サキエ
「これ、前回までのあらすじになってないわよ」
キミ子
「いやー、びっりしたよー」
サキエ
「何で急に隠れたの?」
謎の人物
「それは…」
サキエ
「それは?」
謎の人物
「何でもありません!」
謎の人物
「さぁ、本題にまいりましょうかー!」
サキエ
「何かそうされると、余計に気になる」
謎の人物
「あっ、そうだ、自己紹介が、まだでしたねー」
謎の人物
「僕は…」
サキエ
「『佐賀 遊翔』(さが ゆうと)、16歳で、高校一年生」
サキエ
「今日は、部活すっぽかして、こっちに来てるでしょ?」
謎の人物
「あ… 僕の心読まれた…」
キミ子
「ちっ、ちょっと、サキエ」
キミ子
「その情報どこから?」
サキエ
「私の能力ね、人の名前を呼ぶだけで、私が知りたいことがわかるの」
サキエ
「それが私の能力(ちから)、『ノウ』」
キミ子
「のう?」
謎の人物
「know(ノウ)を日本語に訳すと“知っている”って、ことですね」
キミ子
「へぇー」
謎の人物
「彼女の言う通り、僕は、部活をすっぽかした」
遊翔
「『佐賀 遊翔』てす」
遊翔
「一つ、言っておきますが、私は…」
サキエ
「今のところ、敵じゃないって、言いたいのでしょ?」
サキエは、再び遊翔の言おうとしたことを先に言い当てた。
遊翔
「…これ以上、僕の心読まないでください…」
遊翔
「心が病んでしまいそうです…」
キミ子
「遊翔って、キャラ演じすぎて、逆にキャラつかみにくいじゃない?」
キミ子
「テンションが、わかりづらいよ?」
遊翔
「それじゃ、今から、キャラ固定します」
遊翔
「控えめ感じのキャラで、今回いかせて、もらいます… 多分」
サキエ
「さて、いつの間にか、外も暗くなってるし、そろそろ、話してもわはないと」
遊翔
「はい、その… 今回あなた達が、狙われている理由は、来宮さんが持つ能力(ちから)でしょうね」
サキエ
「もしかして… “シャイン”じゃないわよね?」
遊翔
「確かにそれに近いかもですが、来宮さんのは、それと同等の能力(ちから)か、それ以上もありえます」
キミ子
「……」
サキエ
「どうかした?」
キミ子
「ううん、何でもない」
遊翔
「話を進めますが、来宮さんの能力(ちから)は、全ての能力(ちから)が、使えるかもしれない」
キミ子
「それ、最強じゃん」
サキエ
「……『オールマイティー』―全能―」
遊翔
「少し違います」
遊翔
「来宮さんの場合は、理解していないと使えないんですよ」
サキエ
「勉強苦手なあんたには、欠点だらけね」
遊翔
「なので、あなたが、必要なんです」
サキエ
「なるほどね、“ノウ”の能力(ちから)が必要ってことね」
キミ子
「ねぇ、ノウって、いうのを理解すれば、全てできるんじゃない?」
サキエ
「そんな簡単に言うけど、そんなことができたら、苦労は…」
遊翔
「普通にできると、思いますよ」
サキエ
「えっ…」
キミ子
「よし、早速、ノウのこと教えて?」
サキエ
「はいはい」
キミ子
「よし、やりますか」
キミ子
「load…」
キミ子
「know」
サキエ
「とりあえず、教えたけど、上手くいきますかね?」
遊翔
「無理だよ」
サキエ
「えっ?」
サキエ
「できるって、言いましたよね?」
遊翔
「できる、普通ならね」
キミ子
「error…」
サキエ
「エラー?」
遊翔
「来宮さん自身が、それを否定しているんだよ」
サキエ
「どういうことですか?」
遊翔
「……窓を見てごらん、いつの間にか雨が降っているよ」
サキエ
「何が言いたいんですか?」
遊翔
「僕は、敵同士でありながら、君の味方をしている…」
遊翔
「違うかい?」
サキエ
「確かにそうかもしれませんが、間に雨の話、要りました?」
遊翔
「…ごめん」
遊翔
「さっき、今は敵ではないと言ったけど、味方と言ったわけではない
サキエ
「つまり、今は敵同士ですか?」
遊翔
「あと、五分でそうなるかな」
サキエ
「五分?」
遊翔
「君がその能力(たから)を嫌っていて良かったよ」
サキエ
「何をする気なの?」
遊翔
「来宮さんは、僕の妹によって、“輝き”を失います」
サキエ
「……!」
サキエ
「あなたの妹って… あの子が!?」
遊翔
「来宮さんだけじゃない、『赤羽』くんもだ」
サキエ
「赤羽?」
遊翔
「今は、苗字が変わっていたね」
サキエ
「まさか、あいつのこと?」
キミ子
「……」
私は、二人の声を曖昧にしか、聞き取るしかできなかったが、滝斗の苗字だけは、はっきり聞こえた。
キミ子
(あっ…… 思い出した)
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快斗
「おいおい、そんなぁ、程度かよ?」
滝斗
「……ッ…!」
快斗
「くっそぉー、雨も降って、身体中、びしょ濡れだぁー」
滝斗
「……」
滝斗は、指パッチンや手を叩いたり、地面を踏む音を使って、相手を倒そうとしているが
快斗は、その行動をしようと、瞬間に攻撃をしてくるのである。
快斗
「ふぅー、そろそろ、時間稼ぎも終わりかぁー」
滝斗
「時間稼ぎだと?」
快斗
「あぁ、あと五分で、俺の役目は終わる」
滝斗
「どういうことだ?」
快斗
「来宮ってやつがぁ、ガキに能力(ちから)を奪われるんだってよぉー」
滝斗
「ガキ?」
快斗
「それもぉー、幼い女の子によってなぁ!」
滝斗
「……」
快斗
「ガキの能力は、知らねぇーが、俺には、勝てねぇー…」
滝斗
「…そうか」
快斗
「守るとか言っていたようなぁ、気がするがぁ?」
快斗
「俺らの勝ちだ!」
滝斗
「その五分以内に来宮達のところに行けば、まだ間に合うか?」
快斗
「まぁ、可能性はあるが」
快斗
「俺にも勝てねぇーようじゃ、無理だろぉけどなぁー!」
滝斗
「“最大音量”(マキシマム・ボリューム)」
快斗
「……!」
快斗
「…っ……」
快斗
「何も聞こえねぇー……」
滝斗
「そうだろうな、雨が降る音を大音量で聞かせたからな」
滝斗
「お前だけが聞こえるように」
滝斗
「って、聞こえてないか…」
快斗
「おい、滝斗!」
快斗
「聞こえねぇーから、声が出てるかわからねぇが!」
快斗
「治療費寄越せ!」
滝斗
(よし、聞こえなかったことにしよう…)
後程、治療費として、10万円払うのであるが、まだ少し先の話である。
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サキエ
「はぁー、聞きたいことは、聞けましたけど…」
サキエ
「キミ子には、手を出させない」
遊翔
「エラーを起こして、眠っている来宮さんをどうするのかな?」
サキエ
「そうなの足止めしてでもしてから、背負って逃げるわよ」
遊翔
「その間に快斗くんが、来たらどうするんですか?」
サキエ
「それは、能力(ちから)を使ってでも、逃げるわよ」
遊翔
「そんな、使いたくない能力(ちから)を無理に使わなくてもいいのでは?」
サキエ
「誰のせいで、こんなことになってると思ってるのよ!」
キミ子
「……」
遊翔
「それは、言わない方がいいんじゃない?」
遊翔
「眠っているから、今は大丈夫だと思うけど…」
サキエ
「そんなの、わかってるわよ…」
サキエ
「それより、敵に気をつかわれるなんて、思ってなかったわ」
キミ子
(……)
キミ子
(皆さん、お気づきの方もいらっしゃると思いますが)
キミ子
(私、起きてます)
キミ子
(って、誰に言っているんだー、私は!)
キミ子
(まぁ、そんなことより、寝た降りは、やめて、起きよう)
キミ子
(でも、起きにくい)
キミ子
(この状況になったのも、私のせいだし…)
キミ子
「……うん、起きよう」
サキエ
「あんた、起きてたの!」
サキエ
(って、さっきも似たようなこと言ったような…?)
遊翔
「起きてたのですか」
遊翔
「まぁ、ちょうどよいですけど」
遊翔
「来たようだね」
カズエ
「皆様、はじめまして、『佐賀 和恵』です」
カズエ
「遊翔の妹です」
カズエ
「どうか皆様、お気軽に『カズエ』とお呼びください」
ていねいに自己紹介をしてくれた少女は、にっこりと笑った。
キミ子
「はじめまして…」