先程の試合はもはや試合ではありませんでした!!
ノルン選手の圧倒的なまでのその力に我々はただ口を開けてポカンとするしかありませんでしたが
次の試合はそんな一方的な試合にならないことを祈りましょう!
早くも準決勝となっている今大会
勝ち進んできた選手の登場です!!
その背には人類の希望を託されてる勇者ウルターニャペア!
対するは絶望という感情を力に変える特異なスキルを持った魔物界の勇者のような存在
【魔勇者 イルマ】選手です!
イルマ
どうせ僕なんて光の勇者の対の存在だし…
イルマ
滅びる運命にあるんだ……
サヤカ
(うっわ……面倒臭い奴や………)
おっと!?これはどういうことでしょう!
ウルターニャペアには肝心の勇者ウルターニャ選手が出てきてません!
これはウルターニャ選手が出るまでもないということかァァァァ!!?
サヤカ
(いや、普通にあっちがお取り込み中なんだけどね…)
イルマ
僕如きじゃ相手にならないみたいだね…
イルマ
でも君一人で大丈夫なの?
イルマ
最初の試合見てたけどひとりじゃキツイんじゃない?
サヤカ
ほ、ほぉ〜?
サヤカ
随分とあなたは自分の腕に自信があるようね?
イルマ
仮にも僕は闇の勇者と言われてるからね
イルマ
君たちは希望を力に変える
イルマ
でも僕はその逆絶望を力に変えることが出来る
イルマ
僕に不利な状況が出来れば出来るほど僕の力は増していくんだからね
サヤカ
てことは何?
サヤカ
そもそも私なんて眼中に無いと?
イルマ
そうなるね…
サヤカ
それが最期の言葉でいいんだな?
イルマ
全然いいよ
イルマ
だって……僕君には負けないもん…
タンカが切られたところで試合を始めていきましょう!
レディー……ファイトオォォォォォォ!!!
イルマ
まずは君の強さを確かめてみようかな
イルマ
見るのと受けるのでは違うからね
サヤカ
ならお望み通り1発ぶち込んでくれる!
サヤカは素早く相手の懐に入り腹部に7発入れた後にアッパーをぶちかます
サヤカ
結局あんたは口だけじゃないか!
先制攻撃はサヤカ選手!
素早くは懐に入り腹部に攻撃を加えそのまま流れでアッパーカットを入れた!
これにはイルマ選手も苦しいか!!?
イルマ
………
イルマ
鋭い良い拳だ
イルマ
でも……
イルマ
まだ少し詰めが甘いな
サヤカ
なに!?
イルマ
拳を使うものならここまで出来ないと意味が無いです……
顎を強打したにもかかわらず怯むことなくそのままサヤカにカウンターを入れる
何と言うことでしょう!!
顎を強打され脳も揺れているはずです!
にもかかわらず怯むことなくサヤカ選手に一撃を食らわせたァァァァ!!
サヤカ
ブッ……!!?
その一撃は重たかったのか後ろの壁にと飛ばされて叩きつけられてしまったようです!
イルマ
ここまでの威力をさっきの連打の中で繰り出さないと僕には勝てない…
サヤカ
(確かにさっきの私の初動は大した威力は持たせてなかった)
サヤカ
(でもそれは様子を見るためであるからだ…)
サヤカ
(それでもあの初動がちゃんと決まれば相手は立つことが難しいはず…)
サヤカ
(大抵の奴らはそこで怯むはずなんだけど…)
サヤカ
(怯まない上に私の連打の合計ダメージと同等のダメージをたった一撃でたたき出してきたあいつ……)
サヤカ
(魔勇者と言われるだけの力は持ってるみたい……)
イルマ
まだ試合は始まったばかりです
イルマ
早く立って観客を楽しませてあげてください
サヤカ
プッ……
サヤカ
私はあなたを舐めてたみたい…
サヤカ
だから次はちゃんと叩く事にするわ
イルマ
そうしてください…
イルマ
まだ僕の特性の絶望が力に変わるを見せてないんですから……
サヤカ
私も見せるからあなたも見せてちょうだい
サヤカ
その剣を使って、ね?
イルマ
…………
イルマ
分かりました…
サヤカ
(あの剣…ノルンの使ってた剣と同じでどこか嫌な雰囲気がする……)
サヤカ
(もしあれが魔剣ならば…ノルンとの戦闘での対策を教えることが出来るかもしれない…)
イルマ
これを使うということはあなたの死を意味するのですが…
サヤカ
構わないわ…
サヤカ
だって私は死なないもの
イルマ
………
イルマ
分かりました…
イルマ
では…いきますよ?
サヤカ
あぁ…来い!
イルマ選手その手にもつ剣でサヤカ選手の体を引き裂いた!
イルマ
今君は切られた
イルマ
その瞬間君の心は音なく崩れ去るんだ…
サヤカ
グッ……
サヤカ
切られたところで…この傷程度では致命傷にはならない!
なんと!サヤカ選手切られたにもかかわらずそれをものともしないのか
そのままシルバ選手を痛めつけた天地開闢と言う技をイルマ選手にぶつける!
初動と同じく腹部に数発入れアッパーを決めた後にさらに上に飛ばすように蹴りを入れて
サヤカ選手が飛び飛ばされたイルマ選手の頭部目掛けて思いっきりかかと落としを食らわせる!
これにはイルマ選手も流石に効いたのか叩きつけられてからなかなか起き上がりません!
サヤカ
どうしたの?
サヤカ
早く起き上がりなさいよ
イルマ
………
イルマ
クックック………
イルマ
アッハッハッハッハッ!!
ど、どうしたのでしょうか!!?
ゆっくりと起き上がったと思ったら突如笑いだしました!
イルマ
その攻撃だよ…
イルマ
そのくらいの攻撃がないと……
イルマ
そろそろ僕もモードを変えることにするよ
イルマ
【魔剣 イルマ】君の出番だ
サヤカ
やはり魔剣だったわね
サヤカ選手壁を蹴りイルマ選手との距離1度取りました
対するイルマ選手はその場から動きません
イルマ
…………
イルマ
さて…準備は整った
イルマ
行くよ?
サヤカ
なっ!?
ど、どういうことでしょうか!!?
サヤカ選手とイルマ選手との距離は少なくとも5mは離れていました!
だと言うのに瞬きをしたその瞬間にはサヤカ選手の後ろにイルマ選手が立っているのです!!
サヤカ
速い…
イルマ
まだ君は僕に切られたことすら自覚してないみたいだね
サヤカ
うそ…
その瞬間サヤカの身体中に傷ができてその傷から血が溢れ出てきた
サヤカ
っ!?
イルマ
神速の技…
イルマ
これに名前なんてないよ
イルマ
ただ単純に己の身体能力を活性化させ
イルマ
肉眼で取られられぬほどの速さで移動するだけだからね
イルマ
その時のすれ違いざまにちょっと切りつけただけだしね…
サヤカ
はぁ……はぁ………
サヤカ
(身体中が痛い…)
サヤカ
(それに妙なことに力が入らない…)
サヤカ
(血が足りないとはまた違ったものだ…)
サヤカ
(だとするとやはりあの剣の仕業だ)
サヤカ
(切りつけた相手の生命エネルギーを吸収しているんだ)
サヤカ
(それで今私は思うように身体が動かないわけね…)
イルマ
その顔だと今の技の意味が理解出来たのかな?
イルマ
その傷自体は深くない
イルマ
けれども相手を傷つけることに意味があるのだからね
イルマ
僕の特性絶望を力に変えるこの力
イルマ
あの時君が天地開闢をやってくれたおかげでかなり僕自身が強化されたよ
サヤカ
………
サヤカ
これはちょっとヤバいかな…
イルマ
気づいてももう遅い
イルマ
僕も無傷ではない
イルマ
正直いえば君の攻撃は全般的に脳を刺激するものばかりだ
イルマ
だから肉体はそれほど傷ついていないがダメージ量的には君と同等だからね
サヤカ
そう……
イルマ
まぁ肉体がそれほど傷ついてない分君よりは動けるけどね
サヤカ
確かにそうね……
イルマ
さて、それじゃあそろそろ終わりにしようか
イルマ
僕自身も長くは立ってられないからね
サヤカ
それもそうね…
イルマ
それじゃあさよなら
イルマはまた神速の技を使いサヤカの体を細切れにしようとした…
イルマ
!?
サヤカ
終わりにしましょうか
サヤカ
戦闘の基本を教えてあげる
サヤカ
隠し技は最後に魅せるものってね
サヤカは身体能力の底上げする技
【闘神化】を使ったのだ
闘神化とはサヤカ自身の身体能力を底上げする代わりに使用後身体に多大な負荷を受けるという諸刃の剣の技である
サヤカ
あなたのその剣……残念だけど壊させてもらうわ
イルマ
ま、まさか……
そういうと抑えている手の圧力をその剣に更に加えはじめた
イルマ
折られる前にお前斬れば!
サヤカ
もう遅い!
次の瞬間イルマの剣は折られその折れた刃先をサヤカはイルマの脳天に突き刺す
イルマ
グァァァァァァァ!!!
サヤカ
はいおしまい…
サヤカ
あなたの特性は確かに脅威であったけれども
サヤカ
あなた自身がそれを上手に使えないとそれは宝の持ち腐れってやつね
な、なんとあの危機的状況からサヤカ選手勝ちました!
イルマ
さ、最後に教えてくれ……
サヤカ
なに?
イルマ
何故僕の最初の一撃であるマインドクラッシュがあんたに効かなかったんだ?
サヤカ
あんたの使ったその技要は精神破壊なんでしょ?
サヤカ
私の精神壊すつもりだったみたいだけど壊したいなら私の師匠の修行以上の辛さがないと
サヤカ
私の精神は壊すことできないわよ?
サヤカ
ちなみにその修行の中であんたが使ったマインドクラッシュなんて何万と受けてるしね
イルマ
ふっ………
イルマ
飛んだ……化け物だな…
サヤカ
勇者以外も驚異であると死を持って学習できたわね
苦戦を強いられたが何とか1人で試合を勝ち進み次はいよいよノルンとの決着