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さよならを知らない君へ

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さよならを知らない君へ

3 - 青葉城西バレー部へようこそ

♥

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2025年05月25日

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天音 夜空

え?マネージャー?

放課後、私は思わず目を輝かせた。

担任に呼び出された理由は、

バレー部のマネージャー補佐として

手伝って欲しいという依頼だった。

岩泉 一

元々、東京の学校でやってたんだって?

岩泉 一

経験あるなら、助けてもらえると嬉しい。

そう言って笑ったのは

3年の副主将・主将代理

岩泉一。

鋭い目付きとは裏腹に、どこか柔らかい物腰をしていた。

(あぁ、また。)

(笑っていないのに、笑わなきゃいけない場面)

私はゆっくりと笑顔を作りながら、首を縦に振った。

天音 夜空

はい。お役に立てるなら。

体育館に響くボールの音。

掛け声、足音。

青葉城西バレー部の空気は

思っていたよりも熱かった。

及川 徹

ナイスレシーブ、岩ちゃん!

岩泉 一

ナイストス、及川!

声の主を追うと、

そこにいたのは昼間に話したばかりの及川徹。

眩しすぎるくらいにコートの上で

光り輝く姿に、私は少しだけ息を呑んだ。

天音 夜空

…本当の顔、してるんだね

誰にでも言うことなく、ポツリとこぼした言葉に

及川 徹

でしょ?惚れてもいいよ。

突然直ぐ近くから聞こえた声に、私は肩をびくりと揺らした。

天音 夜空

…っ、びっくりした…!

及川 徹

ごめん、ごめん。

及川 徹

天音ちゃんがじーっと見てるから

及川 徹

てっきり俺に恋したのかと〜。

軽口とは裏腹に、その目だけはふざけていなかった。

及川 徹

…あのさ、

及川 徹

東京のバレー部で、何があったの?

私の笑顔が一瞬にして消える。

及川はその変化を、見逃さなかった。

天音 夜空

別に…。何も。

天音 夜空

部活やってただけ。ちゃんと。

及川 徹

及川 徹

"ちゃんと"って言葉便利だよね。

及川 徹

でも、それった本当の気持ち?

そう言って及川は私の前に立ち、

少しだけ顔を覗き込むようにして微笑んだ。

及川 徹

俺さ、器用に笑うのは得意だけど、泣くのは得意じゃないんだよね。

及川 徹

天音ちゃんも同じ感じがしてさ。

及川 徹

放っておけないんだよね。

私は目を見開いた。

それは、誰にも言われたことがない言葉だった。

その夜、自室のベッドで天井を見つめながら

私は呟いた。

天音 夜空

…馬鹿みたい、笑

他人の一言に、こんなに揺れてしまうなんて。

でも、あの人の目は一切嘘をついていなかった。

さよならを知らない君へ

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