もしもの世界線

太宰はリビングで料理中の中也を待っていた

キッチンからは中也が料理をする音が小さく聞こえる

太宰が様子を見に行こうと立ち上がった時 丁度キッチンから声が聞こえた

普通なら気づかないほど小さな声だったが それでも太宰は聞き逃さなかった

太宰は驚きつつ、急ぎながらキッチンに向かう

そこには指からダラダラと血を流す中也がいた

驚きで見開かれた目は涙で潤んでいた

中也の体は小刻みに震えていた

太宰を見上げるその目は恐怖に満ちているように見える

太宰が数秒でも無言になったのが怖くなったのか中也が少しの沈黙を破った

抗議する中也の声を無視して太宰は中也をリビングへ連れていく

太宰は中也をソファに座らせ、手当に必要なものを探し始めた

その間にも中也は恐怖で体を強ばらせていた

太宰は手馴れた手つきで手当をしていく

中也は言われた通り動かなかった

中也はぎこちない、強ばった笑みを浮かべた

中也は驚いた

今まで怪我をすれば無視するか馬鹿にするかだった太宰が 自分の心配をし、手当をしたのだ

太宰は中也の気持ちがわかったのか怖がる中也を優しく抱きしめた

中也は急な出来事に驚き、頭が追いつかないようだ

出来ぞ来ないだっただけだ

中也はぎこちない、どこか悲しそうで寂しそうな笑顔をしていた

中也はそういうと、すぐにキッチンへ移動した