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とある物書きの挑戦譚　【第三期】

第3話 - 期待の新人

420

2022年01月05日

#ファンタジー

#一次創作

#異世界転生

#転生

#異世界

ルシタス城〜セオドアの部屋〜

ベル

あら、セオドア。

ベル

急に私を呼び出すなんて、どうしたの？

セオドア

……。

セオドア

ベル…。

セオドア

ッ…！

ベル

ひゃっ！？

ドサッ！

（ベルをベッドに押し倒す）

ベル

セオドア…？

セオドア

ベル。

セオドア

お前…。

セオドア

いい加減にしろよ。

セオドア

結婚して3年、お前はずっと俺を避け続けている。

ベル

！

セオドア

一体なぜだ？

セオドア

そこまで、俺の子供を産むことが嫌か。

ベル

…。

セオドア

親同士が決めた結婚だ。不満があるのは分かる。

セオドア

だが、

セオドア

お前の避け方は異常だ。

セオドア

一体いつになったら俺を夫と認めてくれるんだ。

ベル

…。

セオドア

大丈夫だ、ベル。

セオドア

優しくする。

セオドア

だから…

ベル

気安く触らないでもらえる？

セオドア

！…

セオドア

え？

ベル

エドガー！、テオ！

ガチャッ！

エドガー

はっ！

テオ

お嬢様から離れろ！汚い手で触るな！

ガシッ！

バッ！

エドガーとテオがセオドアを拘束する。

セオドア

！？

ベル

セオドア…

ベル

貴方は自分の立場を分かってないみたいね？

ベル

私はギリカールで生まれた華やかな貴族、「青い薔薇」と国王に絶賛された美少女なのよ？

ベル

私は貴方の父親、セシル様の財力が目当てで結婚“してあげた”の。

ベル

貴方は下で、私は上なのよ。

ベル

そんな高貴な私が

ベル

なんで貴方の子供を産まなきゃいけないわけ？

ベル

そんなめんどくさくてくだらないこと、私は絶対に嫌よ。

セオドア

！…。

ベル

ルシタス城、

ベル

クリジアの地、

ベル

田舎臭い男、

ベル

…本当にどれもくだらない。

ベル

何かの拍子で金だけ巻き上げて離婚できないかしら。

セオドア

ベル…

セオドア

お前、本当に最低な女だな。

ベル

あら！

ベル

誰からも愛されない男が何か言ってるわw

ベル

私は可愛くて、美しくて、誰よりも力を持った貴族の娘よ。

ベル

貴方と違って…私は誰からも愛されるの。

ベル

口を慎みなさい、下衆が。

セオドア

…。

ベル

うふふふふ！

ベル

なんて無様なのかしら！

ベル

心配なくとも、貴方との子供は他の殿方と作るから安心なさい。

ベル

貴方の血が入らない子供の方が、きっと賢く、美しいでしょうから。

ベル

私は貴方以外との子供を作るの、二度と近づかないでちょうだい。

エドガー

ねーえー！

エドガー

ベル様〜！もう行きましょうよ〜！

テオ

僕、ここ嫌い〜っ！

ベル

うふふ、

ベル

分かったわ。

ベル

放してあげなさい。

セオドア

！…

ベル

それじゃあ、

ベル

せいぜいお父様に気に入られるよう、努力なさってくださいまし。

ベル

さようなら。

バタン！

セオドア

…。

セオドア

クソッ！

セオドア

はぁ…。

3年前、セオドアはベルという女性と結婚しました。

ベルはギリカールい1の美女と名高い、とても華やかな女性だったのですが

彼女はセオドアを拒否し続けました。

彼女はお金こそが全てだと考えており

外交で金を儲けるセシルの家に取り入ることで、お金をたくさん手に入れようとしていたのです。

結婚の目的はセシルのお金。

セオドアへの愛は微塵もありません。

彼女は

隙あらば浮気をし、仕事もせず金を使って遊んでばかりいる女性だったのです。

セオドア

（これはもう、俺が歩み寄るとかそういうものじゃない…）

セオドア

（常に馬鹿にされて、悪口を言われて心が折れそうだ。）

セオドア

（…結婚すれば、幸せになれるかもと思っていたのに。）

コンコン、

セオドア

！

セオドア

（誰だ？）

ガチャッ

セシル

…。

セオドア

！！

セオドア

と、父さん…。

セシル

…。

セシル

フン、

セシル

久しぶりだな、セオドア。

セオドア

お久しぶりでございます…父さん。

セシル

突然だが、

セシル

今日からお前の執事が新しく変わることになった。

セオドア

えっ。

セオドア

(新しい執事？）

セシル

ルドルフ、セオドアに挨拶を。

ルドルフ

はい、

ルドルフ

セシル様。ﾆｺｯ

セオドア

！

ルドルフ

今日からセオドア様の執事を務めさせていただきます。

ルドルフ

ルドルフと申します。

ルドルフ

これからよろしくお願いします。

セオドア

ルドルフ…。

セオドア

(なんでこいつが…！)

セシル

ルドルフはお前と違って

セシル

優秀で謙虚で、素晴らしい若者だ。

セシル

この子にお前の弱った神経を叩き直してもらえ。

セシル

いいな？

セオドア

は、はい…

セオドア

ありがとうございます。

セシル

…では、ルドルフ。

セシル

俺はギリカールに戻るが、風邪をひかないようにな。

セシル

セオドアに嫌な事をされたら、すぐにギリカールへ帰ってこい。

ルドルフ

はい、

ルドルフ

ありがとうございます。セシル様。ﾆｺｯ

セシル

あぁ。

セシル

頑張るんだぞ、ルドルフ…。

ルドルフ

はい！

バタンッ！

ルドルフ

…さて、

ルドルフ

セオドア様、改めてこれからよろしくお願いします。ﾆｺｯ

セオドア

…。

セオドア

なぜ父さんではなく俺の執事を志願した？

ルドルフ

へっ…？

セオドア

俺に悪口でも言いに来たつもりか。

セオドア

…「自分はお前と違ってセシル様に気に入られてるんだぞ」と。

ルドルフ

！…

セシル

ルドルフ、見ろ。

セシル

あれがこの前話した属国のライブラだ。

ルドルフ

わぁっ！すごい…！

ルドルフ

大きな山が見えますね！上が白くなっています。

セシル

あれは雪だ。

セシル

あの山はアクア山といってな、

セシル

神話によるとライブラの神々が喧嘩して生まれたらしい。

ルドルフ

ほう…。

ルドルフ

だから、

ルドルフ

ライブラ山の付近には神々を喧嘩を治めるお祭りが沢山あるのですね。

セシル

その通りだ。よく覚えてるな。

ルドルフ

ふふっ、

ルドルフ

セシル様のお話はきちんとメモにとってあるので、しっかり覚えてますよ！

セシル

偉いなお前は、

セシル

常に学ぶ意欲にあふれている。

セシル

お前はいい若者になるぞ。

ルドルフ

いえいえ、

ルドルフ

僕は馬鹿なので、こうでもしないとすぐ忘れてしまうんです。

ルドルフ

幼少の頃から勉学に長けていたセシル様に褒められるほど偉い男ではありません。

セシル

そうか……。

セシル

この俺が褒めてやっているのに随分と謙虚なんだな。

セシル

気に入った。

セシル

船から降りたら俺の書斎に来い。

セシル

俺が他国の神話を教えてやろう。

ルドルフ

！

ルドルフ

嬉しい！…ありがとうございます！

セシル

フッ…。

セオドア

…。

セオドア

父さん。

セオドア

今回の会議をまとめた文章が完成しました。

セシル

！

セシル

チッ…。

ビリッ！

(セシルがセオドアの書類を見ずに破る)

セオドア

！

セシル

添削は終わりだ。消えろ。

セオドア

と、父さ…。

セシル

消えろ。

セシル

親の言葉さえ理解できないのか。このマヌケ。

セオドア

！…

セオドア

申し訳ございませんでした…。

セシル

…はぁ、

セシル

お前がセオドアじゃなくてルドルフなら、この俺も安心できるのだが…。

セオドア

！

セオドア

……。

「ルドルフって奴、またセシル様と話してるぞ。」

「セシル様に気に入られてるんだな、羨ましいぜ。」

「まるで親子みたいだな。」

「ああ、実の子のセオドアとは大違いだ。」

セオドア

ッ…！

セオドア

お前は俺と違って、ずっと父さんに褒められてきた。

セオドア

内心で俺のことを見下しているんだろう。

ルドルフ

そ、

ルドルフ

そんなことありません！

ルドルフ

僕はただ、セシル様に認めてもらおうと思って…

セオドア

…。

セオドア

ルドルフ

えっ、

ルドルフ

ちょっ…セオドア様？

ルドルフ

どこに行かれるのですか？

ルドルフ

折角のお休みなのですから、部屋であったかく…

セオドア

うるさい。

ルドルフ

！

バタンッ！

ルドルフ

セオドア様！

第三話　おわり

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10件

更新ありがとうございます……🙇‍♂️ ベル様がかなりの女性で、女の闇を見た気がします… (現段階では今まで見てきた女性の中で1番悪人かも…) セシル様のあの態度も今後変わっていくのでしょうか…… セオドア様……どうかお幸せになってください……😭

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