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令和と呼ばれた時代から約500年経ったこの世界に、 元サラリーマンの太郎と、 山奥でコスメショップを展開している桃子が、 夫婦として一緒に暮らしていました。
太郎は職探しに、 桃子はコインランドリーまで山を駆け下りていました。
桃子が山の中を4足歩行で駆けていると、 通りすぎていく木々の中にチラッと桃色の大きな物体が見えました。
視力の良い桃子は、 急ブレーキをかけてそれをまじまじと遠くから見つめました。
桃子
桃子は持っていたランドリーバッグを投げ捨て、 その桃色の大きな物体を根性で持ち上げて家に帰り、 太郎と相談して家のオブジェにすることにしました。
すると三日後、桃色の大きな物体が突然真横に開き、 中から整形をしたかのような完璧なイケメンが出てきたのです。
桃子
太郎は慌ててスマホのカメラをイケメンに向けたが、 イケメンはその手を軽く振り払い、
イケメン
と、初対面とは思えない生意気な口調で言いました。
2人は驚きましたが、 呼び方もわからないので名前をつけてあげることにしました。
桃子
桃子は太郎に丸投げしました。 太郎は困った顔をして、渋々適当に案を出しました。
太郎
桃子
イケメンはそれを聞いて、 太郎とそれに賛成した桃子のセンスを疑いました。
こうして、桃太郎と名付けられたイケメンは、 太郎たちと一緒に暮らすことになりました。
そこから1週間経ったある日、 家の戸を叩く音が聞こえました。
太郎
ずっと家にいる太郎が戸を開けると、 そこには黒いスーツを着た男が2人立っていました。
1人は細身で高身長、もう1人というか、 もう1体は明らかに2メートルあるゴリラでした。
太郎は驚いて、3歩ほど後ろに身を引きました。
太郎
黒いスーツを着た男たちは何も言いません。
太郎はゴリラが睨みつけてくるのを横目で感じながら、 もう1度細身の男に話しかけました。
太郎
細身の男はかけていたサングラスを外し、一礼しました。
男
そう言うと、男は隣のゴリラをチラ見しました。
ゴリラは依然として何も話しません。
太郎
男
太郎は1人で物事を決めることができないため、 慌てて桃子に電話しました。
太郎
桃子
そこから30分後、 桃子が桃太郎を引きずりながら帰ってきました。
男
桃子
周囲に緊張が走りました。 桃太郎は何も言いません、というか気絶していました。
桃子
太郎
桃子
桃子と太郎がケンカを始めると、 ゴリラが桃太郎の頭を掴んで揺さぶりました。
ゴリラ
桃太郎は無意識に恐怖を感じ、飛び起きました。
桃太郎
男
桃太郎
ゴリラの目の色が変わり、 細身の男の目つきが変わりました。
男
ゴリラの右フックが飛んできましたが、 桃太郎はそれを左腕で軽く受け止めました。
桃太郎
次は細身の男が拳銃を取り出し、 桃子を人質に取りました。
男
桃太郎は一瞬動揺しましたが、 すぐににやっと笑って言いました。
桃太郎
次の瞬間、拳銃の銃口が真上に曲げられ、 細身の男は回し蹴りで吹き飛ばされました。
桃子
桃太郎
桃子が太郎のほうを向いた時、 太郎の後ろからゴリラの右フックが飛んできていました。
桃子
太郎は恐怖のあまりそのまま気絶し、間一髪で攻撃をかわしました。 その間に桃太郎がゴリラをスタンガンで気絶させ、事なきを得ました。
桃太郎
桃子
桃子は男とゴリラを無理やりランドリーバッグに詰め、 4足歩行で山を駆け下りました。 そして渋谷のど真ん中に放置し、
「どうか拾ってやってください」
という、汚い字で書かれた貼り紙を置いて家に帰りました。
そこから何事もなく桃太郎はとても可愛がられ、 大切な扶養家族となりました。
そして、太郎と桃子の性格が災いし、 無職のチャラ男として家に入り浸っていました。
ある日、桃太郎は2人に言いました。
桃太郎
太郎
そう太郎が答えると、
桃太郎
桃太郎は2人につげました。
それを聞いた桃子は、 キラキラと光るネイルを桃太郎の爪に塗り、
桃子
と、桃太郎にネイルの入った小瓶を渡しました。
桃太郎はそれをウエストポーチに入れると、 さっそく鬼ヶ山に向けて旅立ちました。
旅の途中、桃太郎は人間とも動物とも思えない、 2足歩行の声の高いネズミに会いました。
ネズミ
桃太郎
ネズミ
桃太郎
ネズミ
桃太郎
ネズミは桃太郎にネイルを塗ってもらい、 マブダチになりました。
桃太郎とネズミが歩いて行くと、 身長リンゴ5個分のネコがやってきて、
ネコ
桃太郎
ネコ
ネコはネズミと同じように桃太郎にネイルを塗ってもらい、 マブダチになりました。
しばらく行くと、 サングラスをかけたブタが飛行機でやってきて、
ブタ
桃太郎
ブタ
ブタは桃太郎にネイルを塗ってもらい、 マブダチになりました。
しばらく行くと鬼ヶ山が見えてきました。
ネズミ
ネズミが桃太郎の耳元で囁きました。 その声は妙に気持ち悪く、 桃太郎は悪寒がしてネズミに軽蔑の眼差しを向けました。
耳と尻尾を垂らし、 しゅんとなったネズミを誰も気にかけることはなく、 桃太郎たちは歩き続けました。
鬼ヶ山に着くと、 お城の門の前に大きな鬼が立っていました。
鬼1
怒っている鬼の言葉を無視して、 桃太郎はウエストポーチに入っていた化粧水を取り出すと、 瓶ごと鬼に投げつけました。
桃太郎
ネコは妹お手製の鍵型クッキーで鍵を開けました。
ネコ
ブタは鬼の目にミサイルを放ちました。
ブタ
桃太郎たちのコンビネーション技に鬼は翻弄されていました。
鬼1
そういうと、鬼はお城の中に逃げていきました。
するとお城から沢山の鬼が出てきて、 ついに大きな鬼があらわれました。
鬼2
大きな棍棒を振り回しながら言いました。
桃太郎
そう静かに呟くと、 桃太郎はすばやく棍棒の上に飛び乗り、
桃太郎
と言って、鬼の顔に粉末状のファンデーションをふりかけました。
鬼2
鬼は目に涙を溜め、 必死にファンデーションを振り払おうとしていました。
桃太郎
桃太郎はもう1度、 ファンデーションをふりかける仕草をしました。
鬼2
桃太郎は鬼たちに精一杯のメイクをして、 コスメを売りつけました。
こうして、桃太郎は太郎と桃子の待つ家に帰りました。
その翌日、太郎が叫びながら職探しから帰ってきました。
太郎
桃子は不安な顔になり、桃太郎を見つめました。
桃太郎
桃太郎は家のドアを開け放ち、堂々と叫びました。
太郎
太郎は急いで桃太郎の口を押さえましたが、 もう鬼たちは家の前まで来ていました。
桃子
桃子と太郎が覚悟を決めた時、鬼たちは驚きの行動を見せました。 桃太郎に言われた通り一列に並び、おとなしくしていました。
太郎
太郎が桃太郎に問いました。
桃太郎
鬼たちはにこにこ笑って桃子を見つめていました。
桃子
それからコスメショップは大繁盛となり、 みんなで幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。