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降りしきる雨の中、傘もささずに、 イギリスは少しぬかるんだ道を歩く
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今宵はどうにも眠れず 兄たちにも内緒で家を抜け出した
ただ目的も何もなく、ぼんやりと歩いていれば気分も晴れて眠れるだろうと思ったが、想定以上の雨に気が滅入るばかりだった
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足を早めた瞬間、誰かとぶつかった
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謝罪の言葉も愛想も 相手の顔を見た瞬間に引っ込んだ
街灯に照らされ、 傘をさしていたのはフランスだった
イギリスをみて フランスは目を真ん丸に開く
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不意に大声を出すフランスに、 思わず肩を震わせたイギリスの腕を掴み、フランスは傘の下へと引き入られた
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けらけらとバカにするフランスが 今のイギリスにとって煩わしくて仕方なかった
昔っからずっとずっと眩しくて
雨の下でも太陽のように輝き、自分苛立たせる
何回争っても話しかけてきて、
構うなと言っても聞かないのだろう
なら、自分に構おうということをフランスに考えさせなければいい
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怪訝そうな顔をするフランスに、 イギリスは自分自身の体を押し付けた
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頬を染め、吐息を漏らしながら脚を擦り付ける
予想通り、フランスは固まってしまった
それでいい。気色悪いと罵れ。 突き飛ばしてしまえ。
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自嘲的に笑ったイギリスに フランスの手が伸びる
殴られる
覚悟したイギリスは目を閉じた
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恐る恐る目を開くと フランスはイギリスの 背中に腕を回していた
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数cmしか変わらないはずの身長が えらく大きく感じられて
イギリスは体に入っていた力が 抜けていくのがわかった
これでダメなら、もう一生自分を 離してはくれないじゃないか
ぶすくれた顔をしているフランスの 額を指で弾いてやる
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声を荒らげるフランスに、いつもの調子で笑う
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そういえばそんな話をしたことがあったな
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いつになく真剣な顔をした フランスに呆気を取られる
ただ、フランスに嫌われるためについた嘘だったのに
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離してください、 そう続けようとした唇に暖かいものが 一瞬触れた
一瞬で離れたそれが何かを察する前に フランスはイギリスに傘を押し付けるとイギリスにそっぽを向いた
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いつもより少し赤くなった顔をしたフランスが、雨を蹴立てて走り去っていった
背後の建物に寄りかかり、イギリスはフランスの手の温度が残った傘の柄を握りしめる
心臓がうるさい。顔が熱い。 目の前がくらくらして立っていられない
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自分に言い聞かせながら、イギリスは無意識にフランスに掴まれた腕へ手を伸ばした
今日はまだ、眠れそうになかった
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