社畜日本
社畜日本
日本は太陽から逃げるように猫背になりながら、早足で街を歩いていた。 そして、ときおり日陰に入っては、ふぅ、とため息を吐く。 体力自体は、余裕であるものの、日中に外に出たストレスからである。 社畜は、闇属性なのだ。 光属性(太陽)には、弱い。
アメリカ
次の瞬間、日本の耳に陽気な呼び声が響いた。
社畜日本
日本は、先程まで猫背であった背を一瞬で正し、アメリカを真っ直ぐに見添えた。 日本の瞳の奥には、緊張がチラついている。
社畜日本
アメリカ
アメリカは、フムムと唸る。 日本のトレードマークとも言うべき猫耳が無くなっているのに、彼は気づいてない、らしい。
アメリカ
アメリカ
社畜日本
日本は気のない返事をした。彼はいつもスーツを着ているのである。むしろ、私服の時の方が少ない。 アメリカの発言が、ピンと来ていないのだ。 しかし、夢ならそんな事も有るかと、日本は深く考えなかった。
アメリカ
社畜日本
日本は、一も二もなく返答した。アメリカの提案を断る選択肢など、彼には無いのである。
ーマクドナルド
社畜日本
アメリカは、ハンバーガー、フライドポテト、チキンナゲットをモグモグと美味しそうに頬張っている。 その様子を、日本は訝しげな顔で見つめていた。
アメリカ
社畜日本
日本にとって、アメリカに食事に誘われる事はーー貿易や政治についての交渉や相談ーーという認識であった。 アメリカとは、知人である前にビジネスパートナーなのだ。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
アメリカ
社畜日本
アメリカ
社畜日本
日本にとって、アメリカの発言は完全に不意打ちであった。 日本の知っているアメリカは、もっと狡猾で計算高い人物である。 こんなに友人思いで優しいアメリカを、日本は知らなかったのだ。
社畜日本
アメリカ
アメリカは、日本のつぶやきに片眉を釣り上げる。 少しだけ、彼の瞳に苛立ちが混じる。
アメリカ
アメリカ
アメリカ
社畜日本
日本は、今度は大量に吐血した。今度は、嬉しさや照れーーだけでなく、嫌悪による吐血も混じっている。 慌ててハンカチで口許を押さえつつ、日本は2人掛けのテーブル席を立ち、アメリカへ背を向けた。
アメリカ
社畜日本
アメリカは、逃げようとする日本の腕を引いて、胸元に抱き寄せた。
社畜日本
日本はアメリカを見上げた。 先程の優しく友人思いな眼差しとは真逆の、闇くて熱い、ドロリとしたナニカを内包する瞳。 得体の知れないソレは、強い恐怖を掻き立てた。
日本は、自分の心臓が嫌に早く脈打つ音を聞いた。アメリカの顔が近い。彼の湿っぽい体温を肌で感じる。 嫌な冷や汗が流れ落ち、まさかと日本は思う。 ーーまさか、本当に現実なのか?
社畜日本
日本は腹を括った。 アメリカに向かって、一歩前に進み、彼と体を密着させる。 アメリカが日本の背中に腕を回す前に、日本は更に一歩前前に出てーー
ーードンッッッ!!!
柔道の要領でアメリカの足を刈り上げ、気合で投げ倒した。
社畜日本
日本は、脱兎のごとく逃亡した。
コメント
2件
最高すぎる…次も待ってます!!😭