主
主
主
さつき(マッマ)
主
今夜はお祭り。
綺麗な花火が見える特等席へ向かう。僕しか知らない内緒の穴場。
…の、はずだったんだけど……
朱。
茶柱
そこに居たのは、 なんだか不思議なお嬢さん。
茶柱
茶柱
朱。
元気な人やねぇ……
朱。
朱。
彼女が示した方向に目を向ける。 ーすると、そこには……
茶柱
見たことも無い鳥居が、静かに佇んていた。
茶柱
茶柱
朱。
茶柱
茶柱
朱。
朱。
そう彼女が言った瞬間、 鳥居の隣にあった灯籠がぱっと光った。
蛍が舞い、海から金魚が飛び交う。
日常なら、あり得ない光景。 でも、あまりにも幻想的で、
茶柱
そう口からこぼれた。
朱。
茶柱
朱。
朱。
その言葉を得て、もう一度鳥居を見つめる。
惹き込まれるような朱色と、眩しい程輝く月が。
「来い」と、言っている気がした。
茶柱
茶柱
そう言うと、彼女の表情は明るくなり
朱。
と、笑顔でそう言った。
少し歩き、恐る恐る鳥居に近づく。
朱。
一礼し、ゆっくりと鳥居に手を伸ばす。
茶柱
鳥居を通った指の先から波紋が広がり、自身の手が鳥居の中に消えた。
茶柱
瞬間、身体ごと鳥居の中に強く引っ張られる。
その力に抵抗する事もままならないまま、僕は鳥居の中に飛び込んだ。
茶柱
ゆっくり目を開いた先には大きな廃れた神社。その近くを数々の魚達が躍るように泳いでいる。
一番に目に入ったのは神社を周るように泳いでいる 細長い龍の様な魚だった。
朱。
声がした方を見ると、そこには先程と同じ人。朱。さんが居た。
茶柱
朱。
茶柱
茶柱
朱。
茶柱
こんな事を言うのは失礼かもしれないが、この神社はとっくに廃れているように見える。
長らく手入れされていないのだろう。
「来たか。」
その時頭上から声が降り注ぐ。 反射的に上を見るが、そこには誰もいない。
茶柱
茶柱
「そんなわけなかろう、 待ちわびていたぞ」
茶柱
朱。
「よし、では早速だがお前らには……」
茶柱
この声は事情も言わずにこう告げる。
「この神社を立て直してもらう事にした。」
茶柱
朱。
茶柱
茶柱
「…そんなものが必要であろうか」
朱。
「…はぁ、」
声は聴こえるようにため息を付く。
茶柱
「妾の何は灯紋。灯紋明神の名を持っておる。」
「そうだな…お主らの世界でいう……」
「神だ。」
茶柱
呆れてため息が出る。
茶柱
朱。
朱。
「無論、本物に決まっておろう。」
「…ん?お主らまさか……」
「役目を……忘れたのではあるまいな…??」
そう心から不思議そうに尋ねる声色は、 とてもじゃないが演技には見えない。
茶柱
朱。
「………わ、妾も廃れたのう……」
「分かった、説明してやろう。」
「お主らはこの社に仕える役目を背負い生まれた。 即ちこれは運命である、という事だ。」
「この社の現状を見れば分かるだろうが…」
「妾の名は、とっくに廃れてしもうた。」
「お主らには、妾の名を復活させる為に、この社を守り、妾に仕え、参拝者の願いを叶えてもらう。」
茶柱
「妾は人間界に直接介入できんのだ。仕方あるまい。」
朱。
「あるわけなかろう。」
う そ だ ろ
そんな事あっても良いものか。 そんな考えが頭の中を駆け巡り止まらない。
僕らは、これといった事情も分からないまま、 神(?)の言う役目というだけで
こんな適当神(失礼)に仕えなきゃならないのか。
茶柱
「妾人間にそんな事言われんの初めてなんだが、」
「、あー…だって妾人間の前に姿表したくないし、」
「人間って怖いだろう?」
薄々感じていたが、この神、まさか……
引きこもりでは……???
朱。
茶柱
ド 直 球
「、え、ねぇお主ら、妾仮にも神なんだけど。」
茶柱
「え、ねぇ、妾、神……」
神(?)の声がどんどん弱々しくなっていく。
…この神、色々と雑だ。そんで引きこもりだ。
…え?本当に神…???
茶柱
茶柱
「ん?あぁ、ないぞ。」
茶柱
「そんなクソデカ溜息つかんでも…」
朱。
「……………許そう。」
朱。
茶柱
朱。
朱。
朱。
え、そこぉ…???
「ん?別に道具なんか使わんでも」
「お主らなら直せるだろう。」
茶柱
また変な事を言い出す…
「…お主ら、自分の服をみなされ」
朱。
朱。
そういえば、今の状況に混乱しすぎて気づかなかったが、朱。さんの服が変わっている。
金魚や鯉を彷彿とさせる様な衣装。 巫女のようにも見えるその服は、 彼女にとても似合っていた。
自分の服も見てみると、黄色い羽織を羽織った 灰色い袴に服が変わっている。
「ほれ、左のお主。」
朱。
「神社に手を向けて祈ってみぃ」
朱。
朱。
朱。
朱。
瞬間、神社を囲うように水が一点に集まり破裂する。
すると、先程の姿が嘘かのように、 朱色の美しい本殿が姿を見せた。
朱。
楽しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる彼女を横目に、 僕はその奇跡の目の前で呆然としていた。
「…ほれ、お主、速く」
茶柱
「そうだ。速くこの状態で封印せい」
茶柱
茶柱
そう唱えると、輝く大きな鈴に紋章が浮かんだ。
「うむ、これで暫くは大丈夫だろう。」
茶柱
「お主らの能力みたいなものだ。」
朱。
「お主らが最初から持っていたものだが」
「…まぁ、そういう事だと思ってくれて構わん」
…なんだ、ほんとになんなんだこの状況。 …現実、なら、…あーもーどうにでもなれっ
…ここまで聴いてしまったら、やる他ない。 …まぁそもそも拒否権なんてないんだけど。
茶柱
茶柱
朱。
「お、やっとか!!」
「それではこの巻を受け取れ」
茶柱
急に目の前に現れた巻物を受け取る。
朱。
「うむ。」
茶柱
茶柱
「おいだからお主、妾神なんだけど」
「あ、そうだそうだ」
「お主らにこれを渡しておこう。」
そう言われ目の前に現れたのは、 手のひらサイズの紋が入った鈴。
茶柱
「これを水のある所で鳴らせばいつでも来れる。」
「此処から出る時も此処で鳴らせば出られるぞ。」
朱。
茶柱
「…では、明日からよろしく頼む。」
茶柱
朱。
その言葉を最後に、僕は鈴を鳴らした。
…すると、そこはいつもの穴場で。
茶柱
茶柱
おかしな事がどっとありすぎて疲れた。
朱。
茶柱
朱。
茶柱
朱。
茶柱
朱。
茶柱
朱。
ドンッ
大きな音がした方を見ると、花火が上がっていて。
そいえば花火を見に来たんだったと我に返る。
茶柱
朱。
茶柱
朱。
朱。
茶柱
朱。
次々と散っていく色とりどりの花火が、 疲れた僕らを癒してくれる様に照らしていた。
主
さつき(マッマ)
主
主
さつき(マッマ)
主
主
コメント
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もーこれ追うしかないやつだぁぁぁ! 神ⅹ2のやり取り可愛い🫶やばいテラーの推しが増える!危機だ! 4000字…?すご!お疲れ様です🍵
約4000文字もお疲れ様です!世界観に没頭できて全然長く感じなかったです。読みやすいし、展開も面白くて本当にすごいです。僭越ながら、プロローグの方に参拝コメントさせていただきました。続きも楽しみにしております!
大尊敬様2人の作品!すらすら読めるくらいに文章が読みやすくわかりやすい!そして面白い!約4000字読んだ実感が湧かないくらいでした! プロローグから面白くて続き楽しみにしています✨!