数十年前のこと、覚えていますか?
そう、あれは晴れの日でした
私は、哀歌が剣を握らなくなったあの日から
貴方の父を、1番そばで見てきました
ある日もまた、貴方の父は
養子の子に、武術を教えていました
そしてまた、同じことを話します
“剣豪になりなさい”
養子の彼は、頑張っていました
哀歌と同じように自主練もしていたし
どうしたら強くなれるのか
強さの根拠を考えながら
剣を振るっていました
その剣には、確かに重みがありました
貴方の父の思いを背負った
まさに、美しい身のこなしでした
しかし、貴方の父は何も言いませんでした
努力をしている彼をみて、
褒めることもせず、怒ることもせず
ただ何も言わずに、彼を眺めているだけでした
彼は、たいそう困った様子でした
すると、貴方の父はようやく口を開きました
父
彼は、ものすごく驚きましたが
それと同時に、嬉しかったのでしょう
弱いものは、貴方の父に相手にされませんから
彼は、それなりの力があったのです
父
“開始”の一言も待たずに、
彼は、貴方の父に斬りかかりました
金属と金属のぶつかり合う音が
そこには、多く響くのみです
最初は彼が押していたのに、
貴方の父は、強かった
瞬く間に距離を詰めて、
一気に剣は、彼の首元まで届きました
彼が降参と言えば、
貴方の父は、またこう言います
父
努力では埋められないはずの何かを
また求めてきました。
それでも彼は、また剣を振るいました
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