シュガ

感情の淀みは魔法を簡単に変質させる

ベアトリーチェ

（だからあの時、私の強い恨みと悲しみが呪いとなって生まれてしまったのね……）

シュガ

……？

シュガ

お前は……

シュガ

時々苦しそうな顔をするな

ベアトリーチェ

…え？

シュガ

俺はいい言葉をかけるのは、得意じゃないんだ

そう言うと、シュガは私に手を向けた。

パァッ

ベアトリーチェ

っ…！

ベアトリーチェ

青い……薔薇

シュガ

王室に行けば、王族の為の青い薔薇の庭園があるが、

シュガ

魔法でそれを簡単に作れるのは俺だけだ

そう言ってシュガは私に青い薔薇を差し出した。

言葉はたどたどしくて、無器用だけど

彼が何を思ってるのか伝わった。

ベアトリーチェ

ありがとう…大切にする

シュガ

…

シュガ

ほら、元気になったら
続きだ

ベアトリーチェ

ふふ、はい。先生。

ベアトリーチェ

（貴方は覚えてないけど、私は貴方との約束を覚えてる）

ベアトリーチェ

（青い薔薇、本当に綺麗だね）

それから数時間が経った。

シュガ

まずは楽しい事を考えて魔法を放ってみろ

ベアトリーチェ

（楽しい事…楽しい事）

キラキラ……

ベアトリーチェ

雪…？

シュガ

そのまま怒ってみろ

ベアトリーチェ

えっ…（怒る…怒る…）

パキンｯ

ベアトリーチェ

ええっ！今度は氷柱！？

シュガ

このように、同じ属性でも感情によって性質を変える

ベアトリーチェ

すごい…

シュガ

魔術師は常に冷静で居なくてはならない

シュガ

お前は自分の感情を制御できるか？

ベアトリーチェ

……（死ぬほど辛くて苦しい思いをした……）

ベアトリーチェ

（あれ以上に私の心を揺るがすものなんて無い）

ベアトリーチェ

余裕よ

シュガ

……そうか、なら性質については一旦ここまでだ

シュガ

次は、お前の抑え込んでる魔力の扱い方について

シュガ

魔力を抑え込めば抑え込むほど、力は身体の中に溜まり、いずれ暴発する

ベアトリーチェ

暴発っ！？

シュガ

そうなる前に、上手く力を逃がしてやらないと行けない

シュガ

お前の場合、魔力が永遠に増え続けるなら

シュガ

魔力を日常的に使うように慣らせばいい

ベアトリーチェ

日常的に？

シュガ

そうだ

シュガ

まずは、自分の身体の周りを纏うように魔力を張り巡らせてみろ

私は言われたようにやってみる。

ベアトリーチェ

こ、こう…？

シュガ

ああ、拙いけど合ってる

シュガ

そこから少しずつ範囲を広げて10センチ、20センチ……

ベアトリーチェ

（……ふ、震える…）

シュガ

慣れれば震えも止まる

シュガ

それは、使い慣れない筋肉を使う時と同じ感覚だ

シュガ

範囲を広げられたら、魔力に意識を集中してみろ

ベアトリーチェ

（む、難しい……）

ベアトリーチェ

やってみる…

私は目を閉じて、自身が巡らせた魔力の気配に意識を向ける。

ベアトリーチェ

……

ベアトリーチェ

…？

ベアトリーチェ

所々で何かが動いてる

シュガ

それは、お前が広めた魔力の範囲以内に居る生き物の魔力を感じ取ったんだ

ベアトリーチェ

生き物の魔力？

シュガ

生き物だったら、微小程度の魔力は必ずある

シュガ

狩りや戦では、魔術師はこのやり方で索敵をする

シュガ

日常的にこれが使いこなせれば、無駄に魔力を溜め込むこともないし、日々使ってるから次第に自由に使えてくるはずだ

ベアトリーチェ

これを毎日やるのね…

ベアトリーチェ

頑張るわ

シュガ

慣れてきたら次第に範囲を広げていけ

シュガ

無茶はしなくていいからゆっくりと時間をかけて

シュガ

入学まではまだ時間がある

ベアトリーチェ

うん、慣れるように努力するね

ベアトリーチェ

ありがとう、シュガ

シュガ

……！

シュガ

あ、あぁ

ベアトリーチェ

あら（顔が真っ赤…）

ベアトリーチェ

（可愛い……）

あれから私たちは何日も湖に集まっては訓練を続けた。

ー3週間後ー

ベアトリーチェ

……

ベアトリーチェ

鹿5頭、兎6羽、鴨が3羽

シュガ

…うん

シュガ

よくたったの3週間でここまでの範囲が把握できるようになったな

ベアトリーチェ

ふふ、シュガの教え方が上手だからよ

シュガ

からかうな…

ベアトリーチェ

あら、本当なのに

何だかんだいつもの緩いやり取りをしながらも、私はこの3週間で魔力の扱い方を身につけた。

シュガ

今はどんな気分だ？

ベアトリーチェ

んー、楽しくて安定してる…かな？

シュガ

じゃあそのままこの前よりも鋭い氷柱をあそこの木に放ってみろ

ベアトリーチェ

…わかった

私は集中して、ゆっくりと的に手をかざす。

パキンｯ!

ベアトリーチェ

……

シュガ

……大丈夫。
気持ちが安定してるから、指示した通りの氷柱が出来てる

ベアトリーチェ

ほんと！？

ベアトリーチェ

やった！

私は人に褒められ慣れていないせいか、子供のように飛び跳ねて喜んだ。

シュガ

…

ベアトリーチェ

あ……

ベアトリーチェ

は、
はしたなかったわねっ！

私は直ぐに赤くなった顔を隠すようにそっぽ向いた。

シュガ

ふ

ベアトリーチェ

え？

ベアトリーチェ

（今……）

ベアトリーチェ

笑った？

シュガ

笑ってない

ベアトリーチェ

（あれ……）

（笑った気がしたんだけどな……）

そんなこんなで、あっという間に1週間も過ぎ

とうとう私のセレスティア王立学院編入の日が近づいていた。

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

Nemuri

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

私が呪われた館の魔女です。

第7話 - 第7話「修行」

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

私が呪われた館の魔女です。

第7話 - 第7話「修行」

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧