テラーノベル
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5
「爆発する!!!」 ⸻ ジンの声が響く。 次の瞬間。 倉庫全体が大きく揺れた。 炎が天井を舐める。 鉄骨が軋む。 崩壊寸前。 ノアが歯を食いしばる。
ノア
レイは離さない。 血で滑る手。 熱。 煙。 それでも、 カラスを掴んだままだった。 カラスの目が揺れている。 理解できないみたいに。
カラス
カラス
カラス
レイは低く言った
レイ
レイ
炎が揺れる。 黒い目が、 真っ直ぐカラスを見る。
レイ
その瞬間。 カラスの呼吸が止まった。 ハルと同じ言葉。 同じ熱。 同じ、 置いていかない目。 カラスの視界が滲む。 ノアが横で笑う。
ノア
ノア
レイが睨む
レイ
でもその声は、 少しだけ泣きそうだった。 アベルが低く怒鳴る。
アベル
全員が力を込める。 ——ガァンッ!! 鉄骨が持ち上がる。 ジンが即座に、 カラスの腕を引きずり出した。 その瞬間。 ——ドゴォォンッ!!!! 爆発。 炎。 轟音。 倉庫の奥が吹き飛ぶ。
ノア
ノアが叫ぶ。 全員が出口へ駆け出す。 熱風が背中を焼く。 レイは最後まで、 カラスの腕を掴んでいた。 離さない。 絶対に。 外へ飛び出した瞬間。 背後で、 倉庫全体が崩れ落ちた。 轟音。 赤い炎が夜空へ上がる。 雨が、 燃える火へ降り注いでいた。 全員、 地面へ倒れ込む。 荒い呼吸。 血。 煙。 生きてる。 ノアが空を見ながら笑った。
ノア
ノア
ミナトが隣で血を吐く
ミナト
ジンは無言で煙草を咥えた。 アベルは静かに目を閉じる。 そして。 レイだけが、 ゆっくりカラスを見る。 カラスは雨の中、 ぼんやり空を見ていた。 灰色の髪が濡れている。 その目から、 また涙が流れた。 カラスは掠れた声で呟く。
カラス
カラス
静かな夜。 雨音。 レイは数秒、 何も言わなかった。 それから、 ゆっくり隣へ座る。 黒髪が雨で濡れる。 そして、 静かに答えた
レイ
カラスの目が揺れる。 レイは前を向いたまま続ける。
レイ
レイ
その言葉に。 カラスは、 壊れたみたいに泣きながら笑った。
クロエ
雨はまだ降っていた。 燃え落ちた倉庫から、 黒い煙が空へ上がっている。 サイレンの音が遠くで響いていた。 誰もすぐには動けない。 生きているだけで、 精一杯だった。 ノアは地面へ寝転んだまま、 煙草を探している。
ノア
ノア
ミナトが隣で笑う
ミナト
ノア
ミナト
その軽口に、 少しだけ空気が戻る。 でも。 レイだけは、 まだ静かだった。 隣にはカラス。 灰色の髪が、 雨で濡れている。 血まみれで、 ボロボロで。 それなのに、 どこか静かな顔をしていた。 カラスはぼんやり空を見る。
カラス
カラス
レイは少し目を伏せる
レイ
カラスが小さく笑った
カラス
レイは答えない。 その沈黙が、 妙に優しかった。 少し離れた場所で、 アベルが静かにミナトの端末を受け取っている。 ジンは周囲を警戒したまま、 煙草の煙を吐いた。
ジン
低い声。 アベルは画面を見る。 三年前の記録。 裏取引。 偽造された証拠。 ハルの名前。 全部、 そこに残っていた。 アベルは静かに言った。
アベル
その声には、 珍しく迷いがなかった。 ミナトが笑う。
ミナト
ミナト
でも、 少しだけ空気が柔らかい。 ユキとクロエのいる場所へ、 連絡も入れなければいけない。 まだ全部終わってない。 でも。 少なくとも今夜だけは、 誰も置いていかれなかった。 ノアがふらつきながら起き上がる。 肩の傷が痛む。
ノア
レイが即座に支える。 ノアが少し笑った。
ノア
レイ
ノア
レイが眉を寄せる。 でも、 手は離さなかった。 カラスはその光景を見て、 静かに目を伏せる。 胸の奥が痛かった。 羨ましい。 でも同時に、 少し安心した。 レイは、 もう一人じゃない。 その時。 ミナトが突然、 思い出したみたいに笑う。
ミナト
全員が見る。 ミナトは血だらけのまま、 にやっと笑った。
ミナト
ミナト
空気が止まる。 レイの目が揺れる。 ミナトはポケットを探り、 小さな銀色のライターを取り出した。 傷だらけの、 古いライター。 レイの呼吸が止まる。 ミナトは静かに言った。
ミナト
コメント
1件
読み終わりました……めっちゃぐっときた😢💔 「生きろ」ってレイが言ったとき、ハルの言葉が重なって、カラスが泣いたシーンがもう……。あの“置いていかない目”って表現、すごく刺さりました。最後のライター出てきたときは鳥肌立った。まだ終わってない感じがするけど、今夜はみんな生きてて、それだけでじんわり来ました。LEUさんの書く“優しさの裏にある強さ”が本当に好きです🥀