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歩くたびに、靴の裏が水たまりを踏んでぐちゃりと音を立てる。
天井は低く、証明はところどころ切れていた。
私はいつのまにか、学校の地下通路にいた。
こんな場所、あるなんて知らなかった。
でも、どこか懐かしい匂いがする。
埃と湿気と、秘密の匂い。
レイ
背後から声がした。
振り返らなくてもわかる。
レイだ。
日向
レイ
レイの足音は軽やかで、私の数歩前を歩いていく。
道の脇には、使われなくなったロッカーや割れた鏡。
どれもどこか"学校"のもののようで、でも形が歪んでいた。
レイ
レイが指差した先には、巨大な掲示板があった。
掲示板にはびっしりと、「通知表」が貼られている。
全部、私の名前だった。
国語:A、数学:A、理科:A、英語:A
だけどーー「心の健康:F」
私は息をのんだ。
レイ
レイはそこまで言って、ふっと笑った。
レイ
私の足が止まる。
何も言い返せなかった。
レイ
レイが指さした先に、暗闇がぽっかり口を開けていた。
まるで飲み込まれそうな、光のない穴。
レイ
私は喉を鳴らす。
行くしかない。
このままじゃ、ずっと仮面をつけたまま、生きていくことになる。
日向
一歩、足を踏み出す。
闇の中で、レイの声が響く。
レイ