テラーノベル
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煉獄さんは死んだ。 その事実を、俺は何度も頭の中で繰り返していた。
無限列車のあと、時間は止まらなかった。 任務は続き、鬼は現れ、人は死ぬ。 世界は何事もなかったかのように進んでいく。
それなのに、俺の中だけが、どこか置き去りにされたままだった。
夜の森を歩く。 木々が風に擦れ合う音が、やけに大きく聞こえる。 土の湿った匂い。 遠くで鳴く獣の声。
闇は深く、月明かりも頼りない。 その中で、俺は不自然な静けさを感じ取っていた。
この山に入った途端、はっきりと境界を感じた。それくらい、酷い悪臭がする。
血の匂い、それから、どこか懐かしい匂い。 嫌な予感が、胸の奥に広がった。
足を速める。 視界が開けた先で、俺は立ち止まった。
倒れている人影。隊服だ、鬼殺隊のものだ!
炭治郎
近づくと、胸元が大きく裂けているのが分かる。一撃。 迷いのない、致命傷。......もう息はない。
「......」
喉が、ひくりと鳴った。間に合わなかった。 ここに来るのが、遅かった。酷く気分が沈む。
手を合わせて、目を瞑る。
そのときだった。 背後の空気が、はっきりと変わった。どくんと脈を打つ
冷たい。苦しい。痛い。重圧感で押し潰されそうだ。
ゆっくりと振り向く。闇の中に、人の形をした影。 背が高く、肩幅が広い。匂いでわからなかった、
理屈よりも先に、体がそう判断している、直感だった。
鬼だ...!
刀を握りしめて、荒れる息を直そうとする、間に合わないっ...!
鬼なのに、その影は、倒れている隊員に近づこうとしない。
喰おうともしない。
︎︎
ただ、少し距離を取って立っている。
まるで、見ていられないものから、目を逸らしているみたいに。
鬼が一歩下がる。それが合図だった
次の瞬間、視界が揺れる。 受け止めた衝撃が、脳に直接響いた。
重い。体の皮膚から張り裂けていきそうだ。内臓全てが叩き潰されそうに...
ガハッ。
息が詰まる。強い。苦しい。無理だ。ダメだ。勝てない、勝てない! 呼吸が、呼吸がっ、
鬼としても、純粋な力としても、桁が違う。 俺は、はっきり理解した。
、かてないっ
相手は、俺を見下ろしていた。金色の瞳が、夜に鈍く光る。懐かしい匂い...これはなんだ、?
苛立ち。焦り。そして、投げやりな何か。
︎︎
自暴自棄だ。
この鬼は、自分が何になったのか分からないまま、 壊れかけている。
腰の刀に、手が伸びた。金属が、かすかに鳴る。
俺に向かって、刀を抜こうとしている。
その瞬間、ハッとした。
、...この声...は......。
拳を強く握った。斬らなければならない、たとえ、己の身が朽ちようとも、必ず。
ああ、神様はどうしてこんなにも残酷な試練を与えるんだろうか
炭治郎
コメント
2件

これはっっっっもしやっ!古参!?か!?

なんっっっっっっっっっっっこれ!!!えぐい映画一本見終わった気分!!はやくっっっっ続きをぉおおおお)))⭐︎