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2人で並んで、さっき通った廊下を歩く。

1年の俺の教室に近づくにつれて増えていく人の目。

う、視線が痛い

××

ねぇ、あれって……

××

桃先輩が1年と歩いてる!

こそこそと何か言われている声が聞こえて、思わず肩を縮こめた。

多分、有名な先輩の隣に俺なんかがいるから、何か言われているんだろう。

どこからともなく聞こえる悲鳴に、桃先輩の人気を痛感する。

先輩はこれだけ注目されて、気にならないのかな?

チラリと先輩のほうを見るけど、まったく気にしていない様子だった。

注目されるのも噂されるのも日常茶飯事のことだから、なんとも思わないのかな?

そんなことを思ってると、パッと先輩がこちらを見た。

今日の放課後ってあいてる?

今日部活無いから、一緒に帰りたいんだけど

え?

放課後?

突然のお誘いに、少しだけ悩む。

今日は…たしか何もなかったよね?

はい。今日なら、空いてます

保健委員の仕事もないし…うん、大丈夫。

でも、ちょっとまって

「一緒に帰りたい」ってそれはもしかして…ふ、2人でってこと?!

それじゃあ終わったら教室まで迎えに行くね

は、はい

俺、教室こっちだから、バイバイ

とっさに頷いた俺に満足げな表情を残して、先輩は行ってしまった。

あ……行っちゃった

それにしても、先輩の教室は2年生だから俺の教室と階が違うんじゃないのかな?

もしかして、わざわざ送ってくれたの?

優しい人なんだなぁ

意外な一面に驚きながらも、自分の教室に入る。

すると、待ってましたと言わんばかりの勢いで、親友の黄くんが飛びついてきた。

赤!!瀬戸先輩によびだされたってほんと!?

いったいどこから聞いたのか、目をまん丸に見開きながらそう聞いてくる黄くん。

この学校、瀬戸先輩の噂が回るのはやいんだなぁ、あはは…

え、えっと…

あの瀬戸先輩に呼び出されるなんて、なんかやらかしたの?!

な、なんて言えばいいんだろう…

こ、告白……された

はぁぁっ!?

悩んだ末、正直に話した俺に、黄くんが大きな声を上げた。

告白!?あの瀬戸先輩から!?

る、黄くん声が大きいよ!

周りのみんながこっち見てる!

ご、ごめんごめん……ちょっとびっくりしすぎて……で?

で?って?

返事だよ!どうしたの!!?

と、友達からってことになって…

友達からぁ?!付き合えばいいじゃん!

る、黄くん声が大きいってば!!

またしても叫んだ黄くんに、しぃーっ!と人差し指を立てる。

ごめんごめん。でもまさか、あの瀬戸先輩が告白するなんて

驚いて興奮しっぱなしの黄くんに、俺もこくりと頷く。

驚くのも無理ないよね。

俺もびっくりしたの……

どうしてあんなかっこいい人が俺なんかに…

いや、そっちじゃなくて

え?

あの人が人間嫌いって噂、聞いたことあるでしょ?

うん、少しだけ

でも、ただの人間嫌いじゃないんだよ

あの人はもう病気レベルの人間嫌いなの

病気………レベル?

どういうこと?

そう尋ねた俺に、黄くんは瀬戸先輩の人間嫌い伝説を詳しく話してくれた。

あの人、誰かが話しかけても何をしても無視。

もはや存在を無視。

人がいる場には絶対に行かない。

そ、そこまで?

どんなかわいい子が話しかけても無視どころか、全く相手にされないんだって

そ、そうなんだ

たしかに、それは病気レベルだ

それなのに…こんな先輩が告白って、赤なにしたの?!

黄くんの言葉に、俺が聞きたいよとため息をついた。

何もしてないから、俺も驚いたの…

何もしてないのに…。

んーまあ、赤ならわからなくもないか

え?

どういう意味?

あの瀬戸桃に告白されてもおかしくないってこと。

…………ん?

ど、どうして?

いったい何がおかしくないのか、黄くんの言葉が理解できず、首をかしげた。

ていうか、友達から始めるってどういうこと?

あ……1回断ったんだけど、友達からでいいから一緒にいたいって言われて、断れなくて…

自分で言っていて恥ずかしくなってきた…。

先輩の真剣な表情を思い出して、カァッと顔が熱くなる。

黄くんも、目をまん丸に見開かせて驚いていた。

先輩って、そんなこと言う人だったの?

ファンが知ったら倒れそうだね…

う、うん…

でもいいじゃん!!

先輩って勉強出来るし、顔はアイドル級!

強豪なうちのサッカー部で、2年にしてエース!

運動神経も文句なし!

マイナスなんて1つもないじゃん!

もう付き合っちゃいなよ!

そ、そんな簡単に言わないでっ

俺、先輩のこと何も知らないもん…

ニヤリと笑う黄くんに、俺は首を左右にぶんぶんと振った。

黄くんってば、他人事だと思って!

もったいないよ。あれほどの人を逃しちゃ!!

たしかに、黄くんが言っていることも分かる。

あんな少女漫画のヒーローみたいな、何もかもを持って生まれてきたような人、きっとこの先、俺の前には現れないかもしれない。

でも、それとこれとは別っていうか…

恋人って、好き同士の2人がなるものでしょ?

好きでもないのに付き合うなんて、先輩にも失礼だもん…

ま、僕はクール系はタイプじゃないけどね?

どっちかって言うと青先輩のほうが断然好みだなぁ~!

考え込む俺を見ながら、黄くんがこんなことを言った。

青先輩?

瀬戸先輩の友達!

そ、そうなんだ…

遠くを見つめて、「はぁ…お近づきになりたい…」とため息をつく黄くんに、苦笑いを返した。

そういえば、先輩、放課後に迎えに来るって言ってたけど、本当に来てくれるのかな?

ふと、先輩の優しい笑顔を思い出す。

黄くんが言っていた噂の人間嫌いの先輩と、同一人物だとは思えないや。

断りきれず、その場の雰囲気で友達になることを了承しちゃったけど…

好きかどうか分からないまま一緒にいるのは失礼だし、先輩のことちゃんと知りたい。

こんな俺に告白してくれたんだから…俺だって、きちんと答えなきゃダメだよね…。

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君 へ の 愛 は 1 0 0 %

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