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まとめ【短編集】

第2話 - ナズナの勇気

2021年02月08日

#高校生

#短編

#番外編

#一次創作

カラスマ

紅音

ねぇ、はるかちゃんに告らないの？

お茶を飲み込む直前、幼なじみのひとりである紅音(あかね)から尋ねられ、噴き出してしまった

珠希

ゴホッ、ゴホッ

珠希

突然、なにを言いだすんだい……？

紅音

突然じゃないし

紅音

こっちはとっくに、珠希ちゃんがはるかちゃんのこと──

紅音

“好き“って、わかってるから

珠希

…………本当に？

紅音

珠希ちゃん、わかりやすいもん

紅音

あと、ミコトちゃんとレイも知ってるよ

珠希

…………

紅音

で、告らないの？

珠希

……はるかちゃんに思いを伝えたいとは、思ってるけど…………

珠希

……タイミング、っていうか

紅音

煮えきらないな

紅音

あ、そうだ

紅音

あたし、いいもの持ってる♪

珠希

いいもの？

紅音

ちょっと、待ってて

数分後

紅音

はい、これ♪

チケット(2枚)を目の前に置く

珠希

遊園地のチケット？

紅音

貰い物なんだけどね

紅音

これで、はるかちゃんをデートに誘うの

珠希

え？

紅音

それにね、その遊園地のメリーゴーランドには

紅音

ある“噂“があるんだよ

『メリーゴーランドの前で好きな人に思いを伝えると、両思いになれる』

紅音

その噂に便乗して、告白する！

珠希

こ、告白──

珠希

(できるかな……？)

紅音

善は急げって言うし

紅音

帰ったら今日の夜にでも、はるかちゃんを誘ってね♪

珠希

…………

その日の夜

珠希

どうしよう……

珠希

紅音ちゃんの勢いで、ついうなづいたけど…………

珠希

LIMEしてみようかな──

珠希

今からLIMEしても、大丈夫？

はるか

大丈夫だぞ

はるか

どうした？

珠希

用ってほどでも、ないんだけど

珠希

あのね、はるかちゃん

珠希

今度の休みって、空いてる？

はるか

今んとこ、なんの予定はない

珠希

じゃあ、今度の休み

珠希

遊園地に行かない？

珠希

チケット、もらったんだけど

はるか

遊園地？

はるか

べつにいいぞ(^^)

珠希

(──一応、オーケーもらえた)

LIMEで相談しながら、朝の10時に駅前で待ち合わせすることになった

数日後

珠希

(……なんか、緊張するな)

はるか

待ったか？

はるかがやってきた

珠希

……！

はるか

珠希？

思わず見惚れてしまった

珠希

大丈夫、ぼくも来たばかりだからさ──

いつもは長髪をひとまとめにしているのに、今日は下ろしている

はるか

……へ、変か……な？

恥ずかしそうにうつむく

珠希

全然、変じゃないよ

珠希

(むしろ、綺麗だ──)

はるか

──そ、そうか。よかった

はるか

じゃあ、行くか

珠希

……うん

珠希

(ドキドキする──)

はるか

こういうとこ来んの、久々だ

珠希

ぼくもだよ

はるか

珠希

はるか

今日一日、楽しもうな

珠希

そうだね

にこ

数時間後──

はるか

大丈夫か？珠希

珠希

──なんとか

はるか

確か絶叫アトラクション、苦手だったろ？

はるか

無理して乗らなくても、よかったんだぞ

珠希

……あはは

珠希

ちょっと、カッコつけたくて……

珠希

……ゴメンね

珠希

水を差しちゃって……

はるか

謝ることねーだろ

はるか

気にすんなよ

ぐうぅぅ

珠希

あ……

はるか

ちょうど、昼だし

はるか

なんか、食うか♪

珠希

……うん

珠希

(恥ずかしい……)

しばらくして昼食をすませたあと、ふたりはほかのアトラクションを楽しんだ

時間はあっという間に過ぎた

はるか

もう夕方だな

珠希

そうだね

メリーゴーランドの前を通りかかった

『メリーゴーランドの前で好きな人に思いを伝えると、両思いになれる』

珠希

……あのね、はるかちゃん……

はるか

どうした？

珠希

つ、伝えたいことがあるんだ……

珠希の真剣な眼差しに、はるかは口を閉ざす

珠希

ぼく、はるかちゃんのことが──

珠希

す──

そのとき風が吹き、はるかの頬を撫でた

っくしょん…………

珠希

……！

はるか

……悪い、珠希──

はるか

遮っちまって…………

はるかが小刻みに震えているのに気づき、珠希は自分のマフラーを彼女の首元に巻いた

珠希

少し冷えてきたね

はるか

……珠希

珠希

冷たくなる前に、帰ろっか？

にこ

はるか

……ああ

ゲート前へと向かう

はるか

(珠希の匂いがする──)

マフラーを掴み、鼻に押しあてた

数日後

紅音

ねぇねぇ、はるかちゃん

紅音

この間のデート、どうだった？

新聞部部員で幼なじみの紅音に尋ねられ、はるかは少し赤くなった

はるか

デートとか、そんなんじゃねーし…………

紅音

顔が赤いよ？

紅音

なんか、あったでしょ？

はるか

……なんもねーよ

紅音

ホントに？

はるか

ホントだっつーの

紅音

怪しいな

鴒

……やめてやれ

紅音を窘める

はるか

(そういえば──)

はるか

(マフラーを巻いたまま、返しそびれたんだよな…………)

はるか

(今度会うときは絶対に、忘れねーようにしねーと)

はるか

(あのとき、アイツはなにを言いかけたんだ？)

はるか

(……告白とか？)

はるか

……まさかな

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カラスマ

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