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優菜
奏斗は椅子に座り、鞄からノートと筆箱を出した。優菜はそのノートのことが気になり、思わず奏斗に尋ねる。
優菜
奏斗
その時優菜ははっとした。そういえば両親もこんなの遺してたな、と思いがよぎる。
奏斗
そこには、こう書かれていた。
① エンディングノートを作る ② 色々なところに行く ③ 何か新しいことに挑戦する ④ 残りの人生を楽しむ
上に振られている番号はどうやら優先順位のようだ。
優菜
奏斗は書いている手を止め、少し暗い表情で話し始めた。
奏斗
私は思わず息をのむ。学校にいるときは元気なのに半ば信じられなかった。
奏斗
途端に、私も新品のノートを持ってきて、その表紙に「奏斗と記した人生ノート」と書いた。タイトルを書いただけで、そのノートを生涯残すことができるような気がした。
奏斗
奏斗がそう言うので、私も書き方をならって書くことにした。
奏斗
時計を見ると、午後2時を指していた。
2時間。高校の授業の倍の時間だ。人生史とはいえ、そんなに早く書けるとは到底思えなかったが、ノートのページの上にシャーペンを置くと、今までの出来事が不意に蘇ってくる。気が付けば私はシャーペンを走らせていた。ずっと隠れていた記憶までもが、今ノートに記される。いつの間にか、私は書くのに夢中になっていた。