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━━空っぽな気持ちで 目を覚ます、
僕の心は、 二度と戻らない あの子を思い続ける。
頭のなかでリフレインされる あの子を写したムービーはまだ再生をやめない。
僕はまた 目覚める
もう用もなくなった この世界で、 僕はまだ終われないみたいだ
僕の世界から 重要なものが 失われ 僕の心は 大きく欠けた
━━朝、また目覚める。
また同じく がらんどうの部屋で 目覚めると思った僕は わが目を疑った
瑠奈
目の前にいるはずのない あの子が立っていた
頭上にはあのときの 夜空が広がっていた
樹
僕は、思い出の中にしか もう存在しない場所に 両足をついて立っていた
9月15日 僕が あの子を引っ張って 夜空を見に行った日
風が吹き、周りの草や茂みが さらさらと音を立てていた
町の喧騒から大分離れた 森林公園で 他に人の影はみあたらない
瑠奈
樹
どうにか絞り出した声は 涙声になっていた
この場所、この瞬間は 僕の思い出に 永遠に刻まれている
大切な記憶は 永遠に朽ちない
途方もない懐古、 襲ってきた哀しみを どうにか 堪える
そして僕は また いつも通りに目覚める
もう僕を、 満たせることはない この欠けた世界
緩慢な動作で ベッドから起き上がる、 もう何もかもが ぬるま湯のように ずっと気だるく味気なく
━━それでも僕は まだ終われないようだ。