吉村敦士
開口1番に男の口からは、悪びれる風もなく自己弁護が流れ出る
吉村敦士
吉村敦士
橘圭一
橘圭一
吉村敦士
橘圭一
吉村敦士
橘圭一
吉村敦士
吉村敦士
俺は露骨にため息をついてやった
今日も「大根撲殺事件」の犯人は動機について語ろうとしない
1番手口は珍妙で、1番頭のネジが外れている
常軌を逸した自己弁護で取り調べは平行線の一途をたどっている
橘圭一
橘圭一
吉村敦士
吉村敦士
吉村敦士
吉村敦士
橘圭一
吉村敦士
こいつの素性はもう調べてある
こいつは昔からこんな奴だった
Kさんへ。
久しぶりだけど言いたいことがある。
殺人は上手くいったよ。まぁ本題はそこじゃない。
僕は今檻の中にいる。捕まったんだ
完全犯罪にはならなかった。ツメが甘いよ。 半端な計画立てたKさんが悪い。
おかげで毎日尋問。全部Kさんのせいだよ。
ちゃんと責任とってもらわないと。
とか、言ったらあの刑事みたいに「理解に苦しむ」とか「百人に聞いても理解できないと思う」とか言われるんだよね。
自分が無能なだけだろ、偉そうに。
Kさんはそんな無能どもの1人じゃないだろ?
家族を殺されたって言う普通じゃない境遇が、他とは違うって物語ってる。
僕の話を聞いてくれるだろ?
最後まで読んでよ。それが責任ってもんだ。
そもそも僕はそこらの凡庸な人間とは違うんだ。
僕のやることに間違いはない。
だけど無能で低俗なサルどもは僕の躍起になって、僕の態度を改めるように言う。
僕の態度が悪いんじゃない。無能だからそう見えるんだ。 「たいしたことない」?お前の目が悪いんだよ。
だけど唯一、僕が特別な存在だってことを理解した人がいる。
荒木宗一って人。
荒木さんは、和食料理店を経営している。
料理人っていいなって思ったから、僕は高校を卒業したらすぐに弟子入りした。
荒木さんは何度も僕に「期待している」と言った。期待されてるから僕も頑張った。
僕は荒木さんに一目置かれてたんだ。
和食料理店だから七輪で料理を提供する時もある
僕それの火おこし担当。 僕が誰よりもスピーディーに点火できるからね。
僕は有能なんだ。荒木さんに期待されてるんだ。
それなのにあの言葉を聞いた時はびっくりしたな。
僕と荒木さんが飲みに行った時のこと。
いつになく酔った様子の荒木さんがポツリポツリと語りはじめた。
「俊介っていうすごく優秀な息子がいて、すごく期待している」 「それに比べて、もっと私を見てよ とヒステリックに騒ぎ立てる妻が最近疎ましい」
「俊介が昨日から帰ってこない」「妻が上機嫌」
「なんかあるな と確信した」 「俺の最愛の息子に妻が手を出した」
「妻が邪魔だ」 「許せない」
と、こんな感じのことを言ってた。
この後だよ。驚いたのは。荒木さんは僕を見るとへへッと笑って言ったんだ。
「こんなこと君に言ってもしょうがないな」
ちょっと待ってよ。
僕じゃ何も出来ないってこと?僕はそこらへんの人間とは違うのに?
特別な存在である僕が、ヒステリックな「かまってちゃん」1人黙らせることが出来ないって? 冗談じゃない。
僕は特別で有能だ。最高の形で期待に応えなきゃいけない。
足がつかないように、証拠隠滅可能な食材(大根)を凶器にしようとKさんが言った時は感心したよ。
これなら完全犯罪が狙えるってね。
だけど結果は散々。 宗一さんは心臓を刺されて殺されるし、僕は捕まるし。
Kさんの言う通りにやったらこうなったんだ。 Kさんのせいだよ。
とにかく早く返事書いてよ。責任とってもらわないと。
吉村敦士
橘圭一
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コメント
6件
次回完結となります。 吉村のテンカ芸は天下一品です。ああっ、座布団… 読んでくださりありがとうございます❗
吉村さんは自分は荒木さんにとって、特別な存在だから殺人を起こした。アドバイザーKさんの言った通りに荒木さんの悩みの種である妻を☆☆☆た。けど捕まっちゃったから、計画は岸壁じゃない。むしろ真犯人は自分じゃない。計画を立てたKがあいつが一番悪いって言って、責任転嫁したんですね。 Kさん出てきてないきけど、実は私だったりして笑(°o°C=(_ _;ポカっ サスペンスドラマみたいで、面白かったです。