おーい。1週間以上経ってんぞ〜。
聞こえてるか〜?
僕の眠りを妨げないでくれ…お前たちのようなちっぽけな生物とは違うんだ
チッ、面倒だな…なんで眠りが深いやつに取り憑いたんだ…
深いから取りつい…契約したんだ、邪魔しないでくれ
寝てばっかじゃ身長伸びねぇぞ
湖葉音…?
僕を子供扱いするなぁ!!!
晴
ほら。言っただろ?
奏兎
ほんとだ。身長のことに触れるだけで起きた
湖葉音…?
まさか…そんなつまらない手段で僕を起こしたのかい!?
奏兎
勝手に怒って起きたのは君でしょ。
晴
(よく言った…!)
湖葉音…?
ぐぬぬ…
奏兎
ていうか自己紹介ぐらいしてくれないとさ
奏兎
君が誰なのかわかんないよ
湖葉音…?
は?なんで湖葉音じゃないってわかって…
奏兎
そりゃ分かるでしょ、一人称も口調も変わってるのに…
奏兎
わかんないやつはただの馬鹿でしょ
晴
(グサッ)⇽最初全然分かってなかった。)
雪
あ、あはは…
雪
(私とにぃちゃん、2人揃って見ぬけなかったんだよね…)
奏兎
…?
奏兎
(なんだこの2人…)
湖葉音…?
まぁいいさ。僕の事は「哀」って呼んで。
湖葉音…?
こいつの条件を呑んで、契約した妖だ。
湖葉音…?
と言っても…今は身体がない魂だけの状態だから、信用しなくてもいいけど。
晴
はぁ、だから…
湖葉音…?
どうかしたのか…?
奏兎
いや、実は…僕が妖怪とか都市伝説とか信じてなかった時期に…
お〜い〜、まだ俺の事を信じないってか?
奏兎
また幻聴が話しかけてきた。
だから幻聴じゃねぇって
奏兎
どう考えたって幻聴でしょ
俺はお前に取り憑いた妖だっての!!
奏兎
はいはい、もう聞き飽きた。
いつになったら信じるんだ!!俺はもう怒ったぞ…!!
奏兎
幻聴って怒るんだね〜
何回も言わせるな!!俺は幻聴じゃねぇ!!!
湖葉音…?
こいつ…強すぎる…!!
一同「何が?」
湖葉音…?
いや…すまない…
湖葉音…?
僕の推測じゃあ、そいつは「怒(イカリ)」だ
奏兎
「怒」…?
湖葉音…?
名前の通り、怒りやすい性格なんでね。
湖葉音…?
なにか突っかかる度、あいつの堪忍袋の緒が切れるんだ。
湖葉音…?
僕も、楽も、それに喜もよくあいつに手を焼かされたよ…
奏兎
それってことわざ的にですか?
湖葉音…?
いや、物理的に
晴
うわぁぁぁ…怖ぇやつに目ぇつけられたんじゃないか?
奏兎
ていうか貴方は自分のことを妖だって言ってますけど…
奏兎
なんの妖怪なんですか?
湖葉音…?
あぁ、僕?
湖葉音…?
なんの妖怪かって…
湖葉音…?
まぁ、妖怪は身分が上なほど知名度が低いからな。
湖葉音…?
知らなくても無理はないか。
晴
え?お前は身分が上級の妖怪なのか?
湖葉音…?
そうだよ?身分が低い妖怪は…身分が低いほど、仕事が少なくて人間界に遊びに行く妖怪が大半だからね。
湖葉音…?
その上、上級の妖怪は紅蓮の世じゃあ…この世界で言う「しゃちく?」ってやつじゃない?
雪
うわっ、厳しそう…
雪
ていうか今更の話、
雪
さっきしれっと言ってた…えーと…
雪
「楽」とか、「喜」とか…その妖怪?人?達はどういう関係なのか教えてよ
雪
何もわかんないまま聞いてちゃなんも理解できないよ?
湖葉音…?
あ〜、話しそびれてた
湖葉音…?
さっきからずっと言ってたのに説明してなかったね
湖葉音…?
喜、怒、哀、楽
湖葉音…?
僕らをまとめて「喜怒哀楽」と紅蓮の世では呼ばれてるね。
湖葉音…?
関係は兄妹。それだけ。
晴
ほーん。で、そんな妖怪様がなんで人間界に?
湖葉音…?
それは…
湖葉音…?
もちろん、怒含めた兄妹を探し出すこと。
湖葉音…?
僕らは今、身体だけないから
湖葉音…?
「契約者」を探して身体を借りてるかもしれないな
湖葉音…?
ま、ごく一部の人間にしかできないことだけど。
奏兎
ねぇ、晴…
晴
ん?なんだ?
奏兎
いつの間にかこの妖怪の口調が湖葉音に似てきてるけど…
奏兎
影響されてる?
晴
俺も思ってた。
湖葉音…?
コホン、まぁそんな話は置いておき
湖葉音…?
僕の兄妹探し、手伝ってくれない?
湖葉音…?
それ相応の代償は払うからさ
晴
じゃあ20年ぐらい縮んだ寿命を何とかして欲しい。
湖葉音…?
うーん、それは無理かなぁ
晴
チッ、はぁ…
奏兎
(晴って妖怪、人間関係なく普通に舌打ちするよね……!!)
湖葉音…?
舌打ちしたね!?!?
湖葉音…?
この僕に舌打ちなんて随分度胸あr
晴
黙れよ…
湖葉音…?
……………
奏兎
(泣きそうになってる!!)
九尾
なんじゃなんじゃ、騒がしいのう…
九尾
おぉ、貴様は哀じゃないか?
湖葉音…?
ぅぅ…
九尾
なぜそんな泣きそうに…
奏兎
…(呆れた顔で晴を指さす)
九尾
ん?
九尾
あぁ、そういう事か…
九尾
確かに哀は戦闘面が強くても精神的には最弱だからな。
その一言で場は完全に凍りついたのであった。1人状況が把握できてないようだが…
奏兎
…?
次回→お楽しみに!