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とある物書きの挑戦譚　【第三期】

第2話 - 片想い

518

2022年01月03日

#ファンタジー

#一次創作

#異世界転生

#転生

#異世界

カイト様！今回は優秀賞おめでとうございます！

カイト

…ああ。

ギリカール城から招待状が届いております。

第一王子の寝室に飾る絵を任されたと聞きましたが…

カイト

もちろん、引き受けるつもりだ。

カイト

個展が終わり次第、早速お伺いしようと思う。

期待しています。頑張ってください！

カイト様！応援してますわ！

カイト

どうもありがとう。

カイト

それでは、失礼。

カイト

カイト様が個展を開かれるって！

まだ17歳というのにギャザーの坊ちゃんはすごいなー。

あのお方はギリカールの宝物だ。

お母様もきっとお喜びでしょう。

これからどこに向かわれるのかしら。

きっと新しい絵を描かれるのよ！

カイト

…。

カイト

はぁ……。

ガチャッ！

カイト

邪魔するぞ。

シゼ

！

レン

カイト！

カイト

疲れた〜。

カイト

シゼ、茶を淹れてくれ。

シゼ

かしこまりました。

レン

カイト、コンクール優秀賞、おめでとう。

カイト

ありがとう、レン。

レン

近いうちに個展を開くそうじゃないか。

レン

やんちゃな僕の友達がこんなにも立派になるとは思わなかったよ。

カイト

そんなにおだてるなよ。

カイト

描いた絵が運良く審査員にウケただけだ。

レン

またまた〜

レン

お城のみんなが群を抜いて素晴らしかったって言ってたよ？

シゼ

お茶を淹れました。

カイト

お、俺の好きな香りだ。

カイト

早速いただくぞ。

カイト

ｽﾞｽﾞ…。

レン

…。

レン

そういえば、カイト聞いた？

レン

マリア様が結婚するそうだよ。

カイト

ブｯ！！！！

シゼ

うわ汚な。

シゼ

（あ、素が出ちゃった。）

レン

カイト！？

カイト

ゴホッ！…ヴヴンｯ！

カイト

うっうん…。

カイト

大丈夫だ…。

カイト

それより、

カイト

レン、それは本当か！！

カイト

マリア…アイツ、結婚するのか！？

カイト

ほ、本当に…？

カイト

本当にマリアは結婚するんだな！？

（カイトとレンとカードゲームをしながらシゼに何度も尋ねる）

シゼ

はい。

シゼ

昨日、マリア様と結婚したいという男性から手紙が届きまして、

シゼ

しばらくの間、その方と文通をされるそうです。

カイト

な…っ！

レン

騎士のカード5枚で総突撃を発動！

レン

僕の勝ち！やったー！

カイト

！

カイト

ぬわっ！？

シゼ

！

シゼ

おお、

シゼ

今度はレンさんが勝ちましたね。

シゼ

お見事でした。

レン

ありがとうシゼ！

カイト

ぬぬぬ…。

カイト

おらっ！

レン

！

カイトがレンのケーキの苺を奪い取る。

レン

僕の苺が…！

カイト

あむ、

カイト

はんへだ…！（なんでだ…！）

カイト

…。ｺﾞｸﾝｯ

カイト

俺はこれから初めての個展を開いて、コンクールで賞を貰って、

カイト

あのマレイーヤを出し抜く天才画家とまで言われたのに、

カイト

なぜ…！

カイト

なぜ嬉しいことが一つもないんだ！

カイト

俺があと6年…いや4年早く生まれていたら…クソッ！

レン

僕の苺が…。

シゼ

！

シゼ

レンさん、どうぞ

ひょいっ（レンが自分の苺をケーキの上に乗せる）

レン

！、シゼ。

シゼ

大丈夫ですから。ﾆｺｯ

シゼ

あら、お茶が空ですね。

シゼ

淹れてきます。

レン

！

レン

大丈夫？1人でいける？

カイト

ほっとけよ。

カイト

シゼ、今度のお茶はヌワエリにしてくれ。

シゼ

分かりました。

パタパタ…

カイト

…。

カイト

なぁ、レン。

レン

ん？

カイト

お前、もう記憶は思い出したのか？

レン

！

レン

…ううん。

レン

全く思い出せない、なぜか思い出せてもすぐ忘れてしまうんだ。

カイト

なんだそれ、ジジイかよ。

レン

…。

カイト

……。

カイト

これをやる。

レン

！

カイト

メモ帳だ、ペンがゴムでくっついていて持ち運びしやすい。

カイト

思い出したらすぐそれに書け。

レン

！…

レン

カイト…ありがとう！

レン

大切にするよ！

カイト

おう。

カイト

だからはやく思い出せ、俺もこの個展が終わったらルシタス城を出るんだぞ。

カイト

もちろん、シゼも。

レン

！

カイト

アイツはマリアからとても頼りにされている。

カイト

マリアの結婚が決まったら、アイツもついていくだろうよ。

カイト

お前、好きなんだろ。

レン

！

カイト

シゼのこと、好きなんだろ。

カイト

バレバレなんだよ。

カイト

早く記憶思い出して、つかまえちまえ。

カイト

じゃないともう2度と会えないぞ。

レン

っ…。

レン

…うん。

カイト

はー！

カイト

いい息抜きになった。

シゼ

そうですね。とても楽しかったです。

カイト

次会う時は個展だな。

カイト

2人とも絶対見に来いよ。

レン

うん！

レン

カイト、またね！

シゼ

また遊びましょう。

カイト

おう、

カイト

それじゃあな。

レン

…。

レン

カイト、行っちゃったね。

シゼ

そうですね。

シゼ

さて、

シゼ

私もそろそろ戻りますね。

レン

！

レン

もう帰るの？

シゼ

はい。

シゼ

マリア様のお手伝いをしなきゃいけないので。

レン

お手伝いって、結婚の？

シゼ

はい。

レン

そっか…。

レン

…。

シゼ

！

シゼ

ふふ、

シゼ

やっぱり、少しだけお話ししてから帰ります。

レン

！

レン

シゼ…。

レン

（僕の気持ちを汲み取ってくれたのかな…うれしい。）

レン

（優しくて、かっこよくて、気配りができて）

レン

（本当にシゼはいい子だな…。）

レン

（おまけに…かわいい）

レン

シゼ

レンさん、記憶は思い出せそうですか？

レン

…。

シゼ

レンさん？

シゼ

…レンさん？

レン

ハッ…！

レン

えっ、あ。

シゼ

大丈夫ですか？ぼーっとしてましたけど。

レン

だ、大丈夫！

レン

ごめん…。

シゼ

大丈夫ですよ。

シゼ

記憶は戻りそうですか？

レン

う、うん。

レン

カイトが僕に秘密道具をくれたから、

レン

今度こそ思い出せる気がするよ。

シゼ

秘密道具？

シゼ

それって、そのポケットのメモ帳ですか？

レン

うん。

レン

これね、ただのメモ帳じゃないんだよ！

レン

ルドルフ

ん？

ルドルフ

あれは…？

シゼ

すごい！

シゼ

ペンとメモ帳がセットになってる。

シゼ

これは便利ですね。

レン

うん。

レン

「早く記憶思い出して、つかまえちまえ。」

「じゃないともう2度と会えないぞ。」

レン

（シゼ…。）

レン

（ずっとここにいればいいのに。）

レン

（どうして、僕は記憶を失ってしまったんだろう。）

レン

（もし記憶があれば、今すぐこの子をつかまえて恋人にさせてしまうのに。）

シゼ

レン

（シゼ…。）

レン

…。

レン

…シゼは、

レン

どんな人が好きなの？

シゼ

えっ。

シゼ

いきなりどうしたんですか？

レン

いや、別に…

レン

なんとなく気になって聞いただけだよ。

レン

ねぇ、

レン

シゼはどんな男の人が好きなの？

シゼ

！…

シゼ

うーん…。

シゼ

何事にも一生懸命で、穏やかな人がいいですね。

レン

なるほど…。

レン

どうしよう…僕、穏やかかなぁ。ﾎﾞｿｯ

レン

一生懸命頑張らなくちゃ…。

シゼ

何か言いました？

レン

あ、いや何でもないよ！

シゼ

そうですか。

シゼ

レンさんはどんな人が好きなんですか？

レン

えっ…僕…？

レン

ぼ、僕は…

レン

髪が綺麗で…気配りができて…

シゼ

？

シゼ

…。

シゼ

（今、誰かに見られたような気がしたんだけど…気のせいかな。）

レン

シゼ、どうしたの？

シゼ

！

シゼ

い、いえ…

シゼ

何でもないです。

ルドルフ

…。

第2話　おわり

とある物書きの挑戦譚　【第三期】

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518

13件

更新ありがとうございます！！！！！！🙇‍♂️ レン様が恋愛に対して大分初心で、どこぞの恋愛漫画を読んでいるようでした…可愛い…(シゼ様の質問に対して、「髪が綺麗で…」と中々の事を言っちゃうレン様に心奪われました🙏) カイト様のレン様へのプレゼント。ツンツンしているけれど、ちゃんと周りを見ていて成長したな、としみじみ思います…()

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