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正義のヒーロー

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正義のヒーロー

1 - 正義のヒーロー

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2021年11月22日

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紗奈

………

今日は、何だか変な感覚がするな。中学2年生の”紗奈”はそう感じた。明日は期末テスト。はぁ、と情けなくため息をつきながら、帰るのは良くある事だ。

子供が仲良く遊ぶ姿、同級生が笑いあって帰る姿。その姿も、紗奈には苦しめるようにしか見えない。当たり前だ、紗奈は友達がいないのだから。

友達を作らない。そう決めた紗奈には、少し不満に感じる事も多かった。

今日の晩御飯は何だろうか。そんな呑気な事を考え、白線を歩く。いつ見ても綺麗な青信号。そんな尊い青信号を見ながら歩くのは慣れた物、だった、筈だったのだ。

キキーッッ!!!!

紗奈

………え?

信号無視のトラックが、此方に走る。ここは人通りも少ないから、行けると思ったのだろうか。もう、この距離は避けられない。紗奈は、せめて痛みを感じないよう、目をギュッと瞑った。

一向に痛みを感じない。でも目を開くのも怖い。でも…開かないと、何も変わらない事を、知っている。紗奈は目を開けた。

紗奈

………………は

少し肌寒い、そう感じたのは事故への恐怖では無かった。

目の前には氷が張られていた。それと同時に、目の前のトラックに右手を伸ばしている事も分かった。運転手は氷漬け。トラックは氷に拒まれこれ以上進めない。

紗奈

っおえっ………!!ぐっ…ふっ……おええ…っ

紗奈はその場で嘔吐した。怖い。自分が。何をしているのかわからなくて怖い。もう、何も頭が回らなかった。

唯一考え付いたのは、現場を見られていないかという事だった。

誰にも見られていない。紗奈は、咄嗟にその場から逃げ出した。ニュースで見る犯罪者はその場から逃げるのが本当に許せなかった。でも、紗奈ももう同類だ。

泣きかけで、顔面がぐしゃぐしゃなのを必死に隠し、紗奈は家へと逃げた。

あれから、恐怖を覚えながら紗奈は家に帰った。またあんな事に会えば、今度こそ自分の精神は潰れるんじゃないか。そうとも、考えた。

_でも、神はそんな逃げてばかりの紗奈を許してくれなかった。

MOB

きゃぁぁぁ!!!

女の子が叫ぶ。その目線を追うと、その子の目の前には酔っ払ったように赤く染まった頬のおじさんが、車でその子を引こうとしていた。

紗奈

(……またあの氷が出れば、助けられる?)

紗奈は願って手を伸ばした。必死に。守れるように。そう、願って。

ドンッ!!

_目の前に広がるのは、誰が見ようと”血”であった。

氷など、出ていない。引いたおじさんはその場から逃げ出していた。紗奈の、あの時のように。紗奈はその場から逃げ出した。あの時の、ように。

紗奈

…………

あれから、暫く不登校気味になった。また同じ目に会いたくない。そんな思いだろう。紗奈は必死にスマホで調べていた。「異能力 現実」と関連する検索履歴はもう20個を越えているだろう。

_ある時、こんな書き込みを見付けた。紗奈はそれに興味を引き、その人と会話を交わし続けた。

🌸咲楽(サクラ)🌸

もし能力を持ったとしても、自分はそれを人の為に使うって決めてる。皆能力を持つのが夢って言ってる人もいるけど、案外不便かもよ?

紗奈@不登校気味

どうして不便と思うんですか?

🌸咲楽(サクラ)🌸

だって、能力を持つのは皆と違う。そうだったら、いじめが起きるの待ったナシでしょ?

紗奈@不登校気味

では、咲楽さんは、その能力が人を1度……いや、何度も不幸にしてしまったとしても、能力は人の為に使うんだという意志を持ち続けますか?

🌸咲楽(サクラ)🌸

私は持つよ。もしかしたら、神様はその為にくれたのかもしれない。信用されてるのなら、私は頑張りたい。

紗奈@不登校気味

ありがとうございます

紗奈

人の為に、か……

紗奈は、ぐしゃぐしゃになった髪を梳かし、深く帽子を被る。服装を整えて、紗奈は外へ出ていった。

咲楽

……紗奈ちゃん、大丈夫かな

咲楽

あのサイト……能力を持った人にしか入れないんだよね。私は、インターネットを扱う能力なんだから

咲楽

……私も、過去に全てのインターネットを乗っ取ってしまったこともあったんだよ。でも……やり直してみれば、直ぐに人を救えたんだよ。だから……

咲楽

君も、大丈夫だよ。紗奈ちゃん

紗奈

(……この能力の発動条件…多分、私が危険に陥った時なんだよね。だから………)

なんだかんだ言いつつ、紗奈は良く考えていた。自分の命に関わるかもしれないことも、全て考えていた。そんな紗奈の考え続けた努力は今、無駄にならなかった。

MOB

うわぁぁぁ!!!

ナイフを持った人が暴れ、男性を刺そうとしている。その現場を見てしまった以上、紗奈は命を賭けて、走った。

紗奈

退いて!!

MOB

へっ………?

紗奈

っらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

紗奈は右手を伸ばした。

紗奈

はぁ……はぁ……

目の前の人は氷漬けになり、頭の丁度半分位の所で崩れ落ちる。頭の断片が見える位割れてしまったのなら、明らかに死んでいるだろう。

MOB

あ、あぁあな……貴方は……?

紗奈

………私は…

紗奈

”氷を扱う、正義のヒーロー”

MOB

……!!

MOB

お、お願いします!僕、記者で……!!

紗奈は、その男性に少し弱めの蹴りを入れ、苦しんでいる間にその場から離れた。カシャ、という音が後ろから聴こえたのは気の所為。そう、考えていた。

いやぁ〜!!やっぱり凄いですよね!”正義のヒーロー”!!

偶に人の命を粗末に扱う事も有りますが、最近ではその事件も減ってますしね!

いや〜…流石ですよ、本当n

ブチッという音と共に、消えるテレビの画像。本当、リモコンって凄いよな。

紗奈

はぁ……もう映画化までされちゃうくらい有名になったんだね、私”達”

紗奈

ね?”咲楽”

咲楽

本当だねw紗奈も昔は全然普通の女の子なのに、こんな子に育っちゃってぇ〜

紗奈

仕方ないじゃんか……

咲楽

あ、そういや皆、もうあっちで待機してるってよ

紗奈

あ、そうなんだ。じゃ、私達も行きますかぁ〜

咲楽

んだね、今日もちゃっちゃと仕事片付けよ!

_4人の正義のヒーロー。手早く、的確に法律違反者を捕まえていく。そのやり方は、とても子供がする事では無くとも、お構い無しだ。

今日も頑張る正義のヒーロー。今日のターゲットは誰だ?

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