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グレン・オズワルド

はあっ、はっ、はぁっ……!

戦場から逃げてきた。

なんで今になって銃を使って、爆弾を使って人を殺めなくちゃいけないんだ!

グレンは涙を流しながら走った。

途中で、胸元についていたフランス軍の紋章を握って、ポケットに入れるくらい、グレンは戦争を憎んでいた。

戦争になんの意味があるのだろうか。

この戦争は敵国であるイギリスが提案したと聞いた。

そして、それに日本が賛成し、第三次世界大戦が始まったのだと。

恨めしくて恨めしくてたまらない。

もし、イギリス軍に会ったら、恨み言の一つくらい吐いてやる。

グレン・オズワルド

はぁ、はぁ……

グレン・オズワルド

ここまでこれば、先輩も追ってこれねえだろう……

グレンは緑の長い原っぱの上に寝転がった。

皮肉にも、空は真っ青で澄んでいて、まるで嘲笑を受けている心地だった。

グレン・オズワルド

……戦争なんて、クソ喰らえだ

そんな声がふと、隣から聞こえてきた。

ジョン・ランカスター

本当、その通りだよね!

グレンは思わず、体をこわばらせ、声のする方を見た。

するとそこには、グレンと同じように原っぱに体を埋めた少年がこちらを見ていた。

グレン・オズワルド

だ、誰だ!

ジョン・ランカスター

嫌だなあ、ここは僕が先に見つけてたのに〜

少年は嬉々として、体を起こし、グレンを見下ろす。

グレン・オズワルド

そ、そうなのか?

ジョン・ランカスター

うん、ここは僕の秘密基地なんだあ

ジョン・ランカスター

誰もこないしね!

ジョン・ランカスター

僕、ジョン・ランカスター

ジョン・ランカスター

君は?

グレン・オズワルド

あ、ああ、グレン・オズワルドだ

ジョン・ランカスター

グレン! よろしく!

グレンはひっきりなしに驚いた。

戦争が始まってから、こうやって気さくに話してくれる人を見たことがなかったからだ。

ピリピリと張り詰めた空気の中、重い銃を持って敵陣に出撃……

こんな状況では、まともに人の優しさに触れられなかった。

ジョン・ランカスター

ねえ、かけっこしない?

ジョン・ランカスター

僕以外、みんな戦争に行っちゃって寂しいから、遊んでよ

ジョン・ランカスター

少しならいいでしょ?

ジョン・ランカスター

グレンは兵士さんだもんね

グレン・オズワルド

ど、どうして、俺が兵士だとわかる……?

ジョン・ランカスター

嫌だなあ。服装でわかるよ!

ジョン・ランカスター

そんな軍服を着ている人は、兵士さん以外いないでしょ?

ジョン・ランカスター

それにしてもずいぶんと薄汚れてるね〜

ジョン・ランカスター

がんばったんだね、えらいえらい

ジョンは迷うことなくグレンの頭を撫でた。

年が近そうにしては、かなりほっそりとした手だった。

ジョンの服装を見る。

元々は上等な衣類だったろうに、ところどころほつれてしまっている。

服から伸びている腕にも不自然なシワがあり、急激に体重が減少したことが見受けられる。

……彼も、戦争の被害者なのだ。

そう思うと、グレンはジョンを蔑ろにはできなかった。

だから、ジョンの撫でてくれる手を掴み、ありがとう、と呟いたのだった。

それから二人はよく遊ぶ仲になった。

ジョンのおねだりで駆けっこをしたり、花を編んだり。

軍からうまく抜け出しては遊び、怒られそうな時間帯の前には軍に戻り、何食わぬ顔で鍛錬をする。

そんな生活を続けていた。

グレン・オズワルド

そういえば、ジョンは何歳なんだ?

ジョン・ランカスター

僕?

ジョン・ランカスター

僕、14歳だよ

グレン・オズワルド

驚いた。思っていたよりも年が離れてたんだな

ジョン・ランカスター

グレンは?

グレン・オズワルド

17だ。

ジョン・ランカスター

じゃあ、僕よりお兄さんなんだ!

ジョン・ランカスター

でも、年より先に性格を知ってしまったから、今更敬語はできないよ

グレン・オズワルド

しなくていいよ、そんなの

グレン・オズワルド

俺はただこうして遊べるだけで嬉しいから

ジョン・ランカスター

ありがとう! グレンは優しいね

グレン・オズワルド

もし、戦争が終わったら、今度は遊園地とか、もっと遊べるところで遊ぼうな

ジョン・ランカスター

……いいの?

グレン・オズワルド

もちろん、良いに決まってる

グレン・オズワルド

ジョンは俺の、親友なんだから

ジョン・ランカスター

嬉しいなあ。僕もグレンのことは親友だと思ってる

ジョン・ランカスター

いつか、約束だよ? 絶対、忘れないでね

グレン・オズワルド

忘れてたまるものか!

二人はそう顔を見合わせ、思いっきり破顔した。

そう、この時ばかりはそれで良いと思った。

今はただ、悪食が蠢いているだけで、落ち着けば戦争もおさまると思っていた。

……国たちの、思惑なんて、知らずに。

パン!

音高く、頬を引っ叩く音が響き渡る。

上官

今までどこをほっつき歩いていた!

殴られた頰がジンジン痛む。

グレン・オズワルド

……少し、水汲みをしようと……

上官

水汲み如きで、膨大な時間を費してたまるものか。

上官

貴様は集団の時間を考えることができまいか?

上官

なぜ、我々が体を張って、戦争するのかわかっているのか?

またもや上官がグレンに手を上げようとしたその時だった。

フランシス・ボヌフォワ

そんなことをしたら、この子の健気な顔が丸潰れだよ

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