綾衣
ねえ
侑斗
・・・・
綾衣
ねえ 橋本君
侑斗
・・・ぼ、僕ですか?・・
突然のことに驚いた。
綾衣
ここにはあなたしかいないでしょ
侑斗
は、はあ・・
クラスの学級委員の山口さんが突然話しかけてきた。
侑斗
な・・何か用事がありましたか?
僕に・・
僕に・・
綾衣
聞きたいことがあって。
綾衣
・・・
ここで何してるの?
ここで何してるの?
侑斗
・・いや、まあ読書を・・
確かに不思議だろうと思った。 誰もが、昼食を食べて満たされた昼休み。 僕は一人、物置庫にいた。
綾衣
ふーん。
侑斗
聞きたいことって、それだけですか?・・
綾衣
いや、、まさかここに君がいるとは思わなくて。
侑斗
はあ
倉庫を開けて読書をする人がいることは想定外だろう、誰にとっても。
まあ僕は見つかってはいけないのだから仕方がない。
綾衣
ああ、それと、
私がマスターキー持ってるのに君はどうやって入ったの?
私がマスターキー持ってるのに君はどうやって入ったの?
侑斗
鍵を、、もらったので。それで開けて、、。
綾衣
誰に?
侑斗
えーと、去年卒業した先輩から。
綾衣
鍵を?
侑斗
それは、、
綾衣
・・君、ここにいる理由なんかあるでしょ。
薄暗い倉庫の中で、ぼやけて見えなかった彼女の顔だが、 覗き込まれたせいではっきり見えた。
それは確かに山口綾衣さんの顔だった。
綾衣
・・まあいいや。
じゃあ、行くね。
じゃあ、行くね。
彼女はそう言って出ていった。
何もせずに。
侑斗
はあー、、。
こんなに緊張したの久しぶりだ。
こんなに緊張したの久しぶりだ。
普段、誰からも話しかけられない僕が急に、彼女に話しかけられた。
なんだったのだろう。
菊池先生
おーい。入るぞ!
侑斗
あ!もうそんな時間ですか?
菊池先生
そうだよ。
もう授業4分前だよ!
もう授業4分前だよ!
侑斗
じゃあ、僕行きます!
菊池先生
もう、、用務員の俺に頼りすぎじゃないのか?
侑斗
ああ〜〜
いつも感謝してます!
いつも感謝してます!
菊池先生
はいはい
早く行ってきな!
早く行ってきな!
侑斗
はい!
菊池先生
・・・
菊池先生
よくあそこまで治ったな。
本当に良かった。
本当に良かった。
俺は、橋本が1年の頃から、用務員としてこの学校に来ていた。
彼は酷く恐れていたのだ。
菊池先生
ああ、落ち葉でも集めないとなあ。
数年、用務員として慣れた手つきで、集め始める。
彼の過去をを思い出しながら。
木枯らしが、折角集めた落ち葉に吹き込んだ。






