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若桜は学校での自習を終え、日が傾く少し前に帰宅していた。
学生の本分から離れると悪霊との戦いが思い浮かんだ。
姉様は強い悪霊の兆候が見られるって言ってた。
姉様一人で何とかできる規模なら、詳細がわかる前に私に言ったりしない。
その様相は総力戦、未熟な私の手も借りないといけない非常事態だ。
若桜が考え込んでいると、窓の辺りがガタリと音を立てる。
ろいら
鍵のかかっていない窓を外側から開けて入ってきたのは悪友のろいら。
セーラー服風のパーカーにオーロラカラーの短いフレアスカート。
若桜と同じ中学二年生にも関わらず、濃いカラーで涙袋を強調したメイクというギラギラした容姿をしていた。
八岐 若桜(やまた わかさ)
ろいら
若桜はろいらの姿を見るやホールドしに行く。
名前については、初めて会った時にろいらのことをろーらと聞き間違えたことがきっかけで、若桜は愛着を込めてろーらと呼び続けている。
ろいら
八岐 若桜(やまた わかさ)
ろいらが困惑しようと若桜はお構いなしだ。
ろいらは、神々が行う紋切り型の悪霊排除に反対する組織に所属している。
秩序を最重視し、いかなる転生も許さない構えの神々に対し、神通力を持つ人々を中心に反対運動を行なっている。
しかし悪霊が明らかに現世に悪影響を及ぼすようであれば、若桜たちと協力関係を結んだりしていた。
ろいらは組織として活動する以外は東京近辺をぶらつき、行方がわからないようにしていた。 そして気が向くと若桜の住む地域にやってくる。
ろいら
ろいら
横倒しにした細い人差し指を顎に当て、得意げに笑う ろいら。
若桜が ろーらも無事でいてね と言うと同時に背を向け、ひゅっと窓から消えた。
神功皇后
久しぶりにろいらが来たと聞き、若桜が嬉しそうだからと神功皇后は微笑んでいた。
八岐 若桜(やまた わかさ)
八岐 若桜(やまた わかさ)
神功皇后
神功皇后
神功皇后
神功皇后
神功皇后
神功皇后
神功皇后
八岐 若桜(やまた わかさ)
そして二人は商業施設、ピアイーの前に降り立つ。電車で一駅の距離になるが、若桜達であれば、屋根を飛び移り程なくして到着する。
神功皇后単独ならば瞬間移動も可能である。
ピアイーは家電量販店を中心とした商業施設で、おもちゃの品揃えも豊富なことから家族連れが多かった。
家電量販店に行くついでに、スーパー、服屋、フードコートなど、ここに来れば外出の殆どが事足りた。
しかし近所により規模の大きいショッピングモールが出来たことで、客足は遠退きテナントは撤退、いつ閉鎖されてもおかしくない状態になっていた。
八岐 若桜(やまた わかさ)
若桜は目の上に手をかざし周囲を見渡してから、ふざけて小躍りする。 若桜を気に留める者は誰もいなかった。
休日にも関わらず来ている客は十組程度か。
若桜たちはまず、家電量販店のある一階から探索を始めた。
家電量販店に悪霊の残す瘴気は残っていたが、 本体の気配はなかった。
続く空きテナントのシャッターの向こうを透視しても悪霊はいない。
残された瘴気の解明も重要だが、ここは悪霊本体を見つけたい。一階は置いて二階に上がることにした。