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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

次の日――

クラスメートA

ね、津田さん

津田未来

ど、どうしたの?

クラスメートA

昨日の占い当たったよ!

津田未来

えっ!?

クラスメートA

津田さん、けっこう占い当たるよね!

津田未来

そ、そうかな……?

その子が言うには、占いで近いうちにいいことがある、と出ていたそうだ

そして、その帰り道、彼女は財布を拾った

それを届けたところ、すぐに落とし主が見つかり、お礼をもらえたという

きっと偶然だ

でも……

そんな偶然あるだろうか?

私がみんなの運勢を占ったのはもちろん昨日が初めてだ

私に何か占いの才能でもあったのだろうか?

そうは思えない

ということは……

津田未来

このウィジャボードが特別なのかな?

それ以降

昼休みや放課後など、暇さえあればウィジャボードで遊ぶようになった

ウィジャボードの占いはよく当たると評判になり

私はみんなの人気者になった

「占い師」なんて呼ばれて

違うクラスどころか違う学年からも

私に占ってほしいという人が集まってきた

そして私もまたウィジャボードに夢中になっていった

もともとオカルトに興味があったというわけではなかったが

「占い師」なんて呼ばれてみんなに頼られることで

なんだかとても嬉しくなってしまったのだ

誰もが無関心だったあの頃とは違い

私は今やみんなの関心の的だった

うれしい

けれど

中には占いに興味はない、という子もいた

中村美和はそんな中の一人だった

クラスメートA

あ、美和

中村美和

おはよ

クラスメートA

美和も津田さんに占ってもらいなよ

クラスメートA

けっこう当たるんだよ

中村美和

あー

中村美和

私はそう言うのはちょっと

中村美和

あんまり占いとか信じてないんだ

クラスメートA

私も最初はそうだったけど、津田さんの占いは結構当たるよ

占いを信じないと言われ、私は中村美和に対して内心ちょっとムッとした

津田未来

そういう信じてない人にこそ

津田未来

占いが当っているかどうか、ちゃんと確認してほしいな

津田未来

ほら

津田未来

信じてる人だと、自分で勝手に『当った』って思いこむじゃない?

津田未来

だから、冷静な人にこそ参加してもらいたいな

クラスメートA

そうだよ、美和、やってみようよ

中村美和

……じゃあ ちょっとだけ

津田未来

じゃあ、コックリさんに聞いてみようか

中村美和

何を聞くの?

津田未来

そうね 最初は

津田未来

……『中村美和はこっくりさんを信じていますか』

No

中村美和

まあ、これはね

中村美和

自分でそう言ったし

津田未来

じゃあ次

津田未来

『中村美和はこっくりさんを信じた方がいいですか?』

Yes

中村美和

これは占いでもなんでもないじゃない

津田未来

『どうして信じた方がいいんですか?』

『h』『i』『d』『o』『i』『m』『e』『n』『i』『a』『u』

津田未来

ひ・ど・い・め・に・あ・う……

津田未来

ひどい目にあう?

クラスメートA

えっ、美和、大丈夫!?

中村美和

……でも

中村美和

これで、私に何事もなければ、占いははずれたってことよね?

中村美和

まさか占いで悪い結果が出たことが『ひどいめ』だったとかいわないでしょ?

津田未来

なら、聞いてみましょうよ

津田未来

『中村美和はどんなひどいめにあいますか』

「n」「o」「r」「o」「w」「a」「r」「e」「r」「u」

津田未来

の・ろ・わ・れ・る……呪われる?

津田未来

『誰にですか?』

「k」「o」「k」「k」「u」「r」「i」「s」「a」「n」「n」

津田未来

……コックリさん?

中村美和

ちょっといたずらが過ぎるんじゃない?

中村美和

それに、コックリさんに呪われる、なんて全然具体的じゃない

中村美和

こんなの、なんとでもいえるじゃない!

そういって中村美和は怒って立ち去ってしまった

みんなも興ざめしたらしく、その日は解散になった

次の日――

中村美和

おはよ

津田未来

…………

中村美和は普通に学校に来た

「呪い」なんて言葉が出て不安に思っていたみんなも安心したようだった

ところが――

さらに次の日

中村美和は学校を休んだ

教師によると体調不良らしい

みんなは偶然だと思おうとした

占いが当ったとすると怖すぎるからだ

しかし

その次の日も

また次の日も

中村美和は学校に来なかった

その結果――

津田未来

ね 何か占おうか?

クラスメートA

あっ

クラスメートA

ううん…… 今日は辞めとくね

津田未来

そっか

クラスメートB

呪われたら嫌だし

クラスメートA

ちょっと! 聞こえるよ!

津田未来

…………

私はまた独りになった

一方、美月たちは――

優花を家に泊める約束をした次の日、早速公園を見張ることにした

まず明るいうちに公園がどんな場所か調べておきたかったので

学校帰りにさっそく調査に向かった

美月

うーん

美月

この公園、思った以上に暗そうだね

優花

そうだね

優花

これなら懐中電灯とか持ってきた方が良かったかも

美月

だね!

美月

一通り見たら、いろいろ準備しなきゃだ!

公園はかなり大きく

樹も植えてあってちょっとした林のような作りになっていた

さらに、大きさの割に街灯の数が少なく

夜はほとんど真っ暗になってしまいそうだった

美月

よし

美月

じゃあ必要なものを用意したら

美月

公園に隠れて待ち伏せよ!

優花

うぅ……

優花

虫よけも用意しなきゃ……

数時間後……

優花

ちょっと怖いね……

美月

うん……

ただ、護法が言うには

人面犬の噂で、襲われたという話がひとつもないそうだ

どの話でも、人面犬は気づかれるとすぐに逃げている

だから、人面犬、つまり狐憑きの人が人を襲う 可能性は低いのではないか、ということだった

そしてついに夜が来た

私と優花は懐中電灯をいつでも点けられるよう握りしめながら

大きな樹の下の陰から様子をうかがった

時刻は午後11時ごろで

遠くに街灯があるだけの公演はもうほとんど真っ暗だ

美月

…………

優花

…………

私と優花は声を潜めてじっと何か起きるのを待っていた

もし一人だったら、とても待っていられなかったかもしれない

そんなことを考えていたとき――

美月

!!

公園の奥の方からふらふらと女性が一人歩いてきた

高校生くらいの年齢だろうか

優花

あの人が、もしかして……

美月

うん

美月

こんな真っ暗な公園に女の子が一人で来るなんておかしいよね

優花

やっぱり狐憑きなのかな……

そうやって様子をうかがっていると――

護法童子(コンテスト版)

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