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今、自分の置かれている状況に、頭がついていかない。
朝の校舎裏。
目の前には、作り物かと思うほど綺麗な顔をした男の人。
その人が、俺を見つめてこんな言葉を口にした。
桃
これって………告白?
遡ること十分前。
いつものように登校し、教室に入ろうとしたとき、俺を待っていたらしいこの先輩…瀬戸桃先輩。
桃
そう声をかけられ、いったい俺は何をしたんだろうと、内心ヒヤヒヤしながらついていった。
だけど、まさか告白だとは思わず、先輩の言葉に耳を疑ってしまった。
どうして…………俺?
先輩と俺は、今まで何も関わりがなかったはず。
それでも瀬戸先輩の名前を知っていたのは、彼が………
この高校で知らない人がいないくらいの有名人だから。
入学してから常に主席をキープしている創設以来の優等生であり、現生徒会長。
その上サッカー部ではエース的存在。
そしてなによりこの容姿。
近くて見ると、息をするのを忘れてしまいそうなほど、見とれてしまう。
形のいい切れ長の目にスッと鼻筋の通った高い鼻、薄い口唇。
まさに黄金比率なんじゃないかと思うほどバランスよく並べられた顔のパーツ。
もちろんスタイルも海外のモデルさん並みに抜群で、噂では度々芸能関係者の人からスカウトされてるとか…
そんな、すべてを持って生まれたような彼がモテないはずがなく、校内の憧れを一身に集めているというのは、有名な話だ。
………うん。改めて、やっぱり信じられない。
赤
青色の瞳を見つめて、首をかしげた。
先輩が俺を好きだなんて、天と地がひっくり返るくらいありえないことだ。
誰かと間違えてるか、とんでもなく趣味が悪いか、どちらかとしか思えない!
桃
まっすぐに見つめられながら告げられた言葉に、どきりとわかりやすく心臓が跳ねる。
こ、後者だった………。
この人、とんでもなく趣味が悪いんだっ!
赤
ど、どうしよう。
俺みたいななんの取り柄もない人間に告白するなんて、逆に気の毒になってきた。
こんな完璧な人が、なんで俺なんかを好きになるんだろうっ。
ひとまず、ちゃんと返事しよう。
赤
俺みたいな人間が先輩の告白をお断りするなんて、ほんと何様だよって感じだけど、
｢はい、お願いします｣と言えるほど、付き合うということを軽く考えられない。
初めての彼氏は大好きになった人って思っている。
夢見すぎ、少女漫画の読み過ぎだってわかってるけど……
お断りした俺に、先輩は表情をピクリとも変えず口を開いた。
桃
赤
友達?
桃
桃
目を逸らすことを許さないような、まっすぐな瞳は真剣そのもので、俺はゴクリと息を呑んだ。
友達からって………そこまで仲のいい友達ができたことがないから、それすらどんな感じなのか想像もつかない。
返事に困ってしまって、唇をきゅっと窄めた。
桃
整った先輩の表情が、かすかに崩れた気がした。
しかも、訴えかけてくるような声。
先輩の真剣さが伝わってきて、胸が苦しくなった。
先輩のことを何もしらないまま断ろうとしている自分が、すごく悪い人に思えて、申し訳なくなる。
赤
桃
桃
何も言えずに黙り込んでいた俺に、引き下がることなく言葉を繋げる先輩。
ふと、俺の頭の中にハテナマークが並んだ。
どうして、先輩はこんなに必死になっているんだろう。
なんで俺なの?
この先輩なら、どんな人だって落とせそうなのに。
俺の何をそこまで気に入ってくれたの?
桃
じーっと、俺の方をまっすぐ見つめて、俺の返事を待っている先輩。
どれだけ好かれているんだろうと、自惚れてしまいそうな眼差しに導かれるように、俺はこくりと頷いてしまった。
赤
ここまで迫られて、無理です、ときっぱり断れない。
好きになれるかどうかは分からないけど、ここまで真剣にきもちを伝えてくれたこの人のことを、知りたいと素直に思った。
桃
俺の返事を聞いた先輩の表情が、みるみる明るくなる。
桃
ードキッ……。
本当に嬉しそうに微笑んだ先輩に、不覚にも胸が高まる。
う…………。
イケメンの笑顔の破壊力、恐るべしっ。
桃
桃
思い出したように名乗ってくれた先輩。
はい知ってます……と心の中で返事をして、俺も自分の名前を口にした。
赤
桃
すぐにかえってきた返事と笑顔。
告白する相手の名前くらい、しってるよね………。
なんだか恥ずかしくなって、視線を下げた。
桃
桃
赤
ｎｅｘｔ↗
コメント
8件
改めて初めから読むことにしたんやけど、りなちゃんレベルアップしすぎてる、ほんまに読んでて楽しいし臨場感わくというか、とりあえず好きすぎます🥲🥲 ♡連打失礼しますー！！
ブクマ失礼します！文章力凄すぎません？神✨！
神すぎです…！フォロー&連鎖ブクマ失礼します！
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